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山川方夫「蒐集」朗読のための作品考察

山川方夫・作「蒐集」をYoutubeに投稿しました。
前後編、2回に分けて朗読しました。
再生リストはこちらから

朗読の準備のために、以下の通り考察をまとめました。

作品背景

  • 作者:山川方夫 1930(昭和5)年ー1965(昭和40)年 

  • 発表:「ヒッチコック・マガジン 第四巻第七号」宝石社 1962(昭和37)年6月1日発行

  • 舞台:ニューヨーク、キリウイナ島

  • 魅力:巧みな情景描写と緊迫感あるストーリー。壺という日常的な対象が、人々の心の奥深くに潜む欲望や妄念を浮き彫りにします。

  • 作品のテーマ:

    1. 欲望と妄念の力: 主人公のジョージ・サンバードは美しい壺に魅了され、その壺を手に入れるために遠い島へ旅立ちます。この壺は「物」でありながら、彼の心の中の欲望の象徴です。作品は、登場人物がどのように欲望に取り憑かれ、それに翻弄されるかを浮き彫りにしています。

    2. 人間の脆さと喪失感: 主人公の行動は、彼の内面の葛藤や孤独感を反映しています。壺を手に入れることで何を得るのか、何を失うのか。物語の「その後」にある喪失感を予感させ、読者に深い感慨を呼び起こします。


物語の構成(起承転結)

1.    起 : ジョージ・サンバードはニューヨークの大学の美術史の教授であり、陶製の瓶や壺を愛する収集家です。 同僚のボーモン教授宅のパーティで、彼は美しい壺に魅了されます。

2.    承 : ボーモンが急死し、壺は遺言のとおり、ボーモンの棺と共に埋葬されるます。深い喪失感がサンバードを襲います。ボーモンの残した言葉を追って、キリウイナ島へ旅立ったサンバード。    

3.    転 : 島には確かに同じような壺がたくさんありましたが、ボーモンの壺のような品位と気力が足りません。壺を作った人物を探すために、サンバーは、島でのボーモンの足跡を追い、巫女をしていた老婆に辿り着きます。壺を蒐集している、と語るサンバードに老婆が興味を持ちます。

4.    結 : 老婆の収集物を見せられ、驚愕し恐怖に震えるサンバードでしたが、壺を欲しいと願う欲望に勝てず、老婆の要求を呑みます。喜びに包まれるサンバードでした・・・


考察

舞台はニューヨーク、キリウイナ島ですが、物語の背景には、作者が身を置く、当時の日本社会(戦後から10数年たったころ)が反映されていると思います。

主人公のジョージ・サンバードは美しい壺に魅了され、その壺を手に入れるために遠い島へ旅立ちます。

「白い壺」は物質的な対象でありながら、彼の心の中にある欲望や執着心の象徴です。戦後復興まもない社会状況に影響されている、と思います。

作者・山川方夫の巧みな文体と緊迫感あるストーリー。

壺の物質的な美しさと、サンバードの執着心の闇、欲望と喪失、

多大な犠牲を払って壺を手に入れたサンバードの心理と未来を探求したくなる作品です。

朗読 表現計画を練る


心理サスペンスです。登場人物の内面の葛藤や欲望を表現したいです。

「白い壺」をサンバードが見つける瞬間は、「運命の恋人」を見つけるのと同じ。

思いっきり!「白い壺」にスポットライトを当てたいです。緩急と間を駆使しました。


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