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【饂飩美味紀行】#41 笹うどん(福岡県福岡市中央区)【隠れし名店紹介】



"筑 肥 線 の 記 憶、小 笹 に 息 づ く  や わ 麺 の 妙 "




❖ 福岡県福岡市中央区の位置

福岡市中央区とは、かの筑前の国における中心に位置する地にて、城下町の賑わいと自然の趣が入り混じる、見事なる場所にござる。その地は北に博多の湊、東に天神、中洲の町、西には百道の浜を望み、福岡藩における商いと暮らしの要(かなめ)と申せよう。

さて、この地の真中なる天神の界隈(かいわい)は、大小の商いの店が軒を連ね、人々の往来は途絶えることなし。布を商う店、珍品を売る商人、そして町家にて語らう者ども、実に活気に溢れる光景なり。雨の日には地下の通り(天神地下街)にて歩みを進めば、そこもまた賑やかなる市(いち)のごとし。その造りは、まるで異国の町並みを思わせるものにて、訪れた者を魅了すること必定。

さらには、大濠と呼ばれる広き池を囲みたる庭園もこの地の誇りにござる。春には桜が咲き乱れ、夏には水辺にて催される灯りの遊び(2018年まで)、秋には紅葉が人の心を和ませる。池の周りを巡る道は、武士の鍛錬にも最適な場所にて、朝露の中を歩むは格別な趣き。

また、歴史を好む者には、福岡城の跡を訪れるべし。黒田長政公が築きし堅牢なる城は今もその威容を石垣に残し、舞鶴の公園と呼ばれる地にその遺構を見ることができる。春には花見の宴で賑わうも、普段は静謐(せいひつ)にして心安らぐ場所と申せよう。

さらに、この地に集う者が楽しむは、酒肴(しゅこう)の数々。天神や大名の路地には、博多の国ならではの汁そば(ラーメン)や、鍋にて煮込まれる牛の腸(もつ鍋)の味わいが揃い、それらを求める人々で賑わう。夜ともなれば、燈(あかり)の灯る路地裏にて隠れ家めいた茶屋や酒場を探す楽しみもまた一興。

斯くの如く、福岡市中央区なる地は、城下町の風情と自然、そして人々の営みが見事に調和したる地にござる。一度訪れれば、其の魅力に心を奪われ、何度でも訪れたくなる場所なり。ぜひともその目と心で味わうべし。


❖ 店舗外観


❖ 饂飩絵図


⦅🌟🌟🌟🌟☆》ごぼううどん  ※撮影 2024年10月


❖ 饂飩膳の記録


◎ 笹の看板に誘われて

拙者、このたび筑前の国を巡る旅の途上、ひときわ目を引く「笹うどん」という老舗に立ち寄り申した。五十年もの歴史を誇るその店は、博多風の滑らかなうどんと、どこか懐かしい味わいが評判とのこと。これは侍として見逃すまじと、足早に向かい候。

看板に描かれた「笹うどん」の青い文字は堂々たる筆運びで、これぞ名店の風格と唸らせるもの。建物は数年前に改装されたと聞き申すが、現代風の木造建築と硝子窓が絶妙に調和し、どこか洒落た風情を漂わせており申した。暖簾が高々と掲げられておる様は、まるで「いざ来たれ」と誘われているかのようで、思わず姿勢を正しつつ店内へ。

店の傍らには駐馬場が設けられており、昼時ともなれば、駄馬がずらりと並び、駕籠が忙しなく行き交う姿が見られ申す。まるで人も馬も一堂に会して「うどんの会議」を開いているかのような賑わいでござった。徒歩で到着した拙者も、この空気感に自然と笑みをこぼしながら、いざ暖簾を潜り申す。

暖簾をくぐると、ほのかに漂う出汁の香りが鼻をくすぐり、「これは只者ではない」と胸の内で膝を打ち候。厨房から聞こえる湯気の立つ音、そして軽やかに響く包丁のリズム。そのすべてが、ここで待つ一杯の奥深さを物語っており申した。

果たして、五十年の歴史が紡ぎ出すうどんは、いかなる味わいか。期待と興奮を胸に抱きつつ、拙者は静かにその瞬間を待つのであった。これは、旅の中の一幕にして、一つの至福の時でもある。


◎ 昭和の香り、天女のごとき微笑み

笹うどんの暖簾をくぐるや否や、昭和の懐かしい空気がふわりと鼻腔をくすぐり申す。古びた茶箪笥の木の香を思わせるその薫りに包まれながら、ふと目を上げれば、店内は見事な和モダンの趣き。畳を思わせる装飾が施された椅子は、新旧の要素が絶妙に織り交ぜられ、まるで時代を超えて佇むようなデザインでござる。

拙者が「ごぼううどんを所望つかまつる」と声をかけると、給仕役の御仁が微笑みながら「左様でござり候」と応じる。その微笑みたるや、まるで春の陽射しのような温かさでござる。この店では、機械越しの味気ない注文はなく、人の声と笑顔が、注文のやり取りをもまた一つの情景に仕立てておるのだ。

