Lucidがサウジからの追加出資を受け入れ、提携範囲の拡大へ
米EV専業のLucidはFY24-2Qの決算発表に合わせてサウジ政府のソブリンファンドであるPIFからの追加出資を表明しました。
現在の高級セダン車が一定好調な中、年末にはSUVの生産/販売を控えており、一定の資金確保が必要だと思われますが、事業/資金両面でサウジ依拠が深くなってきています。
1;Lucidのサウジからの出資
8/5にLucidはFY24-2Qの収益報告で継続損失の発表に加え、Public Investent Fund(PIF/サウジ)からの追加出資をリリース。
Lucidは[高級セダン;AIR]の拡販に加えて[SUV;Gravity]の発売準備(24年末に生産開始予定)に対して資金が必要とされ、今回の出資に先立ってLucidは24/05に従業員約400人(全従業員の約6%)をレイオフして資金確保に。
(収益報告)
2Qにおける売上は2.01億ドルで事前のアナリスト予想よりは上回っての着地で、高級セダンの販売増が寄与したとする
地域別では[北米=1.55億ドル(YoY;12%増)][サウジ=0.95億ドル(YoY;14倍/上期)]となりサウジの存在感が拡大。最大市場の北米市場の半年実績では2.70億ドルで、FY23上期の2.86億ドルから比較すると5.7%減少となり、サウジが穴を埋める状況に
(資金調達)
サウジ政府がPIFを通じて15億ドルの追加出資を決定、私募形式/融資枠設定の半々での実行となる。Lucidは最新のB/Sでは現金&現金同等物は13.5億ドル保有している
今回の出資受入についてCEOのPeter Rawlinson氏はサウジとの連携強化を強調している
-[サウジアラビアのLucidに対する更なる確固たる支持であり、両者の思惑は一致しており単なる金銭的な紐帯にとどまらない]
-[Lucidはサウジの"Vision2030"の要であり、持続可能な経済に貢献する企業として取組に参加していく]
2;Lucidとサウジ
Lucidとサウジは2018年にPIFから10億ドル近い出資を受けて以降の関係で、製造/販売に関しても重要拠点となっている。Lucidは2022年にサウジでのEV製造工場建設を開始し、予定では2026年に15万台/年の製造と輸出が想定される
今回の提携/取引では[今後数年での5万台の購入予約][新工場建設への支援]が含まれる。サウジによる資金支援は2度目で、CEOのRawlinson氏はサウジへの認識/態度を二転三転させている
(24/03) FTのインタビューで[PIFから無尽蔵の資金を期待するとしたら非常に危険であり、相互に尊敬を以て関係構築しなければならない]と述べる
(24/08) [サウジとは定期的に対話しており、Lucidの現状とサウジのニーズ/要請などについてPIFと深く話を進めている]としている