福岡のライター4人が楽屋でワイワイ話すように好きなことを自由におしゃべりします。いろんなおかずが入った幕の内弁当のようになるかな。
うっかり忘れていた。前任猫という呼び方についてだ。 「前任者」がいるなら猫なら「前任猫」。うちに猫はいつも1匹だけだから、そう呼ぶことにしている。 5月、夫が動物病院から前任猫とともに帰宅した。(お時間あれば 猫と猫のあいだに1 をご覧ください) 前任猫は腎不全だった。 腎不全は猫にとって避けられない病気という。猫は祖先が砂漠生まれで少ない水で生きる環境に適応したため、濃い尿を出し腎臓を酷使する。老猫になると、腎機能が低下すると聞いた。 最初の動物病院の獣医は老齢で、「
植物にとって鬼門。それが我が家だ。ガーデニングに興味があるが育てる才能がない私。植えれば掘る、かじる、抜くで邪魔をする猫。植物が育った試しがなかった。 (その様子は、お時間あれば戦記1からご参照くださると嬉しいです) 植えては掘り起こされて全滅。長年戦ってきた。そうだった。 だが、一回だけ、植物が何の障害もなく育った奇跡の2カ月がある。 今から5年ほど前のことだ。 前任猫が17歳になった。 洋猫が混じった大きめで中途半端な長毛種。ひいひいばあちゃんくらいが、ペルシャ…
(前回までのあらすじ 詳しくは戦記7) 植物のある生活に憧れながら、育て方が下手な私。に、加えて観葉植物をことごとく荒らす猫のいる我が家。観葉植物を守るため猫との戦いに明け暮れる。植物との共生を半ば諦めていたとき、息子からの誕生日プレゼントがポトスだった。どうやってポトスを守るのか。 ========== そのとき、夫が動いた。 「これだよ、これしかない」 夫が抱えていたのは、鳥籠。 「鳥籠にポトスを入れるんだよ。そうすれば猫に手は出せないはず」 私は感動した。前
誕生日の翌日が来た。緊張感みなぎる朝だ。 夏休みの定番だった朝のラジオ体操で歌う「ラジオ体操の歌」。 その歌詞は、「♪新しい朝が来た 希望の朝だ」。 どうだ、この真逆を行く朝。 前回の戦記6で、我が家に新しい観葉植物ポトスがやってきた。夏休み終了直後で、まだまだ夏の暑さが続いている。ベランダは西日がひどいため室内で育てる方がいいだろう。 ポトスは真夏の直射日光はダメで、室内ならばカーテン越しに日光が当たる場所がよいそうだ。ガーデニングに憧れるが植物を育てるのが苦手。その
のど元過ぎれば、熱さ忘れる。一年後、私の誕生日がやってきた。 今年もちょっと奮発してあの店のケーキを買ってこよう。すぐ売り切れるから、午前中に行ってこよう。誕生日は自腹で家族にケーキを買うことにしている。好みがバラバラなので、ホールではなく1ピースを人数分買う。 この店は複雑なレシピのケーキばかりで、味が想像しにくい。だが口に入れると「こう来たか!」と驚き、世の中にはまだ知らない味があるんだな、と感銘を受ける。そんなケーキなので、電話での予約注文は私には難しい。店員さんに
猫と植物との共生は、無理なのかもしれない。 ここで白旗をあげるのか。 これまでいくつの戦いがあっただろう。土をほじられ、葉をちぎられ、囲いは破壊され。だが、植物のくくりに入れさせてもらえるなら、被害がないものがある。切り花だ。 花瓶に生けてもたまーに噛まれるくらいで、引きずり出されることもない。つぼみから花が咲いても興味がないようだ。ただ、花瓶の花は枯れたら捨てることになる。 違う、私は植物を育てたいのだ。育てる能力はさて置くとして、植物のある生活がしたい。 ガーデニン
誕生日が、戦いの始まり。 映画のキャッチコピーみたいなことが起きた。 夏休みが終わった頃が私の誕生日だ。日中は暑いが、たまに秋風っぽいものが肌をなでる。その日はたまたま休日で学校が休みだった。こっそり外出して、帰宅した息子が真っ黒に日焼けした顔で、真剣な表情をして「目をつぶって!」と言う。 言われた通りに目をつぶると、「手を前に出して」と言う。 「なにかなあ」と両手を出すと、「手のひらは上に向けて」と言う。 ずっしり何か固いものが乗る。「目を開けていいよー」。 恐る恐る
「本人がやる気にならないとですね」 「はあ」 「周りが勉強しろと言っても、本人にスイッチが入らないと」 「はあ」 先生、分かってます、分かってます。息子、受験生ですからね。 だが、「なんとかしたい」と心の底から願った瞬間、変わる。 工夫や努力を厭わず、困難に立ちむかい、成長できる。君ならできる。 私は信じているよ。 うちの猫ができたのだから。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ また惚れてしまった。 好きになってはいけないのに、どうし
タニーにもう会うこともないし、来てもらうこともない、おそらく。 タニーとは、仕事先で出会った。 タニーは悪くない。ただ我が家に猫がいる限り、無理なのだ。 朝顔で懲りたはずだった。植物のある暮らしへの憧れに再びスイッチが入ったのは、今から約3年前の冬。取材先の福岡県久留米市の植木店・造園業『SANTA ANA garden(サンタアナガーデン・藤吉盛樹園)』さんでのことだ。 三代目の藤吉俊毅さんはまだ30代で、代々続く植木店・造園業のスタイルを現代的に整えた。植物と共に生き
有り難いことにリレー日記のお声かけをしていただき、おっかなびっくりですが、一歩を踏み出すことにしました。皆さまのように書けるだろうかと緊張しています。前回のyanoさんのお話からつながりの、家での話です。 ---------------- とにかく、戦いだ。攻防を繰り返し、これでどうだと決め技を出してもまたやられる。 戦歴はこれまで全敗。我々が落胆して床に崩れ落ち、悔し涙をこぼすとき、相手は澄まし顔でちまっと鎮座ましましている。我が家には現在2代目の猫がいるが、初代、2