2019-05-14 経産省と本気でアジャイル開発をやってみた!制度ナビPJで見えたGovTechのリアルと未来 #GovTechJP
2019/05/14 に開催された 経産省と本気でアジャイル開発をやってみた!制度ナビPJで見えたGovTechのリアルと未来 のイベントレポートです。
●イベント概要
「行政のサイトって、使いにくい!」「何回も同じことを入力しないといけない」
とにかく評判の悪い行政のデジタルサービス。
一方で、法律や人材、文化など行政ならではの事情もあります。
批判や苦情を言っているだけではいつまでも使いやすいサービスは生まれてきません。
現場でリアルを知り、一緒に考え、手を動かすことで分かることや見えてくる未来があります。
「ともに考え、ともにつくる」がモットーのCode for Japanは、アジャイル開発での実績が豊富なギルドワークスとともに、中小企業庁「制度ナビ」のアプリ開発に挑戦しました。
どのようにプロジェクトを進めたのかどのようなアプリができたのか?
プロジェクトで見えてきた行政のアプリ開発のリアルと今後について関係者が本音で話します。
また、公共サービスは行政だけでつくるものではなく、民間サービスと連携することで市民にとって使いやすいものになります。
民間事業者にも登壇いただき、行政は民間サービスとどのように連携していけばいいかについて議論します。
サービス開発に悩む行政職員の方、行政サービスを変えてみたいと思う技術者の方、なぜ行政サービスは使いにくいのかという素朴な疑問をお持ちの方、幅広い方に参加していただきたいと思っています。
ぜひ、ご参加ください!
■挨拶&Code for Japan紹介
関 治之さん [Code for Japan]
※途中参加でほとんどお話伺えずでした。。。
■スマート公共サービス官民協議会から見えてきたこと
太田 直樹さん [Code for Japan]
●未来投資会議
・6月 未来投資戦略
-> 国の成長戦略
・8月 概算請求
・年を越えて承認
●GovTechってなんの意味があるの?
・公民連携して良いサービスを
前提
データがオープンになっている
行政が持っているがAPIがある
プライバシーが守られている など
電子化が進んでいないので進めたい
・ビジネスが進めやすくなる
申請の多くは紙でのやり取り
日本のビジネスの立ち上げやすさは右肩下がり
●LGWAN問題
・インターネット遮断
・壁の外で側で連携
民間子育てポータル
マイナポータル
自治体
●自治体向けアプリマーケットプレイス
・他の自治体でこんな便利なのがある!が見つけられるようになる
・「オープンデータをつくるのは自治体、使うのは関係ない」
な感覚を変えていく
■経産省DXの取り組み
吉田 泰己さん [経済産業省]
●行政手続きのデジタル化
・行政サービスと民間サービスの質の差が広がってきている
・一部の電子申請止まり
●DXでやること
・国民事業者にとって便利な行政サービス
・職員の効率的・効果的な業務
-> 2つはつながっている
●ユーザー中心のサービスへの移行
・デザイン思考
ユーザ視点でサービスデザイン
・アジャイル開発
ユーザに届く頃には古い
ユーザを意識していないから使いにくい
・データ分析
システムがイケてなかったからデータがたまらなかった
・優れたUI/UX -> 申請データの分析 -> 施策立案 のサイクル
●経産省DXオフィスを立ち上げ
・フロントオフィス、バックオフィス両方のデジタル化を進めている
・ビズリーチでエンジニア募集
・シビックテック、クラウドソーシング、アジャイル開発
のベンチャーと協業
・tableauを使い始めり
●法人デジタルプラットフォーム全体像
・法人インフォ
法人番号を軸にデータを紐付けていく
オープンデータとして公開
・GビジネスID
共通の認証部分
後ろのサービスができてから
●補助金フロー
・複雑なフローを一部分だけシステム化していた
・個々の補助金をシステム化していた
-> 標準化して共通システム化
●中小企業支援プラットフォーム
・ミラサポplus
・分析基盤
●法人データ交換基盤
・エストニアのX-Roadのような仕組み
●目指すところ
・行政サービスが社会に溶け込んだ世界
・サービスデザイン思考とアーキテクチャ思考の両立
・行政 x テック を実現するエコシステムを広げていく
■制度ナビPJ紹介&デモンストレーション
松原 匠さん [経済産業省]
●そもそも
・Q: 制度ナビってなに?
補助金等の情報を適宜適切に取得できる
・Q: なぜつくったの?
中小企業庁の職員でも適切な支援制度を探せる気がしなかった
●従来の情報提供
・中小企業施策利用ガイドブック
電話帳のような厚み
ここから見つけるのは難しい
・ミラサポ
施策マップがあったが、いろいろ合って消えてます。
使える施策を調べられば良いが、使いにくい
●学んだこと
アジャイルは素晴らしい
でも行政自体が変わらないとダメ
●制度ナビのデモ (デモ用に一時公開)
・企業のプロフィール入れる
使えるものが見つかる
・公募期間が1ヶ月とか
気づけない
メルマガだと埋もれる
プッシュ通知
・高額な補助金などがあるがはじめは気づけない
人気のものを見せる
・検索結果が多数だと見る気が起きない
絞り込みを細かく用意した
・どう感じましたか?
