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楽屋で、幕の内。| ポトスの危機!緊張の夏(猫飼い戦記 植物との共生編 7)Oct.23

誕生日の翌日が来た。緊張感みなぎる朝だ。

夏休みの定番だった朝のラジオ体操で歌う「ラジオ体操の歌」。
その歌詞は、「♪新しい朝が来た 希望の朝だ」。
どうだ、この真逆を行く朝。

前回の戦記6で、我が家に新しい観葉植物ポトスがやってきた。夏休み終了直後で、まだまだ夏の暑さが続いている。ベランダは西日がひどいため室内で育てる方がいいだろう。

ポトスは真夏の直射日光はダメで、室内ならばカーテン越しに日光が当たる場所がよいそうだ。ガーデニングに憧れるが植物を育てるのが苦手。その上訳あって連敗、もとい育てるのを挫折しつづける私だが、縁あって我が家にきてくれた植物のことはばっちり調べて世話をする。やる気はある。やる気はあるんです。

置く場所は窓辺の白い棚しかないじゃないか。ここ、日当りがいいから猫にも人気スペースだ。共生できるわけがない。

ほら、置いたら早速猫がやって来た。土の匂いが好きだから植木鉢の土を掘り起こすやる気満々。

鉢を持ち上げて「ダメ! これはダメ!」。と言っても分かるわけもない。いつまでもポトスを持って生活するわけにもいかない。

作戦は何もないままだった。このままポトスが食いちぎられていくのを傍観するほかないのか。猫の前には無力だ。この無常を何度味わえばいいんだろう。柔らかいふわふわの生き物に翻弄される、これが猫飼い人生なのか。

そこに我が隊の中の特殊部隊員、ボーイスカウト歴10年の夫が動いた。すぐ表に出て脱走する猫に隙を与えず、無言で隠密の身のこなしで素早く玄関のドアを開け閉めして出て行った。猫は「あれ?」と玄関で立ち尽くしていた。

それから約小一時間後、帰宅した夫。眼光鋭く周囲を窺っている。敵に気付かれてはならない。それだけのものを抱えてミッションから帰還したのだから。

「これだよ、これしかない」(続く)


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