楽屋で、幕の内。|猫飼い戦記 植物との共生編1 July.17

有り難いことにリレー日記のお声かけをしていただき、おっかなびっくりですが、一歩を踏み出すことにしました。皆さまのように書けるだろうかと緊張しています。前回のyanoさんのお話からつながりの、家での話です。

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とにかく、戦いだ。攻防を繰り返し、これでどうだと決め技を出してもまたやられる。

戦歴はこれまで全敗。我々が落胆して床に崩れ落ち、悔し涙をこぼすとき、相手は澄まし顔でちまっと鎮座ましましている。我が家には現在2代目の猫がいるが、初代、2代目と人間に勝ち続けているのだ、ユーアーザチャンピオン。

何の話かというと、「植物を育てること」だ。

私は植物を育てるのは苦手だが、憧れは強かった。「植物のある暮らしって素敵」「ガーデニング、いいな」と、アパートのベランダにプランターを置き、朝顔の種を蒔いた。小学校で育てたことがあるから、これなら初心者でもいけるはずと思ったからだ。初代猫がまだ元気だった頃だ。

だが。蒔くや否や、うちの猫がやってくる。迷わず掘る。とりあえずうちにあった、洗って干して保管していた使用済み割り箸で柱を作り(ほら、役に立った)、ミカンのネットで野球場のフェンス状にプランターを囲み、上部も網を貼る。猫は手が出せず、じっと見ているだけ。でも、すき間に前足を器用差し込んでフェンスの破壊活動を開始する。ミカンネットの補強に入る。ヒモでネットのすき間を縫い付けて一枚ものにした。

一週間後、見ると猫がプランターの上で気持ち良さそうに寝ていた。ネットを押しつぶして上に乗って。日当りがいいから、気持ちいいよね。芽はつぶされていた。猫をのけて、フェンスを作り直し、ホームセンターにある猫除けグッズのトゲトゲシートもつけた。完璧だ。

ホッとしたところで、植物が成長することに数日後気付く。箸では高さが足りない、やり直しだ。しかも、朝顔はツル植物じゃないか。竹竿と害獣よけの網を導入。もっと高いフェンスを作り、朝顔の支柱もついでに立てる。その作業を猫は横で見ている。ときどき、ノーガードになったプランターの朝顔の芽をそーっとかじろうとするので、私が威嚇して追い払う。

完成したのは、ガーデニングというより要塞。ここに至るまで猫が双葉を掘ったりかじったりして、間引いてくれたお陰でちょうどよい数が残っている。いいことなのか、悪いことなのか。

しかしこのあと、ぐんぐん成長する朝顔の芽はネットから飛び出し、一番の成長点である先端を猫にかじられ、生き残ったつぼみもかじり取られて花の数も少なく、害獣よけネットに変な方向にツルが絡まる、癒されない何かが我が家のベランダを占拠することになろうとは、まだ知るはずもなかった。



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