2019-05-13 Tech-on MeetUp#06「What can AI (I) do?」 #TechOn東京
2019/05/13 に開催された Tech-on MeetUp#06「What can AI (I) do?」 のイベントレポートです。
●イベント概要
Tech-on 〜Networking for Techies〜について
『技術者同士を、人と人とのネットワーキングで繋ぐ』
技術のトレンドは非常に早い流れで移り変わるのがいまのIT業界の理です。 ナレッジをきれいなドキュメントに起したり、それを閉じた組織のなかで共有しているだけでは この早い流れについていくことは絶対にできません。
「Tech-on」では、「ホンモノのナレッジは人と人の緩い繋がりの中にこそある」を信条に 同じテーマに興味をもつ技術者同士を繋げ、自らが持っているナレッジを自分の組織の外に 出し合うことで、お互いがこれまで発見できなかった新しい知的創造を生み出せる 「場」を提供していきます。
Tech-on MeetUp #06
今回のコアテーマは「AI」
昨今のAIブームにより、業種問わず、機械学習・ディープラーニングなどのAI技術の積極導入や、ビックデータを用いたデータドリブンによる経営・ビジネスが各企業において活発化されています。
しかし、AIの導入は必ずしも順風満帆に進むものではなく、”AI技術の導入が目的になっている”、”導入してみたものの期待以上の効果が得られていない”などの課題に直面されている方々も少なくないのではないでしょうか。
今回は、AIを専門とされる3名の方に、主にAIの最新技術および方向性、更にその技術をどのように活用できるかをお話いただきます。
登壇者の方々のお話を聴きながら、私たちが何ができるかを一緒に考えを巡らせていただければ幸いです。
■SXSW2019に見るAIの未来
帆足 啓一郎さん [KDDI総合研究所]
●自己紹介
・ほあし けいいちろう と読みますw
・ヒューマンコミュニケーション関連の研究開発
自然言語解析、対話型AI、画像、音声解析など
・ニュース雑談対話システム KACTUS
一問一答はそこそこ出来るが
同じ会話の流れを続けるのは難しい
雑談を交えている
・SXSWの達人
経産省xASCII STARTUP
●SXSW Interactive 2019
・もともとは音楽フェス
現在は Music Film Interactive の3本柱
・主な内容
Session: 2,000件以上
Trade Show: 展示会
SXSW Pitch: ピッチコンテスト
●ひたすら AI について調査した歴史
・2016: シンギュラリティ
・2017: AIと人間との強制
・2018: AIブームの終焉
・2019: 今年は?
●SXSW 2019でのAI関連キーワード
・Ethics: 倫理
・Empathy: 共感
●Ethics 倫理
・Dear Gov't: Regulate Us! Sincerely, AI Industry
AI関連技術の実用化に、政府レベルでの規制が必要
プレイヤーが多すぎる
アルゴリズムをつくる
データを与える
アプリに組み込む
責任者が不明確で、法的拘束力もない
実用場面を想定した審査・承認
・How AI Will Design the Human Future
AIを前提にした人類・社会の設計
AIに対するいろいろなイメージがある中で
受け手側の信頼感・受容感をどう高めるか
手に職をつけて一生食べていくは
進んでいくテクノロジーの中ではムリ
・How AI is Changing Advertising in China
中国 = AI天国
プライバシーという概念がないからw
ユーザの全ての行動データを吸い上げるwechat
あらゆる行動履歴をとっている
-> Tencent 広告ターゲットユーザの自動抽出
・まとめ
AI = クールなテクノロジー -> 放置すると社会の脅威
人類・社会による介入、思想設計が必要とされている
●Empathy 共感
・UBERLAND: Algorithms and the Future of Work
AIが経営者として従業員を動かしているUberを分析
顔の見えない経営者の指示により運転業務に従事
配車の値付けもアルゴリズム
運転手には納得感がない
・Will Machines Be Able to Feel?
感情を持てるか? -> No
感情 = 刺激に対する反応であれば実装できる
チャットボット vs アバターの比較
対話エンジンは同じでも
アバターありのほうがストレス
顔を出しているだけでも、不気味の谷
・Empathetic Technology and the End of the Porker Face
システムのヒト理解能力はヒト自身をも上回っている
アルツハイマーなどもセンシング出来る
中国が気になる
・まとめ
AIと人間のコミュニケーションはますます重要なテーマに
各種の専門家が参加するようになってきた
●AIとヒトの健全なEmpathy
・AsIs
ヒト -> AI
言語、非言語で多くの情報
AI -> ヒト
共感伝達力: 弱い
・対話AIなどの進歩
AI -> ヒト
共感伝達力の強化
ヒトとAIが共感し会える関係性
●AIとヒトの不健全なEmpathy
・行き過ぎた共感の弊害
AI -> ヒト
強すぎる共感
ヒト -> AI
のめり込み
・すでに顕在化している
ヒト -> facebook, twitter, google...