この店の空間そのものが一椀のうどんの一部であるような気さえ致し候。新旧が織り成す見事な調和と、人の手によるもてなしが、拙者の旅の疲れを静かに癒し申す。この先、どのような味わいが待ち受けているのか、心躍る思いでその瞬間を待つばかりでござった。


◎ 博多の魂、鉢の中に息づく

やがて、目の前に運ばれしは「ごぼううどん」。その湯気はまるで別府の温泉地の朝霧のごとく立ち上り、香りとともに拙者を誘い申す。一口すするや、鰹だしの芳醇な香りが鼻腔を抜け、喉を潤し、胃袋までもじんわりと染み渡り候。この優しさこそ、博多うどんの真髄にて、ふわりとした食感は、まるで柔らかき春風のようでござる。

さらに、主役たるごぼう天。揚げたるごぼうは、その外はカリッと、内はしっとりとし、絶妙な歯応えを奏で申す。それは、古武道にて鍛えられし竹刀の強靭さとしなやかさを思わせ、口の中で見事な調和を生み出し候。この一椀には、単なる料理を超えた「土地の魂」が込められており、食すたびに筑前の風土が身体中に満ちていくが如し。

このうどんを前に、拙者はもはや侍の気構えを解き、ただ一人の旅人として心からの安らぎを覚え申した。筑前の民が育んだ味わいが、拙者の荒んだ舌を優しく癒し、やがて満足の笑みを誘う。

うどん一椀にこれほどの物語を宿せるとは、ただただ感服するばかり。これこそ、旅の途上で得られる至福の瞬間にて候。「また来ねばなるまい」と心に刻みつつ、丼の最後の一滴まで惜しみなく味わい尽くし候。




◎ 次なる欲望、丼を目指して

拙者、次にこの「笹うどん」を訪れる際には、ぜひともかの名物「かつ丼」を試してみんと固く心に決めたり。その味たるや、うどんと同じく人の心を掴んで離さぬ妙味であるに違いなし。聞くところによれば、そのかつ丼は、さながら戦場での兜の如き存在。その頂に鎮座する卵が、ふんわりと全体を包み込み、具材を守り立てる姿は、いかにも勇壮かつ優美なるものとか。これを味わわずして、笹うどんを語るべからずと悟り申した。

かくして、満腹なる腹を抱えつつ、拙者は名残惜しくも店を後にせり。この「笹うどん」、一椀ごとに心を温め、満たしてくれる不思議な力を宿す店よ。次に訪れるその日には、かつ丼をいただき、また新たな物語を紡がんと誓い申した。

旅人の足は常に先を急ぐものなれど、ここには「また帰ってきたい」と思わせる何かがある。いや、それこそが筑前の心、そのものなのやもしれぬ。「笹うどん」、いざさらば。また折を見て、必ず再び暖簾をくぐらん。



❖ 店の評判帳


残念至極ながら、店の評判帳を見出すことが叶わず


❖ 食通評判帳



❖ 詳細な絵図



❖ 饂飩道を嗜む者へ(宣伝)


博多名物「ごぼう天うどん」。その名を耳にしただけで、饂飩好きの侍たる拙者の心が躍り申す。この一椀、ただの食事と思うなかれ。黄金色のあごだしスープは、九州の名物「焼きあご」より取られた至極の一滴。さらに枕崎産の鰹節を加え、深みとコクがまるで剣の一閃のごとく舌を駆け抜ける。

麺は柔らかく、だしを吸い膨らむが博多流。これは、幼子でも老人でも容易に食せる優しさ。だがその柔らかさを侮るなかれ。膳の中で、麺とだしが交わることで織りなす一体感は、まさに饂飩道の極みでござる。

そして、主役たるごぼう天。その香ばしさは揚げたてならでは。噛めばサクッ、だしを吸えばホロリ。その二面性は、まるで侍の剣が持つ刃と鞘のごとき妙。香りと味わいで心を満たし、旅の疲れを忘れさせる不思議な力を持つ。

「質素ながらも豪奢」。これほど相応しい言葉があろうか。この一椀は、ただの料理にあらず。侍の糧、心を鼓舞する膳、そして旅人を導く灯火にて候。


饂飩国筑前の地を目指す猛きつわものに告ぐ

2025年4月24日、令和の世において、かの天神の地に「ONE FUKUOKA HOTEL」なる宿が開かれるとのこと、誠に興味深きことなり。全41の客間は、博多の湊や福岡の街を一望する絶景を備え、その造りは実に華美にして風雅。庭園や湯殿、書物を揃えたる閑静なる間、さらに楼上にて茶を嗜む処もあり、心安らぐひと時を堪能するべし。また、館内には絵師・舘鼻則孝の筆を振るった数多の絵画が飾られ、文化の薫り高き宿泊所なり。旅の疲れを癒し、心に新たな風を呼び込む宿、是非とも足を運ばれよ。


❖ 過去の饂飩絵巻

美味を求む饂飩侍、風の如く歩みし味巡礼の記録なり


❖ 諏訪たけしの饂飩美味紀行全集


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麺の道は細く険しく
遠く彼方へと続く饂飩の旅路なり。

一椀の饂飩に込められし匠の技
その奥深き世界
未だ人知れぬ境へと誘わん。

”饂飩美味紀行”――それは、終わりなき味の冒険

諏訪武士


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