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誰もいない部屋から聞こえた足音の正体

おばけが出てくる話ではありません。
集合住宅に暮らすみなさんには、ぜひ覚えておいてほしい話。


1ヵ月前に引っ越してきたマンションの生活に、やっと慣れてきた今日この頃。
我が家は最上階。日当たりや風通りは良好。
お気に入りの3人掛けソファーでNetflixを観るのが日課になっています。

ある夜。壁の向こうから足音が聞こえて来ました。
幼い子どもが、トトトトッと走るような足音。

壁の向こうは、マンションのお隣の部屋。
お隣さんにはまだ会ったことがないのだけど「ああ、小さい子どもがいるご家族なんだな」と、さほど気には留めませんでした。
時刻は、夕飯を食べ終わった20時過ぎ。
甘いものが食べたくなったので、僕は近所のコンビニへ買い物に出かけることに。
買い物を済ませ、アイスクリームの入ったレジ袋を片手に、ふとマンションの外観を見上げました。
僕の部屋の隣家は、電気がついていませんでした。


え。待って。
お隣さん、留守なんだけど。
じゃあさっきの足音は、なに?

まさか、と思いました。
それはまぎれもなく、下の階の部屋に住んでいるご家族の幼い兄弟の足音でした。

上の階の足音が、下の階の天井から聞こえて来る場面は、誰でも容易に想像できるでしょう。
けれど、我が家は最上階。上階でもなく、隣家でもなく、階下の足音が、マンションの床や壁を伝って、上階に住んでいる僕の部屋の壁から聞こえていたのです。

僕が住んでいるのは、比較的小型のマンションで、建物構造は「鉄骨造」。
大型マンションやビルに採用されている鉄筋コンクリート造・鉄筋鉄骨コンクリート造と比較して、遮音性に劣るのが特徴です。
音だけでなく、重たいものを床に置いたときや、人が走ったときなどの「衝撃」や「振動」は、床や壁を伝ってマンション全体に響き渡ります。


その夜だけでなく、階下の足音は壁から連日聞こえてくるようになりました。
ときには、兄弟がプロレスごっこでもしているのではと思しき激しい衝撃音が、何十分にもわたって。
耐えかねた僕は、騒音で悩んでいる旨を管理会社から階下の家族へ伝えてもらうことにしました。
まさか自分たちの生活音が上階の部屋に響いているとは思いもしないだろうから、まずは自覚し、意識してもらうことが先決だと思ったのです。
それ以降、騒音は少し緩和されたものの、今日も階下では坊やたちが元気に走り回っているのが僕の部屋から手を取るようにわかります。

これまで、単身用のワンルームや1Kにしか住んだことがなかったのですが、今回は「二人入居可」の少し広めの物件に僕は一人で住んでいます。
子供部屋を設けるのは厳しいけれど、夫婦と未就学児なら、確かに住めなくもない。
マンション内には、幼い子どもを育てている家族が他にも住んでいます。

子どものいる家族で住んでいる世帯同士なら、騒音についても「お互い様」と許容し合える関係にあるのでしょう。
住宅が「単身用」「ファミリー向け」「女性専用」などでカテゴリー分けされているのは、オーナーの意向だけでなく、そんなふうに建物内の住民のライフスタイルをある程度統一し、トラブルを回避する目的もあるのかもしれないと学びました。
ライフスタイルが多様化し、リモートワークが一般化した今、住宅の在り方やご近所との付き合い方にも変化が求められるときなのかもしれません。


「うちは1階だから、下の階への騒音は気にしなくても大丈夫!」と騒ぎ立ててはいませんか?
実は意外なところに影響を与えているかもしれませんよ。

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