2020-05-28 Insight Tokyo #2 #InsightTokyo
2020/05/28 に開催された Insight Tokyo #2 のイベントレポートです。
●イベント概要
Insight Tokyoとは
サービスや製品のユーザーを理解したいという気持ちに職種は関係ありません。むしろ、ユーザーを理解するためにあらゆる方法を理解し融合していくことが、今後不可欠になっていきます。 Insight Tokyoは、いろいろな立場の人がユーザーを理解するために実践している取り組みを共有する場をつくっていきます。
こんな人におすすめです!
定性と定量がなせか断絶してるから相互理解が必要だと感じている
お互いのスキルセットを理解してもっとコラボレーションが生まれるようにしたい
データ分析やUXリサーチのことを理解したい
今回のテーマ
今回は、「定量から定性、定性から定量への越境」をテーマに開催します。 定量から定性、定性から定量へ越境したキャリアプランを考えている方も増えてきました。今回はそれぞれの考え方やスキルの学び方を共有できればいいなと思います。またデータを扱う人とユーザーの体験を考える人がお互いに考えていることを知る機会になればいいと考えています。 感想などはハッシュタグ「#InsightTokyo」でツイートしていただけると、運営の方で拾っていきますので、たくさんツイートしてください!
■定性と定量は越境できない
しんゆう さん [フリーランス]
●ポークカレーを作ろう
・何を作るか
ポークカレー
・必要な材料はなにか
豚肉、じゃがいも、玉ねぎ、人参、カレールー
・材料を調達する
家にあればそれを使う
なければ買いに行く
豚小間なければ、代替品
豚肉がなければ、料理を変更
じゃがいもがなければ、使わない
・下ごしらえ
切る→下味→炒める など
・仕上げ
ルーを入れる→煮込む→味を調整
・提供する
盛り付け
●データ分析の流れ
・何が知りたいか
アプリの利用者がどれくらい継続するか
・必要なデータはなにか
顧客満足度、競合、市場、、、
・データを収集する
NPS、POS、行動観察、、、
・処理
前処理、集計、グラフ
何が売れているか、併売はなにか
・洞察
それぞれの結果を統合
・伝達する
レポート、BI
何らかの方法で必要な人に渡す
●ポークカレーとデータ分析の共通点
・流れとしては同じ
目標を決めて
材料を考え
方法手法を決めていく
手法から始めても、目的にあったものにならない
・定性と定量の話はどこに出てくる?
方法の違い
データを収集する
処理
目的が先にある
何が知りたいか
必要なデータはなにか
方法は目的に準ずる
●方法を先に考えると
・結果はでるが、何も解決しないことも
POS
→何が売れているか、併売はなにか
→レポート・BI
●目的は何かを意識する
・自分のやりたい方法にこだわりがち
定性や定量といった手法の区別だけでなく
今あるデータ、導入済みのツール、勉強した手法なども同じ
・特定の職種や手法がよく聞こえてくる
データサイエンス、UXリサーチのような
手法から入ると、別物に見えるかもしれないが
やりたい方法に固執するのは避けるべき
●定性と定量の越境
・境目はない
どちらも「何が知りたいのか」という
目的を達成するための方法
・存在しない境目は越境できない
●実際の仕事で起きること
・全部はできないので、どれをどれだけやるか
定性と定量それぞれの領域は様々な分野で構成される
因果推論も、コロナの分析でもいろいろで見解が分かれる
一人であらゆる分野をやるのは無理、必要ない
どこかに軸足を起きつつ、周辺に広げていく
複数の領域の分析かも、分析とマーケなどかも
よほどの専門知識が必要
・良い方法と自分のできる/やりたいことが違う
自分がどうこうではなく、良い方法があるならそれを選ぶ
良い方法を自分ができないなら、できる人に任せる
以内なら自分でやる
別の目的に切り替える
自分のできる範囲で切るべきではない
●まとめ
・目的を達成するために一番良い方法を選ぶべき
定性や定量を分けて考える必要はない
自分ができる/やりたいを優先しない
全部一人ではできないので、みんなで分担
■人はどのようにして定量×定性ができるデータアナリストになるのか
新保 直樹 さん [メルカリ]
●なぜ定性×定量分析が大切なのか
・やれることが限定されるから
・レコメンドエンジンや検索結果の最適化は十分な結果を出していた
・サービスが伸び悩んでいる状態が続いた
・専門領域のデータ×○○で解決する方法を模索
●勉強
・国内のUX系書籍
とりあえず全部読んだ
体系化されている分野だった
おすすめ書籍はnoteに記事書きました
・小規模プロジェクト
社内のPMとランチして売り込み
お試しで小規模プロジェクト
・本業としてUXリサーチ & デザイン
就職口コミサイトの求人マッチ & 検索のUI/UXデザインをHCDで
デプスインタビュー
ペルソナ、ジャーニー
上位分析、下位分析
・定性定量を気にしていなかった
事業の課題解決に必要だった
結果的にUXデザインを学ぶ過程でリサーチを学んだ
・BI & UXRの分析プロセス統合
グロースでは、どこを、どのように伸ばすか
わかりやすい穴はすでに塞いである
●得意分野
・BI:定量
問題が発生している場所の特定
施策インパクトの見積もり
・UXR:定性
問題が発生している原因
構造の特定
文脈の把握
●分析プロセス
・BI
目標設定
・BI & UXR
問題特定
・UXD
施策設計
・BI
効果測定
●プロセスの例
・購入だけしている人
販売もしてほしい
・どれくらいのポテンシャルがある?
