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東京旅行記 |日本人の思うアール・デコ


横浜東京旅行、二日目のことを書きます。

楽しかったすぎて写真が多すぎるので、
書くのに気合いが入りすぎて
全然更新できずにいた…

というわけで、二日目のこと。


この日は、
東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)での
「あかり、ともるとき」という
建物公開のイベントをメインに日程を組み、
その後はいつも通り気の赴くままに
ぷらぷらと日比谷をおさんぽして、
夜は帝国ホテルのホテルステイを満喫しました。

この日感じたことは、
どの建築も本当に素晴らしい…
そして本当に状態が良い…!ということ。
この日行った美術館もカフェもホテルも
全てが歴史のある建物だったのだけど、
その全てがきちんと管理されていて
人の手が行き届いている感じがあって、
建物たちが今でもちゃんと
「生きている」というのを肌で感じた一日だった。

やはり、マンパワーというのはすごい。
東京はいいなあ。

そういう場所を巡ることができたというだけで
本当に素晴らしすぎる一日だったと思う。

今思い返してもうっとりするくらい。


というわけで、
それらをひとつずつまとめていこうと思う。


東京都庭園美術館  建物公開
〜あかり、ともるとき〜


今回訪れたのは東京都庭園美術館。
ここは皇族であった朝香宮夫妻の自邸だった建物を
美術館として活用しているものだ。

フランスに留学した際に
現地のアールデコ様式に魅了された夫妻は
1933年、その様式をそのまま取り入れて
白金台に自邸を作ったのだ。

フランスの装飾美術家アンリ・ラパンが
主要な部屋の装飾を手がけ、
宮内省内匠寮の技師らが全体の設計を担ったため、
日本とフランスそれぞれの個性的なデザインが
融合する形で完成した建築なのである。

こちらは当時のお写真


邸宅建築としての価値が高いことから、
今では国の重要文化財として指定されており、
美術館としての活用もされている。

まさに「保存」と「活用」を
いっしょくたにしている美術館で、
それは美術館公式の基本方針としても
掲げられているようだ。

この理念というか信念というかを
私は以前からずっと素敵だなあと思っていて、
関東に行く際には必ず寄りたい!
と思うような場所になっていた。

普段は作品保護のために閉じられているカーテンを
年に一度のこの企画の時だけは
開け放っているそうで、
私はどうしてもこの企画に行ってみたかった。

この旅行が決まった瞬間に
すぐにこのチケットを確保して、
絶対にここには行こうね!とゴリ押しして
付き合ってもらったのだった。笑

今回の旅で私が一番楽しみにしていたのは、
間違いなくこの美術館。
実際に訪れてみたら、
期待していたよりも何倍も何倍も素敵だった。

というわけで、その素晴らしい建築美を
写真で振り返ろう。

美術館への入り口。
都内にこんな閑静な森があるとは…
わくわく
こちらが現在の美術館の外観。
1933年に建てられたとは
とても思えないこのモダンさ、
そして当時からほとんど
何も変わっていないことの凄さ。
企画展示のロゴが可愛くて📸
玄関入るとまずこれ。
何ですかこれ…?という感じなんですが、
これはこの邸宅の玄関用にと作られた
ガラスレリーフ扉と、その装飾の女神です。
特注品だそうです。(そりゃそうか)

美しすぎるけど庶民の我々には
もはや訳がわからなくて、
ほえ〜〜…😲という間抜けな声が出た。笑

これはアール・デコを代表する
フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックの作品で、
この邸宅はまるでルネ・ラリック美術館かのように
ラリックの作品がふんだんに使われているのだ。
ここから先も、
ラリックの作品が至る所で出てきた。
玄関のタイルがとっても素敵。
綺麗な幾何学模様。
人の手でひとつずつ天然石を敷き詰めたそう。
贅沢だなあ…
こちらは玄関入って目の前にある階段状のガラス窓。
階段状なのは
ここが本当に階段の裏側だからなのです。

階段の裏側をこんなに可愛くしようなんて、
誰が思いつくのだろうか。
ここがこの邸宅のシンボルとも言える、
最もアール・デコの美が集結している
大客室と香水塔。

この真ん中の白いオブジェのようなものが香水塔で、
上の照明部分に香水を施し
その照明の熱で香りを漂わせるという
とっても優雅な仕組みだ。
今でいうアロマディフューザーのようなものか。

こちらはアンリ・ラパンの作品。
国立セーヴル製陶所で製作され、
フランス海軍より朝香宮家に寄贈されたものだそう。

香水塔のあるこの広間は
人造石でできた朱色の壁で囲まれ、
床はタイルによるモザイクになっている。

戦前にこんな斬新な空間が作られていたとは、
本当に驚きだなあ。
(しかも当時からほとんど何も手を加えられていない)
ここが照明部分。
ここが光るの、可愛すぎる。
大客室のこのテーブルセットも本当にお洒落。
現代のデザインと言われても全然分からない。
本当に戦前のものなのか?
この邸宅は、本当にたくさんのお部屋や
階段やロビーやベランダがあるのだけれど、
その全ての照明のデザインが違うのだ。
これは大客室の照明。
こちらもルネ・ラリックのシャンデリア。
この壁紙も斬新。デザインも、色も。
森の中の庭園の情景が描かれている。
大客室を見渡す。
贅沢で素敵な空間すぎるよ…
こちらは大食堂。
来客との会食などに使用されていた場所。
美しい庭園を見ながら
こんなところで食事なんて、いいなあ。
よくよく見るとラジエーターカバーにはお魚が。
遊び心しかない。
大食堂の照明はまたまたルネ・ラリックの
「パイナップルとざくろ」。

