ChatGPT o1 pro modeの「樹形図プロンプト」とは何か?
「o1 pro mode」で「影響の系譜」を数値化し、樹形図で可視化する新しい楽しみ方
みなさんは、「o1 pro mode」という新しいAIモデルをご存じでしょうか。このモデルは、ただ情報を教えてくれるだけではありません。ちょっとした工夫で、複雑な影響関係をわかりやすく“見える化”できる、とてもユニークな使い方ができるのです。ここでは、その中でも「影響を受けた系譜」を定量的な割合と樹形図で示してくれる便利な手法をご紹介します。
「◯◯が影響を受けた系譜を定量的に樹形図にして」といったプロンプトを「o1 pro mode」に投げかけてみると、思いもよらなかったほどスッキリと整理された結果が返ってくることがあります。通常、ある作品や制度、理論などが生まれるまでには、さまざまな先行要素が複雑に影響を及ぼしています。その関係は歴史的背景、思想的潮流、他者の業績など多岐にわたるため、文字情報だけで理解するには骨が折れることも多いのではないでしょうか。
ところが、「o1 pro mode」を使えば、これらの要素が階層構造の樹形図になり、それぞれどれくらいの割合で影響を与えているかが数値化されるのです。一目で「この要素が約何%ぐらい大きな比重を占めている」「複数の源泉が混ざり合っている」などがわかり、情報整理がグッとラクになります。
たとえば、以下の4つの応用例をご覧ください。これらはあくまで一例ですが、実際に「o1 pro mode」で「影響を受けた系譜を定量的に樹形図にして」と指示すれば、こうした形の出力が期待できます。
【応用例1】日本法に影響を与えた他国の法律
近代日本の法制度は、ドイツやフランスなど大陸法系、イギリスやアメリカなど英米法系からの影響を受けながら整備されてきました。しかし、その割合は漠然と知っているだけではピンときにくいものです。「o1 pro mode」に「日本法に影響を与えた他国の法律を定量的に樹形図にして」と頼んでみると、例えばこんなイメージで示されます。
【日本法】(100%)
├─【大陸法系からの影響】(約60%)
│ ├─ドイツ法(約30%)
│ └─フランス法(約30%)
└─【英米法系からの影響】(約40%)
├─イギリス法(約20%)
└─アメリカ法(約20%)
これを見ると、日本の法制度がドイツ・フランスをはじめとする大陸法系から約6割、イギリス・アメリカといった英米法系から約4割の影響を受けているとイメージしやすくなります。文字だけで説明されるとぼんやりしがちな構造が、パッと目に入る形で整理されるのです。
【応用例2】量子力学の成立に影響を与えた人物
20世紀初頭に成立した量子力学は、マックス・プランクやアインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルク、シュレーディンガー、ディラックなど、多くの科学者たちがさまざまな角度から貢献しています。こうした複雑な学問史を「o1 pro mode」で整理すると、こんな風に可視化できるかもしれません。
【量子力学】(100%)
├─【初期の基礎付け】(約40%)
│ ├─マックス・プランク(約20%)
│ └─アルベルト・アインシュタイン(約20%)
├─【原子モデルと不確定性原理】(約30%)
│ ├─ニールス・ボーア(約15%)
│ └─ヴェルナー・ハイゼンベルク(約15%)
└─【波動関数の定式化】(約30%)
├─エルヴィン・シュレーディンガー(約15%)
└─ポール・ディラック(約15%)
これだけ見るだけでも、量子力学という大きな理論が、初期基礎づくり、原子モデルの確立、波動関数の定式化といった複数の段階的貢献によって成立したこと、そしてプランクやアインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルクらがそれぞれ約15~20%ずつの比重でその流れを支えていることが直感的にわかります。
【応用例3】国立競技場が影響を受けた建築様式
建築物のデザインは、ある特定の流派や建築家から直接学んだものだけでなく、歴史的な建築様式や環境配慮設計、伝統技法など、さまざまな要素がミックスされて生まれます。新国立競技場を例に「o1 pro mode」に「国立競技場が影響を受けた建築様式を定量的に樹形図にして」と投げかけると、以下のような図が期待できます。
【国立競技場デザイン】(100%)
├─【モダニズム建築】(約40%)
│ ├─ル・コルビュジエ流の機能主義(約20%)
│ └─ミース・ファン・デル・ローエ的シンプルミニマリズム(約20%)
├─【日本伝統建築】(約30%)
│ ├─木組み構造(約15%)
│ └─和風庭園的空間構成(約15%)
└─【サステナブル建築】(約30%)
├─パッシブデザイン(約15%)
└─バイオフィリックデザイン(約15%)
この樹形図によって、国立競技場のデザインが特定の様式だけでなく、モダニズムや日本伝統、環境配慮型デザインなど、多様なエッセンスをバランス良く取り込んでいる様子がわかります。どれが何パーセントかを視覚的に示すことで、「あ、この建築物はこれらの要素がこういう割合で混ざっているんだ!」と素早く理解できます。
【応用例4】村上春樹が影響を受けた作家
文学においても、著名作家がどのような先人たちから影響を受けているかを整理するのは面白い作業です。村上春樹が世界で人気を博す独特の文学スタイルを育む際、どの作家がどのくらいの割合でインスピレーションの源泉となったのかを、次のように可視化できる可能性があります。
【村上春樹作品世界】(100%)
├─【アメリカ文学】(約50%)
│ ├─F・スコット・フィッツジェラルド(約20%)
│ ├─J・D・サリンジャー(約20%)
│ └─カート・ヴォネガット(約10%)
├─【ハードボイルド伝統】(約30%)
│ └─レイモンド・チャンドラー(約30%)
└─【その他世界文学・思想】(約20%)
├─ガブリエル・ガルシア=マルケス的魔術的リアリズム(約10%)
└─トーマス・ピンチョン的ポストモダン(約10%)
このような図があれば、「村上春樹はアメリカ文学から半分、ハードボイルドから3割、そして魔術的リアリズムやポストモダン要素を残り2割ほど組み合わせているんだな」と、直観的に理解できます。漠然とした印象ではなく、あたかも作品の“DNA”を読み解くような楽しさがあります。
以上のように、「o1 pro mode」を使って「◯◯が影響を受けた系譜を定量的に樹形図にして」といったリクエストを投げかけると、対象がいかなる影響源からどれだけの割合で形づくられているかが、わかりやすい“地図”となって表れます。これによって、歴史的・文化的・思想的な背景を、大きなパズルのピースがどれほどの面積を占めているかを見るように理解できます。
難解な情報の整理が億劫に感じることもあるかもしれませんが、こうしたビジュアルと数値によるアプローチは、楽しみながら理解を深めるのに役立ちます。ぜひみなさんも、「o1 pro mode」を活用して、自分が興味を持つ分野や人物、作品について「影響を受けた系譜」を探ってみてください。新たな発見があるかもしれませんし、知識の裏側に潜む豊かなストーリーを味わえるチャンスにもなるはずです。