出品のファネルを見ると
どこで落ちているか
出品のボタン全く触らない
は絞り込める
・定性を見なければ仮説が立てられない
なぜ触らないのかはわからない
仮説がわかりやすければ、定性分析はしないことも
●大型らくらくメルカリ便のグロースプロジェクト
・サービス
大型の商品が売れたら
配送業者が取りに来てくれる
・データ分析
自然成長している
ポテンシャルがある
・施策
名称の変更
訴求ポイントの変更
・定性調査
大型という名前だと、サービスがわかりにくい
インタビューすると、ベネフィットが違った
梱包しなくて良いが強かった
サイズにこだわらない
ポテンシャルは定量で見て
どこを伸ばしていくかは定性で見た
・声はCSに集まる
CSへの問い合わせを聞いて、打ち手をカイゼン
●データアナリストのためのUXリサーチの学び方
・データアナリストがUXRをやると気づくこと
データソースが変わるがプロセスは同じ
分析時の頭の使い方が似ている
仮説構築、構造化、抽象度コントロール
相性はとても良い
1年くらい頑張ればできるようになる
●どのように学ぶか?
・デザインプロセスを最初に抑える
・プロセスの中の定性分析の役割
分析のインプット、アウトプットがなにか
・手法を抑える
人間中心設計 HCD
・UXリサーチ & デザインの本
UXデザインのやさしい教本
UXデザイン入門
UXデザインの教科書
・体系的に学べる場所
産業技術大学院大学 人間中心デザインコース
Xデザイン学校
・まとめ
定性×定量分析ができると
対応できる課題解決の幅が圧倒的に広がる
データアナリストが定性を学ぶのはコスパが良い
■QA
●定性やっても良いよねの信頼をどうやってつくっていきましたか?
新保さん
すでに信頼貯金が溜まっていた
ビジネスの課題を解消する
時間がなかったので、放課後プロジェクト的に進めた
分析結果を紙に落とすと情報が欠落する
PMを初期から入ってもらって理解してもらう
●現に定性と定量が分かれてしまっている現状について
その背景や理由をどうお考えでしょうか?
しんゆうさん
道具の話が出てきてしまっているから
そこから始まっている人が多いのかもしれない
個々の技術にフォーカスしてしまって、断絶状態なのではないか
新保さん
業界に寄るかも
初期のグロースは定性リサーチしなくても伸びていくので必要ない
可逆性のない機能
もう一弾大きく伸ばす、ピボットするようなときに定性が効く
しんゆうさん
分析は意思決定のため
経営から分析の話が広がっていれば、定性・定量は別れなかった
現場から広がったから、技術フォーカスなのかも
西村さん
インタビューを学んだら、インタビューをやりたくなって
目的にあってないのにインタビューやらせてください
とかもあるのかも
●定量分析では見つけづらい情報はありますか?
しんゆうさん
そもそも定性ってなんだろう?
インタビューで得たもの = 定性ではなく
なんらか集計したもの
定性として得たものでも、パターン認識しているのは一緒
区別する必要はない
●UXはBtoBでも使われますか?
新保さん
知人からは使えると聞いている
顧客が求めるものに合わせてつくっていく
toCより把握しやすいのかも
しんゆうさん
toBのときの対象は?
新保さん
スマートHRとか
特定のサービス
サービス設計を絞る
toCでもtoBでもプロセス自体はおそらく変わらない
●仮説検証フローでの期間はどれくらいですか?
