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DISK-Over Session『1972年レコード大賞完全再現ナイト』(12/13)のご案内

今年最後となるDISK-Over Session(ディスカバーセッション)第8回は、無類の「1972年レコ大ファン」であるスージー鈴木が、自前の秘蔵レコードと秘蔵映像を駆使して、50年前の大晦日の帝国劇場を完全再現!

昭和歌謡の金字塔『喝采』で大賞に輝くちあきなおみと、若き和田アキ子、沢田研二による三つどもえの戦いは、まさに圧巻。その他にも、天地真理、麻丘めぐみ、山本リンダ、郷ひろみが躍動するこの年のレコ大は、レコード大賞、ひいては昭和歌謡のピークを示した回と言っても過言ではありません。

南青山BAROOMの超高級音響からの「美爆音」に包まれて、ちょうど半世紀前の12月に思いをはせましょう。12月13日(火)18:30開場、19:00開演。会場のみ・配信なし。チケットは3,000円(ワンドリンク付き)でお待ちします。

まずは、この年のレコード大賞の凄みについて、10年前に書いた文章が発掘されましたので、ご一読ください。

■40年前のレコード大賞にしびれた夜(2012年6月10日記)

どうも最近頭の中が歌謡曲のことで占められている。昨夜もちょうど40年前(1972年)に開催された「第14回レコード大賞」のビデオを観て盛り上がってしまった。

写真は「歌唱賞」(レコード大賞の候補者)に選ばれた5人。ちょっと見にくくて恐縮だが、手前から高橋圭三(司会・黒)、小柳ルミ子(《瀬戸の花嫁》・赤)、五木ひろし(《夜汽車の女》・黒)、和田アキ子(《あの鐘をならすのはあなた》・白)、ちあきなおみ(《喝采》・黒)、森光子(アシスタント・白和服)、沢田研二(《許されない愛》・橙)。

まず、このため息の出るような5人・5曲のラインナップはどうだろう。そしてまた、芸能エリートの小柳、沢田にはさまれて、五木、ちあきという苦労人。そして中央に、当時としてはおそろしく背が高い174cmの和田アキ子がそびえるという並びも、造形的に美しい。

まずは小柳ルミ子《瀬戸の花嫁》。宝塚音楽学校を首席卒業の堂々たるファルセットを聴かせる。下馬評ではレコード大賞確実と言われていたようで、事実、ライバルアワードである日本歌謡大賞は手中におさめている。

次に五木ひろし《夜汽車の女》。ラインナップの中でこの曲は最も無名と思われる(私も知らなかった)。《待っている女》に続く藤本卓也作曲の「ロック演歌」でなかなかの珍品。翌年《夜空》でレコード大賞を取る助走期と言っていいだろう。

言うまでもなく《あの鐘をならすのはあなた》は大傑作。結局この曲で和田アキ子が最優秀歌唱賞に選ばれるのだが、そのとき沢田研二を連れ添って大泣きするシーンはあまりに有名。冒頭の低音の部分は緊張で不安定も、サビでは身体全体がパワーアンプになったような怒濤の歌唱を見せつける。実はこのころが和田の最盛期と思う。

しかし、この曲の傑作性は和田の最盛期のボーカルによるところも大きいが、それ以上に、この時期に和田にこのような「ゴスペル歌謡」を提供した森田公一の才能を評価するべきだと思う。

次なる、ちあきなおみ《喝采》の素晴らしさについてはここでは触れない。ただ、真心ブラザースの桜井秀俊によるちあきのボーカル評があまりに素晴らしいので引用しておく―――「ノドにオーバードライブが内蔵されている」。

最後の沢田研二《許されない愛》は言わば「プログレ歌謡」。これはここからのあまりに輝かしい歴史の序章に過ぎない。ただあの、何とも艶っぽい声質の片鱗は十分に見せつけてくれる。

最終的に、下馬評が高かった《瀬戸の花嫁》を出し抜いて《喝采》がレコード大賞に輝く瞬間、これは日本歌謡史のピークだと思う。

この年新人賞で郷ひろみと麻丘めぐみ、大衆賞として天地真理が選ばれていて、つまりアイドル時代の布石はもう打たれている。また同時に新人賞で森昌子がノミネート。つまり『スター誕生』の時代、それによるナベプロの瓦解の足音が近づいてきている。そして翌々年の森進一《襟裳岬》、その翌年の布施明《シクラメンのかほり》で歌謡曲とフォークとの融合が図られていく。

アイドルポップスへ、『スター誕生』へ、フォークソングへ。これは狭義の「歌謡曲」が解体されていく経緯だ。

狭義の「歌謡曲」。それは、スナックで水割りを飲みながら大人の色気と妖気を漂わせたプロフェッショナルなボーカルを愉しむ音楽。そんなザ・歌謡曲の頂点に輝くちあきなおみ《喝采》!

というわけで最後に一言だけ。最近カバーブームで、色んな歌手が《喝采》をカバーしているが、どれほどの覚悟を持ってのことなのだろう。ワタシに言わせれば、もし本当のプロフェッショナルなボーカリストなら、《喝采》なんて怖くて怖くてカバーではないと思うのだが。

40年前に形作られたザ・歌謡曲の頂点。それはたぶんスカイツリーよりもはるかに高いのだから(引用終了)

■『1972年レコード大賞完全再現ナイト』の見どころ

まずは、この年のレコード大賞に輝くちあきなおみ。実は会場となる南青山BAROOMは、ちあきなおみが所属していた日本コロムビアの系列で、ちあきなおみのレコード盤が多数所蔵されています。

それどころか、日本レコード大賞特製、東郷青児デザインの楯「裸婦」も実はBAROOMに展示されているのです。当日は、そんなちあきなおみ関連のレコードその他を、BAROOMの高級音響セッティングによる「美爆音」で楽しみたいと思います。

続いて、しのぎを削った和田アキ子『あの鐘を鳴らすのはあなた』、沢田研二『許されない愛』も「美爆音」で。特に、こちらも昭和歌謡の金字塔『あの鐘を鳴らすのはあなた』のベースは、大音量で確かめるべきプレイでしょう。

これら72年レコ大の主役陣に加えて、小柳ルミ子、麻丘めぐみ、天地真理、平田隆夫とセルスターズらの音源もご用意します。

あと、新(珍)企画として「1972年リアル新人賞」というコーナーも設けたいと思います。ノミネートされたメンバーは、キャロル、荒井由実、チューリップ、アリス、西城秀樹、郷ひろみ――すごいメンバー!

そんなこんなを、スージー鈴木の秘蔵レコード音源や秘蔵映像(こちらは当日のお楽しみ)を駆使しつつ、50年前の大晦日の帝国劇場を完全再現します。ぜひお越しください。


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