使いやすそう
UIも今どきな感じ
でも、もっとできたのでは?
●やったこと
・インセプションデッキ
方向性が明確になった
・ユーザーテスト
ユーザー目線を確保できた
・スプリント開発
機能ごとに深い議論ができた
●見えた問題
・定義の明確化
中小企業の定義 は制度で違う
創業者、業種、先進的 補助金によってバラバラ
・補助金リテラシー
補助金の交付要綱って知ってますか?
80Pくらいある
ルールも複雑
毎年変わります
・データ問題
アプリの実証に使えるデータがない
集めようとしたらバラバラ
委託していてデータが役所にない
●これから
・行政の担当者それぞれが意識をしていく
システムがないことが当たり前
・利用者側も不便だと気づき訴えていく
80Pの紙が渡されても、そんなもんだよねで進んでしまう
このDXの活動から変えていきましょう!
■正しいものを正しくつくれているか?
市谷 聡啓さん [ギルドワークス]
●ミラサポのリニューアル案件
・助成金、補助金の情報提供サイト
・「アジャイル開発で行きたい」
・この言葉からわかることがたくさんある
暗黙的な期待
関係者間の理解に大きなばらつきがある
スプリントの空振り、コレジャナイになるのは目に見えている
・アジャイル開発 = 早く(少しだけ)形にできる
・本当に期待と合っている?
はじめての〇〇 は、期待マネジメントが必要
●アジャイル開発だけで、何をつくるべきかは見えない
・つくっているものが合っているかは捉えられる
・当てる先が合っているかは分からない
-> 仮説検証型アジャイル開発
●価値探索
・想定ユーザーはどういう状況にあり、何を求めるのか?
・関係者で
インセプションデッキ
仮説キャンバス
想定ユーザー・インタビュー
「提案してー」「やってきてー」ではなく
「自分たちで(も)やる」
・自分たちが使えるかどうかがわからない
当てはまるのか、探せるのか
・新しい価値の仮説
探さないというアプローチ
プラットフォームが探してくれる
-> レコメンド
他人が探してくれる
-> ランキング
●現実対越境
・プロダクトの全体感欠如
3アプリに分かれていた
担当分担、スケジュールが不整合
ユーザーの体験がアプリで分断される
・データの境界は組織の境界
支援策のデータ更新が難しい
電話連絡
電話の相手もどこにあるか分からない
これまでこうしてきた という
現状維持の大モーメンタム(国家レベルの)
に挑むには、全員が探索的でなくては
行動で示す がファースト
行動したら 結果が生まれる
結果は すべての人の宿題になる
●自分たちだけで越境できないのなら、ユーザの力を借りて越境
・3アプリ合同のユーザーテスト
・リアルな反応を全員で受け止める
全然わからないなど
自分たちの力の無さを実感
-> 体験を次のバックログにつなげる
アジャイル開発 = 即、良い感じのプロダクト創造 ではない
固定的な役割分担、組織の境界が理想的なプロダクトづくりを阻む
●正しいものを正しくつくる
6月発売!
amazonで予約受付中
■民間による行政サービスのアジャイル開発
石井 大地さん [グラファー]
●Graffer
・民間で行政サービスを提供するとどうなるか
・Peope's Digital Government
・国と地方の手続きの種類は、46,000
●何が不便か
・提出先がばらばら
・紙で出す
・仕事を休んで窓口に並ばないといけない
・windowsでjava入れて、、、な電子申請
●創業コンセプト
200兆円: 日本の人件費
10兆円: 法務労務に支払っている費用
-> GDPの 1/20 をつぎ込んでいる
・10兆円をマーケットとして捉えて起業
・面倒な行政手続きを代わりにやってくれる
●サービス
・Graffer 法人証明書請求
登記簿、印鑑証明書など
法務局に並んで出していた
webで指定の住所に届く
・Graffer フォーム
個人向け
戸籍謄本、住民票、独身証明書
webで手続き
中では印刷して代行している
・Graffer 手続きガイド
転出/転入/転居、出生/死亡/相続 など
自治体と連携して、窓口まで紹介
・Graffer 窓口印刷
フォーマットはGrafferで持っている
スマホで入力して、自治体で印刷
・Graffer 電子申請
マイナンバーカードから完全な電子申請
・くらしのてつづき
用語解説、手続きのハウツー記事など
●構造
People
-> Graffer
- Paper -> Gov
- API -> Gov
- Scraping -> Gov
●経緯
・3.5人でつくってきた
・技術力ではなく、組織力
●組織 = 文化
・Leadership
指示待ちではなく
自分で調べて、自分で考え、自分で動く
・Frankness
行間を読むのではなく
事実に基づくフィードバックで軌道修正
・Citizenship
短期的な利益を追うのではなく
社会にインパクトを与え長期的に成長
指示を待たずにどんどんつくる
フィードバックし合う
「つくっちゃった」
リリースしてみて
声を聞いて改善
インパクトを測って グロース or 撤退
知見を新たなアイデアへ
■パネルディスカッション1
松原さん
林さん
市谷さん
関さん
平本 健二さん [内閣官房]
●sli.doの質問
だいたい @k_hiramo さんが twitterで回答してくれていますw
#GovTechJP
●どう巻き込んでいくのが良いと思いますか?
