「データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編」刊行記念イベントの備忘録
10月30日に発売された「データサイエンティスト養成読本 ビジネス活用編」の刊行記念イベントが11/6に行われ、応募倍率が2倍近くのところ嬉しいことに当選したので参加してきました。
書籍の書評については松本健太郎さんがわかりやすく書かれているので是非参考にしていただければと思うのですが、データアナリストとして仕事している自分にとっても非常に示唆に富むものばかりで、何度も読み返したくなる内容になっています。
イベントでは書籍で語られていない内容を聞くことができ、イベント参加者だけに留めておくのはもったいない内容だと思ったので、講演中に書き留めたメモをnoteに書き起こしておこうと思います。
尚、本記事は講演中に書き走ったメモであるため、内容の過不足・誤認識・私自身の主観が多々含まれていると思われます。清書された記事はどなたかがしっかり書いてくださると思いますので、あくまで繋ぎのメモ書き程度にご覧ください。(Twitterでハッシュタグ#youseidokuhonで検索すると参加者の方々の実況が見れて面白いです。)
目次
・パネルディスカッション1(津田 真樹さん、矢部 章一さん)
・パネルディスカッション2(伊藤 徹郎さん、樫田 光さん、奥村 エルネスト 純さん)
・パネルディスカッション3(大成 弘子さん、加藤 エルテス 聡志さん)
パネルディスカッション1
トークテーマ:0からのデータ分析組織立ち上げについて
スピーカー:矢部 章一さん
モデレータ:津田 真樹さん
■矢部さんがコニカミノルタジャパンでデータ分析組織を立ち上げるために一番最初にやったこと
・ビジネスの現場入り込み、同じ釜の飯を食う
・現場の人たちに信用されないとデータサイエンスなんて受け入れてもらえない
■データ分析で成果を出すためにやったこと
・現場が困ってることを聞き出してネタ帳としてまとめた
・「問題×お金×データ」という切り口でプライオリティつける
・データが既にリッチに存在し、問題として着手しやすいところから始めた
■人材育成について
・マルチタスク・ダブルアサインメント
・営業×物流のように複数の職種を改善するようなスキームを作る
■データ分析組織の作り方
・可視化・標準化・最適化がポイント
・可視化として、データのための辞書(データの意味や目的などを明文化したもの)
・新しく分析組織にJOINした人のデータ理解を促進することが
・現場の人に一つ一つヒアリングしながら作成した
・辞書の制作期間は7ヶ月!
・現場と連携しやすくするため、データ操作画面はGUIベースを基本としている
■データ分析部署立ち上げ時のリーダーシップで求められること
・お客様に喜ばれる感覚が絶対に必要
・お客様は現場で働く方々
■その他
・分析プロジェクトの推進には役員のコミットが必要
・役員のコミットを促すためのタスクフォースを組む
パネルディスカッション2
トークテーマ:データ分析を社内に浸透させるためのすべきこと、BIチームとMLチームの連携、分析の責任範囲の考え方
スピーカー:樫田 光さん、奥村 エルネスト 純さん
モデレータ:伊藤 徹郎さん
■データ分析を社内に浸透させるためにやったこと
・樫田さん
・「スタンドプレー」「分析にこだわらずに目立つ」の2点
・(樫田さん流の目立ち方)分析に関わるドキュメントを書きまくって社内Slackで流しまくる
・奥村さん
・樫田さんのポイントに加えて、「データ分析が成果に繋がったという実感値を現場に持ってもらう」「実際に事業価値(売上)に繋げる」という活動を行った
・「データ分析が成果に繋がったという実感値を現場に持ってもらう」は現場アナリストクラス、「実際に事業価値(売上)に繋げる」はリーダークラスがそれぞれ意識して活動すべき
■分析チームが実際に役立っているかをモニタリングしているか
・ClassiではBIツールの利用者数をモニタリングしている
・メルカリでは具体的なモニタリングは行っていないが、事業部側(PM・マーケ)からのアナリストに対する評価を吸い上げるようにしている
■分析チームとして望ましいパーティ(人材)
・樫田さん
・勇者型(1人でバランス良くこなせる人材)が欲しい
・単純にマネジメントコストかからない
・メルカリでは四半期で方針がガラっと変わるので、それについていける機動力が必要
・奥村さん
・機械学習系のプロジェクトでは、どのプロセスもボトルネックになりうるので適切な人材を配置するのはめっちゃくちゃ難しいけど重要
■BIチームとML(Machine Learning)チームの連携
・奥村さん
・MLチームを立ち上げ
・そもそもMLチームを立ち上げる場合、BIチームの層が厚いことが前提
・BIチームを整備してからMLチームをアドオンしていく形が理想
・Kaggleマスターとの連携
・Kaggleマスターの方々は引き出しがものすごく多い(短期間に精度を高めなければならないため、あらゆることを試すことに慣れている)
・PoC(概念実証)のフェーズでKaggleマスターに参加してもらえると非常に示唆が得られる
・樫田さん
・BIマネージャーとMLマネージャーで1on1をやっている
・現場を良く理解しているBIチームからMLを利用できそうなポイントを引き出す
■分析の責任範囲の考え方について
・樫田さん
・特に制限は設けず、できる範囲でやるべきことを何でもやるスタイル
・奥村さん
・樫田さんと同意見
・突き詰めていくと、分析以外のところに分析官の価値が生まれてくる
パネルディスカッション3
トークテーマ:ピープルアナリティクスについて
スピーカー:大成 弘子さん
モデレータ:加藤 エルテス 聡志さん
■ピープルアナリティクスとは
・働く人を幸福にすることを目的にするのがピープルアナリティクス
・活用を誤るとピープルアナリティクスは犯人探しになってしまう
■どんな会社が興味もつ?
・社員数が大体100人以上の会社
・100人以下だと社長の社員に対する勘の方が合っていることが多いのでピープルアナリティクスが活きてこない
・社員のことが見えてこなくなり始めるのが150人くらいから
・エンゲージメントを高めたい会社
・エンゲージメントとは、働いている人の幸福度
・些細なことを繰り返している人のほうが幸福度が高い
・フロー状態(没頭している状態)は必ずしも良いとは言えず、情熱の搾取/燃え尽き症候群に繋がる可能性もある
・没頭することに対する問題有無にはパーソナリティがある
■パーソナリティ診断について
・パーソナリティ診断をチームビルディングに活かすことができる
・コミュニケーションコストを下げたい → 似ている人同士の組み合わせ
・イノベーションを起こしたい:バラバラなパーソナリティの人同士を組みわせる
・マジックナンバー7(人が瞬間的に記憶できる短期記憶の限界の数)というのがあるが、日本人は「4」という数字が好き
・4象限に分けたり、クラスタ分析のクラスタ数を4にしたり
・象限やクラスタのネーミングも非常に重要
■「俺の勘と経験の方が当てになる」という人に対するアプローチ
・「その通りです」と返しつつ、裏で理解者と淡々と進める
■ピープルアナリティクスの始め方
・まずはピープルアナリティクスの価値を認識してもらうことが重要
・アンケートのような簡単に取れるデータから始める
■その他
・加藤さんがマッキンゼー時代「分析と統合のどちらなのか」をよく問われた
・加藤さんの現在の会社で利用する「短期⇔長期と結果⇔プロセス」の4象限がある
・長期×結果
・短期×結果
・長期×プロセス
・短期×プロセス