【感想文】『青の花 器の森』小玉ユキ
この本を読んだきっかけ
毎月読んでいるファッション雑誌で、「本・マンガ特集」で知った作品。「大人の恋愛」「仕事」というキーワードに惹かれて手に取った。
『青の花 器の森』は、小学館の月刊漫画誌「flowers」で連載中で、現在5巻まで単行本が販売されている。1~5巻までまとめて一気に読んだ。
あらすじ
主人公の青子は32才。長崎の波佐見焼の窯元で絵付けの仕事をしている。祖父母、両親も焼き物づくりに携わっており、当たり前のように、自然な流れで仕事を選んだ。
物語は、窯元に27歳の新人、龍生が入ってくるところから始まる。龍生は東京の美大を卒業後、海外で作陶活動をしていたが、ある事情で帰国。日本の技術を学び直そうと、一時的に波佐見にやってきた。
最初は仕事をめぐり対立していた2人だが、一緒に作品を作ることになり、徐々に距離が近づいていくが…
感想
青子と龍生のパートナーシップが印象に残った。始めは作陶への考えの違いから対立するが、思っていることをストレートに伝え合ううちに相手の良さを受け入れていく。二人で同じ方向を向き、やがて互いになくてはならない存在になっていく流れがいいなと思った。
私は、このように相手と向き合ったことはあっただろうか、と振り返る。嫌われたくない一心で自分の意見を引っ込めてしまいがちだった気がする。青子と龍生の関係がうらやましく感じた。
そして私も地方在住なので、主人公たちの生活が身近に感じた。例えば、社内の飲み会の時は、交代でハンドルキーパーを担ったり(車社会ですから…)、就職しても、独身のうちは実家住まいを続けたり(一人暮らししている人もいるが、実家暮らし率が高い)、お盆に親戚大集合だったり。地方で仕事をする30代女性の作品ということで、共感できる部分も多かった。
青子と龍生はその後、どうなるのか。続きが楽しみな作品である。