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3-4X10月「ダイヤモンドの原石と数珠」

笑いと狂気を同時に感じる作品。

あるインタビューで北野監督は次の事を語っている。

「 笑いって、すごい、暴力的だから。シリアスなときに、必ずお笑いの影が忍び寄るじゃない。シリアスなことを描こうとすればするほど、悪魔のように忍び寄ってくるんで、それを排除しないようにしてるの。入ってきたものはしょうがない、って。」

笑いと暴力は紙一重の表現をこの映画に込めていたのではないかと推察する。

本当の北野監督デビュー作品。

映画監督デビュー作のその男凶暴につきから1年、2作目の3-4X10月が公開された。監督作品2作目になるが、この作品が事実上のデビュー作では?とも言われている。前作は元々、深作監督の作品でもあり、制作者の奥山氏は「和製ダーティハリー」のイメージだった。その為か有名な俳優も出演していた。脚本は野沢尚氏。

今作ではたけし軍団を起用する。元々たけし軍団を結成した時に「ドリフのようなコントをしたい」と思っていた監督。その何年後かに映画制作でたけし軍団を起用するとは思いもよらなかったであろう。軍団の中でも印象が薄い芸名のままの柳ユーレイ(現:憂怜)主役で本名の小野昌彦としてクレジットされている。たけし軍団は1983年に結成され今年で40年を迎えた。


3-4X10月の影響について
〇森プロデューサー「ダイアモンドの原石のような映画」

作品の経緯について

3-4X10月の構想については前作の時から周りに話していた。しかし配給会社(松竹)はこの作品につい難色を示していた「タイトルが難解でメインのキャスティングはたけし軍団」弟子筋のたけし軍団はコントのイメージが強く、有名な映画スターが出るわけでもないとの理由で配給側は二の足を踏む状態だった。そこに森氏は折しも「異業種映画監督ブームが続き注目度もあり、第一作目が興行的に成功していたので、そのまま(配給会社を)押し切った形になった。

初期の北野映画は日本で認められなかった?事について

「初期の北野映画が日本では認められなかったのはビートたけしというフィルターを通していたため、ヨーロッパと比べて客観視されていなかったと思う。HANABIで賞をもらって海外での評価で日本での評価が変わった。映画監督の北野武ではなくコメディアンビートたけしが撮った映画の認識がまぎれもない事実だった。

3-4X10月を源流に。

この作品は今後の北野作品(あの夏、いちばん静かな海。ソナチネHANABIなど)のあらゆるヒントがありダイヤモンドの原石みたいな映画(3-4X10月)、新しい映像の監督が生まれた。


〇主役:雅樹を演じた柳憂怜「3-4X10月から始まった映画出演の数珠つなぎ」

主演の柳ユーレイがあるインタビューでお笑いとキャスティングについて語る。

お笑いについて

お笑いは基本的にふりがあって落ちがあるが監督は余計なことを嫌うので、なるべく最短距離でもっていくには色々とそぎ落としていく。シンプルなものは強いということを教わってきた。

なぜ3-4X10月に主役にキャスティング抜擢をされた?

「自分がなぜ(主役)キャスティングされたのかはいまだに不明。当時は他の軍団に比べて暇だったからと雅樹(役名)と自身(うだつが上がらないタレント)があまりにも似た感じだったのでと思っている。

3-4X10月の公開後の影響とは?

後になって聞くと清水崇監督が学生時代に見た3-4X10月を見て映画を製作する時に、演技については3-4X10月の柳ユーレイみたいにやってくれと聞いた。そしてインモラル/淫らな関係の神代 辰巳監督に起用さえたり、そのインモラルを観た中田秀夫監督女優霊に抜擢され、そして呪怨にも出演することができた。まるで数珠つなぎのように。日本の新しい分野のジャパンホラーに関われた。3-4X10月がなければ今の俳優業ができていなかった。

すたみなの感想

個人的に好きなシーンは落語家の橘家二三蔵が釣り人役で出演する列車車内・釣りの場面。柳ユーレイと石田ゆり子との会話はなんとも言えない自然なやりとり「もうやっちゃったの~」が印象的。

3-4X10月の観てほしい7ポイント!


前作以上にセリフが少なく、表情と情景で物語が進む。ビートたけし演じる上原の理不尽な振る舞いが残尿感のようなすっきりしない気持ちと井口だよ~のセリフが耳に残りる。夏にこの作品を観るとアイスキャンディーが無性に食べたくなる。

「リアリティとエンターテインメントを融合されて作品」
北野映画入門にはこの作品をおススメします。

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