草食男子の教えは無視するべきではないという話。

花子にだけは気ぃつけな。
真実でも気に障る事言うたらあかん。
花子を怒らせたら終わりや。
アイツが地団駄踏んだら
地球がぱっくり割れてな
そこに堕ちてのうなった奴が
沢山おるいう話や。




春の陽気に誘われて道草を食っていると、
前方から噂の花子がやって来た。
威圧する筋肉と鋭い睨みに
思わず目を逸らす。

昨日出会った男に教えられた通り、
僕は害のない純情な笑顔で会釈をした。
花子は僕の爪先から顎髭まで不躾に見て
ふん、と嘲笑い通り過ぎた。


「結局は瞳孔四角いんだ」


僕の微かな呟きが
花子の耳に届いたらしかった。

花子は突然目を血走らせ
大地に蹄を打ちつけた。
轟音と共に地面はひび割れ暗黒が覗いた。
気づくと僕は土に埋もれ天を仰いでいた。

あの山羊男が言った様に、
僕も山羊らしく大人しく
草でも食べていればよかったのだ。
山羊は所詮皆、草食動物。

だから言うたやないか。

山羊男の声が蘇る。

たんぽぽが咲く地面にめり込んだまま、
僕は去り行く花子の厳つい尻を見つめていた。

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(410字)

田原にかさんの企画に参加させていただきました。
ありがとうございます。

山羊の瞳孔って四角いですよね。
ちょっと不思議な感じがしますが、
ちゃんと理由があるのだそうです。
あ、草食系男子。というか
これは草食男子ですね。笑

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