タイル張り
縦と横が「2×1」または「1×2」の形のドミノをいくつか使って、図のような「8×8」の枠の中に升目に沿って隙間なく敷き詰めてみよう。
これは難なく敷き詰められるだろう。
では、この枠の1つの対角線にある角2つを取り除いた枠の中に、ドミノを隙間なく敷き詰めることはできるだろうか。
ドミノは面積が2だから敷き詰められるとしたら、面積が偶数でなければならない。そして上の例はもともと「8×8」の形をした枠であり、そこから角の2つを取り除き、面積は64-2=62で偶数である。
62ということは31枚のドミノで敷き詰められるかもしれない。
しかしやってみるとどう頑張っても敷き詰められないようである。
もしかしたら敷き詰めることはできないのではないかという気がしてくる。
もしそうなら、なぜ敷き詰められないのだろう。
よく知られた敷き詰められないことの証明には、8×8の枠を市松模様(2色の色を使って交互にマスを塗り分けてできる模様)に「塗り絵」してみるとそれが見えて来るという。
2色を紅白としたら、「8×8」の枠を市松模様に塗るとき、白は32個、赤も32個ある。
ところでドミノを升目に沿って好きなところへ1つ敷こうとすると、市松模様の効果で、赤と白がちょうど1つずつ塗られた場所に敷くことになる。
よって、もし完全に敷き詰められるとしたら、白の数と赤の数が同数でなければならないことになる。
1つの対角線にある角2つを取り除いた枠には、同じ色が2色消えて、同数にならない。
よって、この形にドミノを敷き詰めることは不可能であることが証明された。
この方法を知らなくて思いついた人はすばらしい!
形を変えればいくらでも問題は作れるが、一般には総称して「タイル張り問題」といわれる。
こういうタイル張りできたとしたときに成り立つ性質を見抜いて、不可能性が証明されるのは威力がある。
升目が偶数必要だというのも、ドミノ張りの必要条件だが、この問題ではそれだけでは及ばず、それよりも強い条件を見出せるかというのがポイントになってくる。