3000msc ②
3000mscの推定タイム回帰式
第1章 3000m障害のタイムを算出する式(以下sc式)とはどのようなものか
sc式とは5000mと1500mの自己ベストのVDOT(V-dot-O2max)から3000mscのタイムを算出する式である。
現在3000mscのレースは他の種目と比較してとても少ない状態だ。そのため、他の種目から推定タイムを算出することでより適切な目標設定に繋がり、さらなる能力向上が期待できる。
第2章 研究内容
第1節 調査対象者
日本人17人 ケニア6人 カタール1人 モロッコ1人 エチオピア1名 アメリカ1名 不明1名
計28人
世界陸上または日本選手権での有力選手を対象とした。
高校生以下は記録会が少なく適切なタイムを保持していないと考え除外している。
データ情報
A 日本人のみ n=17
1500m VDOT. 74.89 ±1.0
※タイム未所持9名
5000m VDOT 77.61 ±1.0
※タイム未所持4名
3000mscVDOT 71.54 ±1.3
(3000mとして計算)
データは平均値±SE
B 全体 n=28
1500m VDOT. 76.23 ±0.2
※タイム未所持9名
5000m VDOT 78.41 ±1.0
※タイム未所持4名
3000mscVDOT 73.01 ±0.4
(3000mとして計算)
データは平均値±SE
第2節 調査方法
3つの群に分けて相関関係を求めた。
サイトを利用し求めた
リンクは最下部に記載。
①1500mと3000msc
②5000mと3000msc
③1500m+5000mと3000msc
結果
①
日本人のみ
r=0.8390159
全体
r=-0.689139
②
日本人のみ
r=-0.689139
全体
r=0.607575
③
全体
1:1の場合
r=0.924193
③*
3:4+調整
r=0.99529762
※ケニア3名明らかに不適な記録を持っていたため除外した。
※自身の記録も追加した。
考察
5000mよりも1500mの能力が3000mscの記録に大きく関与していた。
しかしそれ以上に③での2つを合わせた記録が高い相関関係を示した。
両者の割合を3:4にすることで最も高い相関係数を算出できた。これは単に3000mからの距離の差であると考えられる。
1500mと5000mを両者とも高い水準で走れるオールラウンダー性が必要だと言うことが分かるが、これは当たり前のことだ。
ハードリングはさほど関与していないと考えられるため、ハードルで転倒しないことのみを意識するだけで良いかもしれない。
第3章 式の応用
第1節 研究成果
研究の結果、直線回帰式 y=A+Bx
=-3.324806+0.9860128x
が3000mscのタイムを99%以上の精度で算出が可能
xには
=a*4/7+b*3/7
a=1500mのVDOT
b=5000mのVDOT
第2節 参考タイム
先程の式より、
いずれの目標タイムで必要な能力を導いた。
3000sc. 1500m. 5000m.
11’00 4’45 17’50
10’30. 4’33. 17’04
10’00. 4’21. 16.20
9’45 4’14. 15’56
9”30. 4’08. 15’33
しかし一方をもう一方で補うことができるため、あくまでも両者が同じVDOTの場合のタイムであることを留意してもらおう。
結論
3000mscのタイムは1500mと5000mのベストタイムから直線回帰式=-3.324806+0.9860128x
で99%以上の説明が可能であった。
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