よ〜く見ると本当にパイナップルとざくろで
ただただ可愛い。
食堂だから果物の照明にしたのかな?
こちらはその大食堂の壁紙。
色鮮やかだなあ〜。
この特徴的なデザインもさることながら、
戦前の建物の壁紙が
ここまで綺麗に保存されていることに
私は本気で感動しました。
大階段。ここから先の二階は
家族のプライベートスペースとして使われていた場所。

一階はフランスのアール・デコ、
二階は日本のアール・デコを
コンセプトとしているらしい。
こちらは階段を登った先にある照明の塔。
照明としてあまりに大きくて
よくわからないのだけど笑、
本当にこの照明の詳細は
何もわかっていないらしい。
ロマンありすぎ。
そしてお花柄がかわいいね。
2階のロビーの照明。
宇宙船みたい。
ここからは照明にスポットを当てて
写真を見ていこう。
どの照明もデザインが本当に斬新で素敵だ。
これらのデザインはそのほとんどが
当時の日本人によるものだ。
かわいい!私はこれがお気に入り。
葡萄のふさみたい。
こちらはこの美術館の象徴のような照明で、
ちょこんとした可愛らしい照明だが
その存在感はかなり大きい。
本場の西洋建築にはなさそうな、
日本人らしい遊び心に胸がときめく。
書斎。美しすぎる。
このお部屋は実は正方形なのだけど、
四隅に飾り棚を造り付けることで
円形に見せている空間なのだ。
外観は四角なのに中に入ると円形に見えるの、
すごく素敵だな。
天井なんか特に、丸っきり円形だもんな。

机、椅子、カーペットまで、
すべてフランスのアンリ・ラパンの設計。
妃殿下居間の、バルコニータイル
色合いが美しい
こちらはベランダ②。
ベランダが二つあるのもすごいし、
ベランダといっても屋内で
とにかく広すぎるのもすごい。
こんなに広いベランダ見たことないよ。笑
お風呂場の照明も可愛かった。
こちらは書庫。天井まで本棚が続き、
上の方にある本を取り出せるように
可動式の大きな梯子がついている。
壺のような形の照明のあるお部屋。
すべての配置も、灯の色合いもすごく素敵。
こちらはウィンターガーデン。
屋上にあるガラス張りの温室で、
ここで植物を育てていたようだ。
床は人工大理石でできた市松模様。
出光みたいなオブジェ。笑


…というわけで、庭園美術館の写真でした。
うーん、本当に、今見ても全てが美しすぎる。

大客室などの大広間などは
アンリ・ラパンやルネ・ラリックなどの
フランス人デザイナーによる製作で、
それ以外の二階のプライベートな部屋の
デザインや照明を手掛けたのは
天皇家の調度品などを製作した役所、
「内匠寮(ないしょうりょう)」という部の
役人たちだったようだ。

海外渡航もままならない時代に
ヨーロッパの最先端のデザインを学び、
それを実際の建築物に生かすというのは
どれほど大変だっただろう。

デザインや建築が本業だとはいえ、
お役所勤めの方々がそれをしていたと思うと、
その努力にひれ伏したくなる。笑

いやあ、すごい時代だ。


そして私は、
一階のラリックやラパンのような本場の
アール・デコももちろん素敵だと思ったけれど、
二階の内匠寮の職人たちが作った、
日本人の日本人による
「日本人解釈のアール・デコ」が
本当に素敵だと思ったし、
そういえば私はこういう
「擬洋風」の建築が好きなんだよな、
ということを再認識する良いきっかけとなった。



日本人の思う西洋。

その頃の日本人が西洋に憧れ、
当時の日本の最先端の技術で作ったのが
この旧朝香宮邸のような擬洋風建築だ。

純粋な西洋建築ではなく、
当時の日本人が西洋のエッセンスを取り入れ、
日本人のセンスで再構築した建物。

そこには西洋のような豪華絢爛さはないけれど、
日本人らしい細やかな配色や心づかいを
至るところで感じられる気がする。


体格もヨーロッパ人よりも小さいからか、
日本の洋風建築は本場よりも
かなりこじんまりとしている気がする。

そういうところもまた愛らしく、
素敵だなと思うポイントなのだ。

本場の西洋の建築のような
どでかいスケール感はないけれど、
当時の日本人の「遠い西洋への憧れ」を
そのままぶつけている日本の擬洋風建築というのは
本当に素晴らしく、貴重で、価値あるものだと思う。

そして、そういう建築を価値あるものとして
残そうとしてくれている東京という街を、
本当に素敵だな、と思う。

私は建築を見て、
それを作った人に思いを馳せるのが好きだ。

日本人の西洋への強い憧れを建築に見るのは、
過去の日本人と繋がれたような気がして
本当に楽しい。


そんなこんなで、
食い入るように全てのものを見てまわっていたら
気付けば2時間も経っていてびっくりしてしまった。

本当に本当に最高の時間だった。
見どころ満載だった。


世の中には私のまだ知らない、
でも絶対に好きだなと思うような建築物が
きっとまだまだたくさんあるんだよな。


そういう建築を見つけたら
必ず自分の足で見に行きたいし、
これからもたくさんの建築物を見てまわりたい。


二日目のことを書くつもりが
思いの外ボリュームたっぷりになってしまったので
続きはまた今度書くことにします。

本当に最高でした、庭園美術館。

では、おやすみなさい。

美術館コーデはこんな感じでした。
ロングブーツをおろした日✨


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