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昭和の歩き方「家族の風景」おぼえがき

『世田谷クロニクル1936-83』という東京都世田谷区を定点とした8ミリフィルム84巻のホームムービーアーカイブスが公開されている。

これは、世田谷区民の方から提供された8ミリフィルムをデジタル化したもので、そこには、昭和の家族が、生活が、風俗が、映り込んでいる。

『世田谷クロニクル1936-83』の映像を観ていると、自分の「記憶」も触発されて立ち上がってくるから不思議だ。懐かしい、というよりも、これってなんなのだろう、わたしのうちや地域の場合はこうだよな、などとりとめもないことが浮かんでくる。まるでトリガーみたいな感じかな。

わたしも昭和生まれだけれど、『世田谷クロニクル1936-83』を観ると、ちょっとした違和感があり謎がある。
8ミリ映像が無声であるのも想像を掻き立てられて良い。映像に映っていないものまで勘ぐってしまうし、いろんなことを調べてみたい欲求なんかもわいてしまう。

そんなわいて出たコトなどをまわりのひとへ話してみれば、些末ながらも面白いことがまたじわじわと出てきて、再び刺激を受ける。謎が謎を呼ぶのだ。
ときにそれは、大きくジャンプして、まったく違う次元の物語を拾ってしまうこともある。この飛躍も、連想ゲームのようで面白い。

◆どこにでもあるような家族の風景

『世田谷クロニクル1936-83』の8ミリ映像に出てくる登場人物は、家族がほとんどだ。今の時代のYouTubeやTikTokとは明らかに違う「家族の風景」がそこに垣間見られる。意外にも今観ると新鮮だ。

ハナレグミの歌う「家族の風景」がわたしはとても好きで、とくにここの歌詞にグッときてしまう。

何を見つめてきて 何と別れたんだろう
語ることもなく そっと笑うんだよ 

家族だから言えることがあり、家族だから言えないことがある。そして、家族の風景は切り取られ、写真や映像などにそっと残る。
どこにでもあるような、と思うけれど、どこにでもあるわけじゃない、家族それぞれの、小さな物語。それらを見つけて、集めてみたくなった。

おもに『世田谷クロニクル1936-83』の映像を起点として、わたしの中にある記憶やわたしと繋がるひとたちの記憶、または知識や歴史などを寄せ集め、時代を縦に横に自由自在に行き来して、「昭和」という時代を歩いてみたい。

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「家族の風景」を集めながらの昭和の歩行記録をマガジンとして編んでいこうと思う。

スキップなんかしたりして、ときには踊ったりなんかして。

令和4年10月吉日


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