人と関わるということ
かつての僕は、友人に頻繁に連絡を取る性格でなかった。
それゆえ、連絡を取ることができる友人もそう多くなく、当時は趣味に力を入れていたため特に困りもしてなかった。
ところが彼女ができてからは、ほぼ毎日彼女と話すようになった。
ほぼ毎日連絡を取りたがる彼女に時々辟易させられることもあったがとても楽しかった。
ところがコロナ禍に入ってからは、迂闊に出掛けられなくなったので、また元のように自分の趣味の世界に籠り勝ちとなった。
友人に連絡を取ることもほぼ皆無となった。
ほぼ毎日連絡をしている彼女とのやり取りでは、次第に同じような話題を話すようになっていた。
やがて、話題が尽きてなんとなく彼女とのコミュニケーションがマンネリ化してきていると感じていた。
おそらく、彼女も同じような思いがあったのだろう。
そして、彼女の元にいつも側にいてくれる、魅力的な男性が現れ、彼女はその人に惹かれた。
――真相はわからないが、ありそうな話だ。
元カノさんは今、新しい彼氏と幸せに過ごしているようだ。
その人は友人が多い人らしく、その人との関わりで、新しい繋がりが出来たことを喜んでいた。
――ふむ。なるほど。
元カノさんの呟きを見て、自分でも驚くほど冷静に思考を巡らせていた。
人と多く関わる人は他の人の世界、価値観に多く触れる。
それゆえ、話題にも事欠かない。
誰かの影響を受けて、新しい事を始める原動力にもなるだろう。
それらを他の人とシェアすることで、さらにその世界を深めることができる。
また、仲間も増える。
そうして、アクティブに活動している姿は……。
――なるほど、凄く魅力的だ。
以前までの僕は、自分の世界は持っていたが他の人と世界を共有したり、他の人の世界に積極的に触れようとはしなかった。
それゆえ、自分の世界に籠りがちになり、その場で停滞してしまっていた。
――そうと分かったなら話は早い。
僕も変わるときだということだ
あの人生レベルの失恋で、僕は多くの事を学んだ。
自分の至らないところを嫌というほど痛感した。
至らないところがはっきりした以上、これらを放置する選択肢は無い。
ところが、僕という人間は、非常に環境に左右されやすい人間だ。
このまま一人では努力し続けられないだろうし、一人ではまた知らず知らずに自分の世界に引き込もってしまうかもしれない。
それ故に、まずは僕の数少ない友人達の中で最もアクティブで魅力的な友人の世界に触れてみることにする。
昨日早速、その人が配信している枠にお邪魔してきた。
彼を含め、彼の周囲の人達は暖かく迎えてくれた。
人と関わるということは、こんなにも楽しいことなのかと、改めて知った。
新しい世界に触れることもできた。
――そして、楽しかった。
自分の考えが正しかったことを確信した。
この調子で人と関わるということに少しずつ慣れていこうと思う。