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現役塾長が教える〜学習塾の選び方5選〜

こんにちは!すぅです!
私は個別指導学習塾の講師を4年・高校数学の講師を3年・大学生の就活支援を1年・個別指導塾の塾長を3年やりました。
中学受験〜就職活動までを網羅的に携われたのは非常に幸運でした!
さて、現役塾長が教える学習塾の選び方を5つご紹介します!

特にnoteでは経歴の紹介だけで、顔出しとかしていません。
だから「コイツは本当に塾長か?」と疑う方もいるかもしれません。
今回はある意味私自身の経歴を証明するためのものでもあります。
かなりブラックなところまで踏み込んで書きますので、これで私の経歴が本当であると信じていただければ幸いです。

今回はかなり長文になったので、先に言いたいことを書きます!

1コマ3,000円〜4,000円の学習塾にハイクラスサービスを求めるな!
ハイクラスな個別授業を受けたいなら月謝10万円以上は覚悟しろ!

その1〜保護者面談で塾長に質問する〜

みなさんは塾選びは何を軸にしていますか?
家からの距離?料金?塾長の雰囲気?色々な要因があると思います。
体験入塾〜入塾手続きまでのほとんどの窓口は塾長です。
塾長が信用に足る人物であれば入会意欲も高まろうというものです。

入塾にあたって必ず保護者面談が実施されますので、そこで塾長の受験ノウハウがどのレベルにあるのか、どういう塾なのか大雑把に聞いてみると良いです。

保護者面談での質問リスト

・〇〇高校に行くためにはどのくらいの成績が必要で入試でどのくらいの点数が必要ですか?

・現在生徒さんは何名いらっしゃいますか?

・講師の先生に普段からお伝えしていることは何ですか?

・うちの学校の次の試験範囲は何ですか?ウチの子の現状は一旦置いておいて、そのテストで〇〇点とるためのポイントは何ですか?(科目は数学か英語)

・公立高校入試の5科目の出題傾向を簡単に教えてください。

この5つで良いでしょう!順番に解説します。

・〇〇高校に行くためにはどのくらいの成績が必要で入試でどのくらいの点数が必要ですか?

〇〇に入れる高校はどこでも大丈夫ですか。地域でよく名前を聞く学校で良いと思います。この質問は塾長が地域の高校のレベルを把握しているかを確かめるためのものです。これに即答できないor何かしらのデータを見せてきて棒読みしている場合は、全く受験情報が頭に入っていません。
こういう塾では、塾長が受験指導ができないので、学生アルバイト講師に丸投げしているケースがあります。

・現在生徒さんは何名いらっしゃいますか?

この質問は塾がお子様1人にどれだけ注力できるかを聞く質問です。
室長や副室長などの正社員が1名しかいない学習塾(最近の個別指導塾はほとんどがそう)は、頑張っても50名〜60名が限界です。
それ以上子どもが増えると見切れなくなります。授業を担当しているかどうかではなく、その子の現状を把握して指示が出せているかどうかです。
100人教室となると「100人いるってことはそれだけ人気なんだ!」と思ってしまうかもしれませんが、ハッキリ言ってそんなことはありません。大手の学習塾の場合はほぼ広告効果や友達がその塾に行っているから的な理由です。だから、人数が多くなればなるほど、受験生とか関係なく払っている年間のお金で優先順位が変わってきます。

ぶっちゃけますね。
生徒数が80名超えてくると、週1回で月謝1万円くらいしか払ってないお客さんはどうでもよくなってきます。たくさんお客さんを紹介してくれているとか、普段の授業料は少ないけど、夏期講習はめっちゃ受講するとかあれば話は別ですが。だから、お金を払ってないお客さんは自動的に担当講師が1年目の新人大学生とか、全く勉強できない主婦、定年後のおじいちゃんとかが担当になります。塾長をやっている立場で大変言いにくいですが、塾もビジネスなので、指導力ある講師はお金をたくさん払っている生徒から優先的に担当させます。

もっとぶっちゃけると。
月謝1万円くらいで、友達も紹介しない、講習会も受講しない挙句・・・・
「〇〇先生は相性が合わない」「宿題のやり方を指導してほしい」なんて言われた日には・・・
「早く辞めてくれ〜」です。
こっちから辞めてくださいとは言えないので、クレームにならない程度にテキトウに扱って向こうから「辞めます」って言ってくるの待ちです。
繰り返しますが、塾もビジネスなので、利益にならない案件に時間と労力はかけません。

・講師の先生に普段からお伝えしていることは何ですか?

