カフェにて、素敵な人と出会う
今年のゴールデンウイークに、山あいにあるK町の日帰り温泉施設に行きました。
その時、施設内にお洒落なカフェを発見。驚いたことに、今、ブームのスイーツ「台湾カステラ」に出会い、テイクアウトしました。
そして今日、再び行ってきました。「温泉に入った後にカフェでまったり、しながら、焼き立ての台湾カステラを食べたいな~」と思いました。
思惑通り、台湾カステラとコーヒーをいただきました。ちなみにここのカステラ、台湾出身の町内の方の直伝の本場の味だと聞いていました。
日本のカステラとは違ったおいしさ。ふかふかしています。
周りは森に囲まれていて、緑を眺めながらのカフェタイム。
すると「カフェと台湾カステラの記事を書きたい!」と思い立ちました。
会計の時に責任者の方にお願いしたところ、快諾いただき、急遽取材に。平日でお客さんも少なく、良いタイミングでした。
さらに、店には台湾カステラのメニュー開発に大きく貢献した、地域おこし協力隊員のYさんが居合わせていました。Yさんはカフェのスタッフではないので、思わぬ巡り合わせに心の中でガッツポーズしてしまいました。
Yさんは20代の明るくて元気な女性。日本語も堪能です。
台湾カステラをカフェのメニューにすることになり、台湾に居るお母さんからレシピを教わり、試作を重ねたそうです。
台湾ではカステラは屋台で買って、歩きながら食べることが多く、「日本ではカフェでカステラを食べる」と地元の友達に言ったらビックリされた、と言っていました。
台湾カステラの話を聞いた後ふと、「なぜ移住先に東北を選んだんだろう」と思い、聞いてみました。すると「少し長くなりますが…」と前置きして話してくれました。
Yさんが来日したのは3年前のこと。
台湾で大学を卒業してから、1年ほど秘書の仕事をしていました。日本が好きで、いつか日本に留学したいと思っていたそうです。
日本語をあまり話せなかったものの、「20代の若いうちに」と勇気を出して来日。仙台に台湾人の知り合いがいたことが縁で、仙台の2年制の語学学校に通い、日本語を勉強しました。
台湾の中では比較的寒い地域の出身だというYさん。
2年間の間に東北で生活し、勉強の合間に各地を旅するうちに、気候や暮らしが肌に合い「東北が好き」になったそうです。
やがて、(語学学校)卒業後も暮らし続けたいと思うようになりました。宮城県内の求人を探したところ、K町の「地域おこし協力隊」の募集を知りました。
求人を見たところ、「やりたいと思っていた観光の仕事もできそう。でも外国人でも大丈夫かな?」と不安になり、町に問い合わせました。すると、担当者から「履歴書は後からでいいので、ぜひ一度町を見に来てください」と大歓迎されたそうです。
そして2020年4月から地域おこし協力隊として仕事を始めました。
Yさんの仕事は、「観光推進」。主にインバウンドの観光客に向けて、町の観光パンフレットの翻訳や、Facebookのファンページで町の風景や様子をPRしています。
K町に来て驚いたことは、「雪の多さ」。
台湾では雪が少なく、平地にはほとんど降らず、山に行ってもわずかだそう。来日してから住んでいた仙台も(平地であれば)1度に2~3センチくらいしか降りません。
しかし、山あいにあるK町は、一部が国の豪雪地帯に指定されているほど、雪が多い土地です。
初めてのK町での冬を経験し、雪がたくさん降り嬉しくなったそう。
雪の上に大の字になって寝転がり、お茶を飲みながら空を仰いだエピソードを、体で表現してくれました。
(K町の風景)
また、「K町には面白い人たちが多い」「周りの人の温かさを感じる」という言葉が時折出てきました。
例えば、同僚や、地元の人から、加美の方言を教えてもらうことが多いようで、実際に話してくれました。
「おしょすい(はずかしい)」「こっちゃこい(こっちにおいで)」など、地元の人と思うような発音で驚きました。
それだけ周りの人たちとコミュニケーションをとっているのでしょう。地域に溶け込んでいる姿が目に浮かぶようです。
普段の仕事や、K町の話を聞いているうち、いつしか未来の話になりました。
すると「インバウンドの観光客とK町の架け橋になりたい」と熱を込めて話しました。
各地を旅行した時、地域の人に話を聞くことで、その土地を深く知ることができたという経験が原点になっているそうです。
Yさんは、明るくチャーミングな方でした。日本語もスムーズに話す上、表情も豊かで話していてとても楽しかったです。
話す時も気さくながらも、言葉を選び、相手への気配りを感じました。地域でも愛されているんだろうなと思います。
またYさんに会いに、K町に行きたくなりました。
素敵な人と出会えることも、取材の楽しみの一つだと感じた、一日でした。