痛みは生きざま 本レビュー

こんにちは。フーテンの鍼灸師すーです。

治療院、7月10日にオープンすることに決めました!

茨城 → 納豆 → ナットー → 7/10

今日は読んだ本のまとめ、とその感想を書きまーす。


「痛み治療の人間学」(永田勝太郎著)を読んだ。痛み(慢性)は単なる身体反応ではなく、それまでの人生の重さを反映している「人は生きてきたように痛む」と筆者は述べている。自然科学ベースの現代医学は、検査に引っ掛かる原因(器質的病態)がある場合、効果的だ。エビデンスに戻づいたガイドラインがあるため診断基準、治療方法は統一されている。しかし、最初に述べたように、痛みは生き方を反映している。つまり体だけでなく、心、環境、人生観など複雑な要素が絡み合っている。そこで、筆者は治療にあたって全人的治療モデル【身体(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)・実存(生きる意味、責任)モデル】を提唱して、病をみるのではなく、患者(人)を診るスタンスを確立してきた。慢性痛を○○病=▼▼薬といった形式に当てはめるだけでは不十分である。患者そのものそ患者が生きてきた背景を知り、そして患者自らが自分の生き方(病んだ理由)を見つめなおし、セルフコントロールを行っていく道のりを歩んでいく。現代医療と代替医療のそれぞれの効果と限界を理解し、「良くなる」方向に向かって必要な選択を行っていくのが大切である。具体的には、3つのステップを経て慢性痛に向き合う。まずは、痛みを(一時的でも)和らげる。ここは治療結果と同じ程度もしくはそれ以上、医療者の態度が重要になる。患者は「疑い」「不安」を持っていることが多いためだ。そのため「寄り添い、話をよく聞き理解してくれる存在」として患者に認識される態度が治療そのものの効果にもつながる。信頼関係が構築されてきたら次のステップである。患者の生きざまを患者自身で語ってもらう。医療者は傾聴すると同時に、患者自身が「病むように生きてきた」ことに気づく様、関わっていく。(そんな生き方してるから、病気になるんだよ!という意味ではなく)同時に、全人的治療モデルにおける「実存」について患者とともに探していく。何のために生きるのか、という生き方を捉えなおすための指針や支えになるものだ。患者は、自らの痛みを通してこれまでの生き方とこれからの生き方に向き合い、自ら気づきを得る。その結果、自然と治すために行動が変わっていく。この行動変容までがステップ3である。痛み治療は現代医学と代替医療(伝統東洋医学、心理医学など)によって人間を丸ごと診る、そのような治療である。

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本で使われている専門的な言葉はだいぶ端折ってまとめました。

ここには書いてないけど、折々で「これを行う医療者自身が、自身の死生観を見つめて、常に人間として成長し続ける必要がある」とあります。

そうだよな。鍼灸治療って検査結果で問題がある器質的疾患の人もいるけど、基本的に慢性痛のように機能不全やバランスを崩している人が多い。つまり「生きざまが反映された状態の人」が多い。

で、患者さんは基本的に「どうにかして~。治して~」とお薬飲んだら治るでしょと同じスタンスで治療に来る。現代医療がスタンダードの日本だと、当たり前なんだけどね。

病院で行われている医療は、ガイドラインが用意されていて、「○○という病気には△△という治療を××日行うと、2週間くらいでよくなるYO!」というルールブックがある(全部じゃないけど)

なので、必然的にお医者さんと患者の関係は「治療する人とされる人」になり、患者は受け身になりやすい。

そういった背景があるから、これまで自分の体に向き合ったことない人は「治してYO!」というスタンス。

そこに対して「病は生きざまを表すんですよ」と正論をいきなりぶっこんでも治療者の自己満にはなるけれど、患者さんは当然拒否反応を起こす。

伝えたいことを伝えるのではなく、伝わる様に伝える

何を言うのか、ではなく誰が言うのか

治療の技術、知識はもっちろん必要だけれども、鍼灸師としてここだよな、と改めて感じた。むつかしいけどね。

でも、常に自分の足りなさ至らなさをひしひし感じながらでも、患者さんにあれこれ聞いて、どーにかこーにかやってくと自然と色々と胸の内とか色んな話をしてくれるようになる。

その感じが、好きだなぁ、とは思う。

日々精進だす。

写真はつっきーさんの物を使わせて頂きました!


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