まほうのアイテム を とりだした!
……現実でこんなことを唱えても、きっと何も起こらないだろう。
虚しく自分の声が空間に消えていくのが関の山だ。
おとなしくゲームでもしよ……
ということで、今回のテーマはゲームである。
今までにないレベルでの乱暴な書き出しだが、どうか逃げたりしないでほしい。
自分にとってゲームとは、長らく続いている趣味の一つと言えるものだ。
一口にゲームをすると言っても、人によってはまったく違う考え方があるはずだ。
ボタンを叩いて返ってくるレスポンスの気持ちよさを重視する人もいれば、じっくりと世界観に入り込んでストーリーを楽しむ人もいれば、競技的に捉えて他人と腕くらべをする人もいる。
最近ではクラフト系と呼ばれるジャンルの台頭により、ものづくりの遊び場に立つプレイヤーも多いことだろう。
自分は幼い頃からゲームに触れて、色んなものを操作してきた。
あの感覚は唯一無二のものだと考えていて、自身が持たない様々な能力を駆使し、その世界の中に溶け込み、自分がその体験を会得できたかのような錯覚めいたものに陥らせてくれる。
アニメやドラマ、映画などでは主人公や物語に後ろからついていく感覚なのだが、ゲームでキャラクターを操作している時は、どちらかというと並走している感覚に近いと思っている。
なお、本というものにおいてはページをめくるという、これまた操作めいたものを行っているので、もう少し別のなにかのような気がしているが、本題と逸れるのでここでは追求しない。
……そう、自分はゲームをプレイする上ではストーリーというものに重きを置くスタイルをとることが多い。
ドラクエに代表されるようなRPGがそこにある世界に触れるのにはとてもうってつけなのである。
物語や画面の中心に存在しているのは主人公であり、そのキャラクターを通して様々な体験をいつも与えてくれていた。
エンディングに到達する頃にはすっかり愛着が湧いたりしていて、別れに対する寂しさや、そこから先の見えないところで元気にやっていけるのだろうかといった不安なんかがありつつも、一つのパッケージングされた物語を無事に終えられたことに対する読後感のようなものに支配される。
なにせそこまで一緒についていったのだから、その感慨はひとしおであるはずだ。
自分の意志でついていったようなものでもあり、逆に連れていってくれたようなものでもある。
やはりゲームプレイというものは他では代えがたい不思議で特別な体験であり、そんな妙な一心同体のようなものを得るためには、コントローラーを握ることは欠かせない。
自分にとってコントローラーとはキャラクターとの繋がりを持たせてくれる最高の魔法のアイテムだ。