新保さん
ダブルダイヤモンド
課題の発見とソリューションに分ける
仮説がPMにある場合
インタビューはせず、疑似ペルソナで検証
仮説がない、よくわからない場合
インタビューから
インタビューから始めると
ある程度の結果が出るまでに2ヶ月くらい
これはUXリサーチチームがない場合
常にリサーチしているチームがあるなら
どんな顧客がいるかはわかるから、スピード感は違う
ユーザーに対する高い解像度をキープしているのが理想ではある
●目的が曖昧な場合はどうアプローチしますか?
しんゆうさん
使う人がどう使いたいか
こういうのを知れたら、こうできますかね?
な会話で目的を引き出す
西村さん
よくあることですかね?
しんゆうさん
どちらかというと、それが普通
分析って何か出てくるんでしょ?
投げかけから、目的を引き出すケースが多い
●定量→定性の流れで学ぶとスムーズ、逆だとどうでしょう?
新保さん
頭の使い方は一緒
本当にできる人は、どちらからでも一緒
どちらかが得意な人は、もう一方もできる
●データアナリティクスの勉強におすすめの本や情報源は?
新保さん
どの分野かによる
グロースのポイントを発見する、集計なら
専門書を読むよりも、ロジカルシンキングや構造化
コンサルが読むような本
問題解決プロフェッショナルとか
●構造化スキルと抽象度コントロール力を伸ばしたい
なにかアドバイスをお願いできますか?
新保さん
常に考えること
しんゆうさん
国際化プロセスなどなら体系化されている
もっと広まっていれば悩む人は減りそう
●目的にあった手法をどのように体系的に学んでいきましたか?
しんゆうさん
体系的ではなく
いろいろつまみ食い
新保さん
目的に応じて手法を調べたら良い
●定性の注目度が上がっている。その理由や背景をどう感じますか?
しんゆうさん
忘れられていたものが出てきた
目的を広げていく
新保さん
消費財は昔から定性をやっている
特定の業界が定量から定性に流れてきた
デザイン思考とかで、体験でものづくりを始めたところ
webでも、ある程度成熟して、質を考えるようになってきた
●データアナリストは専門的なケーパやスキルが必要なので
定性→定量は難しいですか?
新保さん
専門性で考えると逆かな
UXリサーチの方が体系化されていて学びやすいが
その先で考えることが難しい
専門性が高いのはUXリサーチ
しんゆうさん
SQL、Python、Rとかで、定量に専門性って捉えられがち
道具だから、専門性ではない
新保さん
BI的な分析だと、地頭的でむずかしい
定性の方が、学べばある程度まで行ける
●定性の前提が感情などの一意に決まらないことなら
疑似定量的に落とし込めますか?
しんゆうさん
集計しないと処理できない
裏側で分布などを想定
やっていることは統計的
新保さん
キーインサイトは何なのか
が知りたいから、落とし込まない
一文で表すもの
マーケット分析はする
キーインサイトを決めるのは、主観
見える人もいれば見えない人もいる
ペルソナに対して結果は出るが
キーインサイトはコレ!とシャープには出ないこともある
●インタビューで受容性があったが、リリースではねない
など違う結果の場合は、どう解釈しますか?
新保さん
プロトを見せてどうだったか
プロトだけで全てはわからない
ユーザーがどんな表情で話したか、どう反応したかは総合的に判断
読み間違えたということ
時間があればUXリサーチ
ケースバイケース
しんゆうさん
何かやってうまく行かなかったら検証する
一回では終わらない
●感想
しんゆうさん
言いたいことは言えたので良いかな
西村さん
カレーで行こうはどう生まれたんですか?
しんゆうさん
料理をネタにブログに書いていた
カレー、肉どうしようかな
→ポークカレー
西村さん
資料はいつつくり始めたんですか?
しんゆうさん
先週の終わりくらいから
先に結論がでてしまった
前段を埋めていった
新保さん
沢山の人が見てくれていて感慨深い
4年前くらいに始めた
当時はほとんどやる人がいなかった
web業界で広まったのが、ここ2,3年
副業でこの辺りをやっているので
必要そうなら相談してください
■感想
・定量も定性も目的を達成するための手段
・初期のグロースは、定量だけで穴を埋められる
・もう一段伸ばすには、定性で質を高める
・マーケット分析では、定性を疑似定量化
・キーインサイトを得るには、定性のコンテキストが必要
・定性を学ぶならHCDで分析のIO把握が起点
など、すっきり腹落ちする学びをたくさんいただけました!登壇者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!
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