松原さん
集められなかった
当事者意識をもたせる
林さん
実際に手を動かしてもらう、考えてもらう機会を作っていく
ワークショップ
●アジャイルの納品はいつだと思いますか?
平松さん
落とし所を探っていく
林さん
トレードオフスライダーでD優先を決めた
●請負契約ではなく、準委任契約になるのでしょうか?
市谷さん
準委任契約らしくやると大変なことになる
請負的に、まとめて納品する考え方も必要
●行政は使いやすいデジタルサービスを作れるのか?
もっとこうしたらうまくできた、理想的にはこうしたいなど
林さん
アジャイルでプロセスの改善はできた
UXの5段階モデルのつめかたはこれから
松原さん
一気にデジタルは難しい
2段階に分けて進める
補助金リテラシー問題
高い人は支援機関などにいる
リテラシー高い人を便利にすることから
市谷さん
ユーザの視点に立つ
今までの考え方だと分けるのが普通
ユーザーから見たら「なんで分かれてるの?」
関さん
プロジェクトマネージャー不足
ユーザー視点で進めるを、進めるロールがいない
部署間を調整して進めるロール
平松さん
それぞれの分野に強い人を入れてきた
これからはユーザ視点で全体を見れる人も入れたい
●今年度は、これからどうなっていきますか?
林さん
ミラサポのリニューアルは進む
ユーザー体験全体を捉えたマネジメントなどはこれから
松原さん
大手とやり取りしてきた
新しいやり方を進めてきた人たちとやってみた
問題意識を持った人と進めていくのが
行政を変えていくきっかけになるのではないか?
■パネルディスカッション2
吉田さん
平本さん
木村 康宏さん [freee]
石井さん
関さん
●「こういうAPIが公開されると良いのにな」はありますか?
木村さん
国税庁、登記
ブラウザで出来ることはAPIで出来るように
よくあるAPIの公開方法を使ってほしい
紙で出す案件にエンジニアをアサインするのは勇気がいる
平本さん
どうやって作ればよいのかわからなかった
APIのガイドをつくっている
開発中に仕様を公開して、詳しい人に見てもらう
石井さん
開けてほしい、より自分たちでつくってしまうほうが早い
公開されているAPIから思いつくことがある
吉田さん
使われるところを濃くしていく
ユーザーのタッチポイントに合わせて考える
APIの窓口整備だけで済むのが理想
●失敗した、うまく行ったの評価はしていますか?
平本さん
A,B,Cのような評価はしている
コストがかかる
吉田さん
KPIが定まっていないことが問題
良いサービスはユーザが使っているはず
どれだけコストを削減したか
●民間の視点で、こんな評価が良い はありますか?
木村さん
KPIを定めることが大切
範囲を決めて失敗を許容する
KPIを達成していなくても、達成するために何をしていくか
中間KPI
ユーザの手作業がどれだけ減っているか
レポート参照数
石井さん
経営がアジャイルでないと成功しない
組織文化の問題になる
KPIを達成しよう!
-> 達成したら、その人は昇進するんですよね?
人事制度
●いちばん変えないといけないのはどこですか?
平本さん
入力、印刷、FAXを、人をまたいで繰り返すシステムがある
●マーケットプレイスの利点は?
吉田さん
「コレと同じものをお願いします」と発注している
発注者、受注者、利用者の三方良しへ
●契約書まわりってどうですか?
吉田さん
契約の雛形はないのか?は、よく話題になる
官民でノウハウを共有していきたい
平本さん
調達の枠組みごと見直そうという話も出ている。
ITベンチャーにも参加してほしい。
小さなものから大きなものまでバリエーションを用意したい。
●民間から見て、期待することは?
石井さん
経産省さんが「俺コレ失敗したんだよー」と
省庁内で自慢してほしい
やがては法務省へ
省庁内でノウハウを共有することが、日本の成長につながる
木村さん
サービス利用契約での発注
■感想
・行政 x デザイン思考、アジャイル開発、データ分析
・X-Roadのようなデータ連携の仕組み
・プライバシーを保護しつつデータ公開
実現されたらビジネスが一気に加速しそうな
ワクワクするお話をたくさん伺えました!
実現には文化を変えていく、長い道のりがありそうですが
官民の境界を超えて、ノウハウを共有しつつ
一歩ずつ前に進んでいけたらすてきですね。
登壇者の皆さん、運営の皆さん ありがとうございました!
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