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年賀状は印刷に頼らない男。'20

新年の挨拶は今や、「今年もよろしく!」とSNSに一言だけ投稿すれば済んでしまうから、わざわざ手間とお金をかけて年賀状を用意する人は少なくなってきました。

仲が良くても住所は知らない友達っているし、年賀状を送りたいがために住所を聞くってのも、学生の頃はクラスメートを相手によくやったけど、大人同士になると気味悪がられそうだし。

それでも僕は、仕事で関わりのある人を中心に、毎年数十枚の年賀状を用意して送っています。
それも、表面の宛名と差出人も、裏面のデザインとメッセージも、1枚1枚すべて手書き。

別に、よくある「手書きの方がキモチが伝わる気がするんですよねっ」なんて脳内お花畑な理由でそうしてるわけじゃなくて。
キモチが伝わるどころか「え……このご時世に表面だけじゃなく裏面まで手書きなんだけど……重っ!!」ってドン引きされる可能性の方が、むしろ高いはず。

AdobeのIllustratorなんかは普通に使えるし、PCの操作やWEB業界には割と強い方だから、手書きをスキャンで取り込んでデータにしたり、CSVファイルで住所録を作ったりができないようなアナログ人間というわけでもなく。

ただ、年賀状をプリントにするならデザインにはこだわりたいし、(もともと広告会社の制作部出身だからか)印刷の色合いなんかが思い通りの仕上がりじゃないと嫌だし、住所録も、この1年で住所や職場が変わった人のチェックやデータの修正はどのみち必要で……と、業者に発注するにもやらなきゃいけないことや気にしなきゃいけないことは、意外と多い(僕の神経質な性格の問題もあるのだけど)。

だったら、デザインはペンによる手書きに割り切って、年末に「今日はいちにち年賀状を書く日」って決めて一気にぶわーっと手書きしちゃった方が、僕の性格的には楽、というだけのこと。

作家業なので、年賀状を送る相手は主に、これまでいっしょに仕事したことのある出版社の編集者さん、雑誌のライターさん、テレビ局のスタッフさんなどで、「また仕事をください!」という営業活動も兼ねているわけです。

そして、57577の短歌を添えて。
これまでの自分の作品から、2018年はこの歌、2019年はこれ、って毎年違う短歌をデザインに選んでいるんですよ。
毎年届くのが楽しみになるでしょ?

……重いかな。
重いよね。
捨てづらいよね。
いっそ忘れ去られるくらいなら重っ!!ってドン引きされた方が、僕は良いから。(ドM)

次はいつ
会えるだろうね
全休符が
ずっと続いて
いるような歌

昨年の仕事で最も高い成果となった第一歌集『愛を歌え』より抜粋。

仕事の会合で名刺を交換しただけの関係。
飲み会で知り合ってSNSでつながったきり会ってない友達の友達。
その中で、本当に二度と会わない人は何人いるんだろう。
けれど、きっと今は、長い長い歌の中の、長い長い全休符が続いているだけ。
もしもまた会えたとき、どこからか美しいメロディーが響くように、出逢いの一つひとつを大切にしたい。そんなことを詠った一首。

2020年も鈴掛真をよろしくお願い致します。

歌集『愛を歌え』もよろしく。

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