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机上の空論*ドラマ「あの子の子ども」を見て感じたこと
夏に放送していた高校生の妊娠をテーマにしたドラマ「あの子の子ども」
見終えた後に記事を書いていましたが
投稿までだいぶ時間が経ってしまいました。
このドラマ
私はリアルタイムではなくあとからちょこちょこ見ていて
ようやく私も最終回を見終えたあと
なるほど。
そうか。
そうだったのか。
と思っていました。
というのも,
このドラマは”高校生の妊娠”という日常で実際に起きたら結構な事件を扱いながらも
理解のあるパートナー,家族,教員,医療関係者が多く登場していて
”優しい”世界が描かれていて
このドラマのテーマってなんだろう?とちょっと不思議な感じがしていたのです。
ですが
最終回まで見てようやく腑に落ちました。
このドラマの裏の主人公は
沖田先生という担任の先生だったのですね。
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このドラマでは毎回のように登場人物の”自分語り”が挿入されていて
それも回想のような話し方だったのですが
それが最後にこの担任の沖田先生がインタビューしていたものだった
ということがわかります。
この担任の先生はこのインタビューを終えて
「ありがとう。しっかりまとめて風穴をあけるから。
文科省の通達を机上の空論にしないために」
と言います。
ここでようやく私も
”なるほど!”
と腑に落ちました。
*
そうなんですね。
文科省からの通達は次々と新しく出てきます。
でも現場ではこういうことが起きている。
いや,実際にはもっと…難しい問題がたくさん起きていると思います。
*
全日制の高等学校は通常,単位取得のために
一定割以上の授業への『出席』と『成績』をクリアすることが求められます。
つまり年間で欠席は〇割以内,
試験の成績は〇点以上,
この2つの条件がクリアできないと教科の単位が取得できない
ということです。
だから高校生になると
「赤点取ったらやばい~」とか
「休みすぎたから補充しないとやばい~」とか
そういう話が出てくるわけです。
どちらかが,あるいは両方が条件を満たさない場合
その教科の単位を”落とす”ことになってしまうので
留年をしたり
通信制への転学をしたりといった
進路変更をすることも出てきます。
ですから
このドラマのように
高校生で妊娠をしてしまうと長期に休む可能性が出てくるし
体育は出席できなかったりするので
出席要件を満たさない可能性が出てきたり
欠席が多ければ授業にも出られないので勉強がわからなくなって
試験で赤点を取ったりする可能性が高くなりそうかなと想像できます。
このドラマの場合は妊娠でしたが
そうでなくても長期入院をするケースもありますし
不登校傾向にあって休みがちになるケースでも
これまでは
出席要件を満たさない,ということで
通信制へ転学をしたりするケースは数多く見てきました。
でも現在
文科省からの通達では
かなりのことが全日制高校でも認められるようになっています。
取得単位の一部をオンライン授業等で代替することが可能なので,入院中であっても病院からオンライン授業を受けて単位の取得をすることができるようになっているということです。
これは新型コロナの蔓延を契機にオンライン授業の可能性が広がったことも大きいと思います。
誰もが学びたい場所で学べる社会の実現。
ただ,この実現には大きな問題があります。
実際の運営は各学校に丸投げされている実情もあるということです。
もちろん私の知る範囲なので,都道府県により違いはあるかもしれませんが。。。
通達だけがきて
「あとは学校でやってね」
という形。
実際には実例が起きるまでは,その通達は”温められて”います。
該当しそうな生徒が現れた時に「では,どうするか」と検討することになります。
オンライン授業なんて簡単じゃないか,と思う。
コロナの時にはやっていたのだから。
しかし現実はそう簡単にはいかないところもあります。
大多数の対面での授業を運営したうえで,一部オンライン授業を行う。
どの教員もその場その場ですぐにオンライン授業を展開できるほどICTスキルが高いとは限らない。
では,どうやって人手を確保するか。
移動教室での設定や設営,プライバシー保護の担保,単位取得の内部規定の改定等々…
*
こういう時に
「教員はICTスキルを身につけるべきだ」
「人を増やし予算をつけるべきだ」
という
足し算の発想で今までやってきたところもあるだろうと思います。
でも,それこそ机上の空論で
いつになったら予算がつくのかわからないし
ただでさえ忙しい教員を追い詰めることになるし
*
私は
今ある制度
今あるリソースを
うまく活用することを考えらたら良いと思います。
高校に関して言えば,初めから「通信課程」の高校がありますから
私は”単位互換制度”を早急に進めたらよいと思います。
通信課程にはすでに登校しなくても単位をとれるシステムや機能があります。
事情があって登校できない状況になった時に,一部の単位を通信課程で取得することを認めればよいのではないかと思います。
少なくとも,全日制で一からお金をかけて整備することを考えるよりも効率的だと思っています。
*
ただ,おそらくこれもあまり簡単なことではないのだろうな,とも想像します。
高校や大学で合理的配慮をもとにした単位互換制度を進めるときに
多くの単位を別の通信制過程の学校で取得するとなれば
「だったら通信制課程へ転学(転籍)すればよいのでは?」という発想になるだろうと思うからです。
高校や大学はその学校によってカラーや特色があります。
ですから,”〇〇学校”卒業というネームバリューもあるだろうと思います。
だとすれば,やはり希望して入学した学校でのオンライン授業をもっと推進すべきでしょう。
でも,そうなると時間もかかるし,予算も必要。
堂々巡りですね。
*
この問題の根本的な解決には
「どこで学んだか」
だけでなく
「何を学んだか」
を重視するような根本的な改革も必要な気がします。
誰でも行きたい学校に行って,
入学してからの学びを大事にする。
実際に通信制課程の人気は高まっていますし
いろいろな学びのスタイルが可能になると良いとは思うものの
やっぱりそうとばかりも言えないよなぁとか
もう少しいろいろと考えたいこともあるよなぁと
そんなことを感じていたらだいぶこの記事を温めてしまいました。
せっかく記事を書いたのに
もはや夏のドラマも忘れ去られてしまいそうな寒さなので
ひとまずここで。
また何か思うところがあれば書いてみたいと思います。
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