この質問は大学生アルバイトの質が分かります。
特に最近の個別塾なんかではやたら「お子様の性格に合わせて」なんてキャッチコピーを打っていますが、現場で何年も見ていたら分かります。
それじゃあ成績は上がらねえよ!
だから、この質問をしたときに「お子様の性格に合わせて・・・」的な発言をしている場合は大抵マニュアルでそうなっているだけです。
講師をしっかり教育している塾長は人によりますが「成績を上げるための授業のポイント」「生徒の管理監督の仕方」「単元のポイント」などを色々詳しく講師に伝えています。

・うちの学校の次の試験範囲は何ですか?ウチの子の現状は一旦置いておいて、そのテストで〇〇点とるためのポイントは何ですか?(科目は数学か英語)

これも最初質問を意義はほとんど一緒です。多くの個別塾などは地域の中学校にコミットしていますので、その学校の定期テストの過去問や試験範囲を蓄積して、テスト対策などを実施しています。
ひどい塾だと、試験日程もわかっていない、試験範囲もわからない、過去にどんな問題が出たかもわかっていない、なんてケースがありますので、この質問に答えられなかったり、過去問を見せてくれないなどがあった場合はその塾に通うのはおすすめしません。

・公立高校入試の5科目の出題傾向を簡単に教えてください。

この質問に答えられない塾長なんているの?と思うかもしれませんが、
いるんです。なぜなら、塾長は新卒からゆっくり育てられた人材ではないことが多いからです。学習塾の教室長って多くの場合、他業界からの転職組か、教員崩れが多いです。教員崩れの塾長はある程度勉強に精通しているので問題ありませんが、教育をまったくやっていない人が塾長をやると、営業だけやたら出来るので入会をとることはできてもその後の学習指導がおわっている場合があります。塾にとって最も重要なのは入会を増やすこと、単価を上げること、入塾した生徒を辞めさせないこと、この3つです。
だから塾業界全体としても、教員体質の塾長より営業マン体質の塾長が好まれます。教員体質の塾長ってお客様にとっては良い塾長ですが、経営サイドからすればホスピタリティが高すぎて、利益追求はどこへ?というタイプが多いんです。

以上、5項目となります。
あと補足として、塾長にあまり期待しないのでください。
塾長の年収相場ってご存知ですか?個人開業の塾の場合は生徒人数によって大きく左右されますが、サラリーマン塾長の場合、年収300〜500万円です。年収500万が上限の業界に優秀な人材が来るはずありません。
番外編にもありますが、この令和の世の中で店舗型の個別塾ってもうビジネスモデルがあってないんですよね・・・
自分で言ってて悲しくなります・・・

その2〜安かろう悪かろう〜

個別塾の授業料は大手でも1コマ3,000円〜4,000円くらいします。
しかし、アルバイト講師に払っている賃金は塾によって大きく異なります。
仮に90分授業の場合は、最低賃金が2024年10月から東京で時給1,163円ですから、90分で1,745円です。塾バイトの求人サイトを載せます。

この1,745円を基準に考えてみると、1コマの賃金が2,000未満の塾は給料が安いです。安いということは当然優秀な大学生は来ないということです。
あ!個別塾でプロ講師に指導してほしい場合は、月謝10万以上は覚悟してください。大学生アルバイトだから月謝2〜3万で通えるのです。
だから、月謝がやたらと安い塾はサービスレベルもどうしたって低くなります。アルバイト講師の質も良くありません。中学生の英語数学で50点とれるかどうかの大学生が平気で授業をやっています。ひと昔前は大学生のアルバイトは塾講師が華型だったので、レベルの低い学生もビシバシ鍛えることができましたが、昨今はバイトを確保するだけでも一苦労なので、厳しくして辞められるくらいなら・・・という塾も少なくありません。
ハイレベルを求めるなら、価格もハイレベルになることを覚悟しましょう!