個人情報
facebook, twitter, google... -> ヒト
最適化された情報
ヒト同士の共感低下
■強化学習を使った次世代シミュレーション最適化
Eduardo Gonzalezさん [スカイマインド]
●skymind
・AI infraをつくっている
・dl4jの開発者がつくった
・最近の本
Deep Learning and the Game of Go
●AnyLogic
・シミュレーションモデリング
・eclipseベース
・工場のコンベアベルトが止まったらどうなる?
などを、3Dでシミュレーション
●What is AI
・Artificial Intelligence
知能を再現したい
プランニングして行動する
・Machine Learning
知識の肝、学ぶ部分
・Deep Learning
これで実現できるようになった
●学習のパターン
・Supervised Learning: 教師あり学習
正解を判断する学習
・Unsupervised Learning: 教師なし学習
どんなデータがあるかを調べてくれる
・Semi-supervised Learning: 半教師あり学習
組み合わせる
・Reinforcement Learning: 強化学習
少ないデータから最適解を見つける
●学習のサイクル
・original agent
-> Collect Experience
-> Train
-> Evaluate
-> improved agent
●学習のアプローチ
・Value Based
・Policy Based
●AnyLogic x 強化学習
・AnyLogicのポリシーを決める部分に適用
・Traffic Light Example
交差点の信号制御
東西はコンスタントにトラフィック
南北はラッシュアワー
5分ごとに切り替える場合より効率的にできないか?
・ポイント
Hyperparametersの調整が訓練効率の肝
ニューラルネットワークの階層が、判断速度に直結
■見えていないものを見出す機械学習
白川 達也さん [ABEJA]
●MLについて言いたいこと
・ファースト&スロー: Daniel Kehneman
System1 勘・直感
System2 論理的思考
-> MLはSystem1
・The Virtuous Cycle of AI
Better Product
-> More Users
-> More Data
-> AIは運用することでサイクルが回る
・AIは人間の代替ではない
同じ作業: AI
スケール: AI
道な状況への適応: ヒト
複雑な作業: ヒト
●Software 2.0
・Software 1.0
振る舞いを定義する
・Software 2.0
後で振る舞いを調整できる
・扱える対象が広がる
犬と猫を見分ける
ヒトの性別や年齢を判断する
Software 1.0で、明確な定義は難しい
データから察する
●Bigger, Deeper and Better
・BigGAN: Class Conditionalな高解像度画像生成
SOTA手法をスケールアップしたら綺麗にできました
・GPipe: 巨大なNNの学習に最適化された分散学習ライブラリ
NNでNNを探す
多数繰り返したら強くなった
・BERT: 言語理解系タスクでの強力な教師なし事前学習手法
教師なしで構成できる2タスク
単語の穴うめ
2文が連続分かどうかの判定
多数繰り返したら強くなった
・GPT-2: クリーンで多様なデータで学習された巨大な言語モデル
次の文章を文書生成する
多数繰り返したら強くなった
●最近の研究
・耳
性別を94%判断できる
・眼底写真
BPI、タバコ吸っているか、心臓・脳の疾患が分かる
●Discovery 2.0
※造語ですw
・Discovery 1.0
科学、ドメイン知識から判断してきた
偶然の発見は少ない
・Discovery 2.0
学習してみて相関関係に気づく
・科学やドメイン知識の外側の気づきが得られるかもしれない
まずはデータをとってみる方が進みそう
DeepLearningはDomainSpecificでない
In/Outは加工するが、内部ではデータの操作
いろいろ繋げられる
・Graph Convolutional Neural Network
グラフ構造を畳み込めるようになった
・Task Relations: Taskonomy
画像認識タスクの組み合わせで転移しやすいものは数パターン
・Hyperbolic Embeddings
データの中の木構造が取れる
●Psychology x AI
・人格心理学 Personality Psychology
特性
類型
・Big 5
Openness
Conscientiousness
Extraversion
Agreeableness
Neuroticism
-> 古くて、主観が入っているが、すごい!
データドリブン
いろいろな場所でワークしている
Discovery 2.0で、人格心理学のAkinatorがつくれるのでは?
■感想
Discovery2.0 ワクワクしますね!
私はシステム開発プロセスの改善を手伝うことが多いのですが、このドメインでも、いつもデータから気づきをもらっています。
・イテレーションごとのふりかえりで、はじめに実施するタイムライン
・issueのステータス遷移、コミット、レビューコメント
・システムの USE / RED などの監視メトリクス
あたりの、取り出しやすいデータだけでも、毎日新たな気づきがあります。
コミュニケーションや活動履歴、環境の情報など、今の技術なら取り出せるデータは他にもたくさんあります。それらをできるだけ抽出して、様々な学習を組み合わせたら、どんな相関関係が見えてくるのでしょう。
登壇者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!
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