その3〜大手が良いとは限らない〜

学習塾の比較サイトなんかをみると、大手の強みは「情報量」だの「システムが充実している」だのと書かれていますが、大手は単にTV広告打ちまくっていて、多くの人に名前が知られているだけです。店舗の外観にもお金をかけられるので、個人塾と比較するとどうしても大手の方がよく見えます。
日本で一番売り上げがあるハンバーガーチェーンはマクドナルドですが、それはマクドナルドが一番美味しいことにはならないのと同じことです。

その4〜やたらと不安を煽る塾へは行くな〜

学習塾では定期的に入会面談の練習会があります。営業ノウハウを学ぶ場です。そこでよく「不安と期待」という言葉が飛び交います。
受験っていうと失敗が許されないと思われているので、とにかく「このままじゃヤバいですよ!」と不安を煽って早期に入会させようとします。
学習塾は「待ちの営業」と言って、お客様に店舗にきてもらうことが前提なので、一旦来た保護者を簡単に返そうとはしません。入会させるか、体験授業の予約をとるかしないと面談やる意味がありませんから。

その5〜体験授業の感想は参考にするな〜

入塾を決めるさいの要素として「体験授業」があります。
体験授業では塾側にとって入塾するかが決まる重要なポイントになります。
体験授業を担当する講師は大抵その塾のエースです。しかし、入塾後に同じ講師が担当になるとは限りません。実際は曜日・時間・月謝の3つを総合して担当者を塾長が決めます。担任制度・指名制度は実質形骸化している塾が多いので、入塾後に良い講師に担当してほしいなら、曜日時間を塾側にあわせつつ、相場以上の月謝を支払いましょう。

番外編〜最近の学習塾について〜

最近の大手学習塾はビジネスモデルの限界にきているところが多いです。
デジタル化をうまく取り入れた塾は売り上げが好調らしいですが、マンパワーに頼っている学習塾はそう長くはもたないと思います。その要因はなんといっても「景気が良くない」+「少子化」です。

学習塾は少子化の影響を最も大きく受けます。子どもが減れば売り上げ減少になるのは当然ですが、それ以外にも大学生アルバイト講師の不足が深刻です。個別塾のビジネスモデルは大学生などのアルバイトを雇って、先生1人に対して生徒2人〜6人程度で授業を行うものです。
集団塾は生徒数に上限はないので、高い人件費がかかるプロ講師も大量の生徒を入塾させて賄うことができます。しかし、個別塾の場合はプロ講師を雇うと当然授業料が高騰します。一般家庭に過度な負担になるため、価格を抑えるためにアルバイトを雇って講師をさせることで帳尻を合わせました。
私が大学生アルバイト講師を始めた頃は、最低賃金が950円くらいだったので、当時の塾講師の時給1,200円はかなり高い方でした。しかし、年々引き上げられる時給についに追いつかれ始めています。昔は高校生はコンビニやファミレスで時給950円で働き、大学生は塾で時給1,200円で働くことが多かったので、学習塾のアルバイトにある程度の魅力がありました。現在は、塾バイトの募集サイトを見ていると、高校生のバイト代と対して変わらない賃金で塾講師の募集がかかっていることが多いです。
また、塾バイトがブラックだと騒がれたこともあって、塾講師は今はすっかり魅力のあるアルバイトとは言えないのが現状です。

だからといってむやみに賃上げできないのが学習塾の難しいところです。大手の個別塾はどこもビジネスモデルが似ている(同じと言っても良い)ので、価格の安さが勝負の生命線みたいになっています。また、教育業界ということもあって「教育で稼ぐのは悪」みたいな風潮に負けて価格転嫁を行ってこなかったのです。

幸い、昨今の教育費の高騰で少子化にも関わらず教育業界の市場は伸びています。つまり、単価が高まっているのです。単価が上がればそれなりに高いサービス品質を求めるのが当たり前なので、店舗型学習塾がどこまで価格転嫁と品質向上を図れるかが今後の生き残りの生命線になってくると思います。

番外編〜間違った塾選び〜

ここまで読んでいただいた方は塾選びのポイントの本質がわかっていただけたと思います。高品質を求めるならそれなりの予算を出してください。
予算が出せないなら、申し訳ありませんが、それなりのサービスで我慢してください。月謝3万円程度の大手個別塾でハイクラスを求めるのは無理です。
当たり前の結論ですが、塾(教育業界)は儲けるのが何故が悪みたいな風潮があるので、安くても子どものためにベストを尽くすのが当たり前だと勘違いしている親が一定数います。

最後に繰り返しますが、学習塾はビジネスです。
ファーストクラスのサービスを受けたいなら、ファーストクラスの費用を払いましょう。エコノミークラスの費用しか払わないのなら、エコノミークラスのサービスで我慢しましょう。



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