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【完全版】「組織開発」を学ぶ本
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本記事では、組織開発という学問分野を基点として学ぶ際の情報源を整理するため、メモとして作成する。(私が読んだことがあるものに限定して、記載しています。)
※備忘で、独学の仕方(調べ方)について、読書猿先生の図解を引用します。大変参考になると思います。また、私が独自に作成した、「成長段階モデル」を示します。
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本記事は、「認識:知る」「理解:分かる」段階の記事になっています。
組織開発とは何か
組織開発とは、「組織をWorkするための意図的な働きかけ」を意味します。多様な組織だと、それぞれの個性が強いので、外に離れようとします。そんな時に必要なのが、組織開発で、組織を一つにまとめるための方法論です。組織開発は、①見えるか、②ガチ対話、③未来づくりの3ステップで行うとされています。組織開発は、実務の要請から、言葉の意味は非常に「多義的」です。(一義的ではありません)そのため、アンブレラワードと揶揄されるようです。
組織の問題を考えた時に、表に目に見えている問題(コンテント)ではく、組織の目に見えない問題(プロセス)に対するアプローチが組織開発になります。また、組織の問題の深部(プロセス領域の下の方)が、「適応課題」の問題であるとされています。この問題に対するアプローチ手法が、まさに、組織開発です。
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出典:中村・中原『組織開発の探究』(2018)を基に著者作成
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出典:中村・中原『組織開発の探究』(2018)41頁を基に著者作成
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出典:中村『入門組織開発』(2015)、中村・中原『組織開発の探究』(2018)を基に著者作成
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出典:宇田川(2019)5頁をもとに著者作成
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出典:中村・中原(2018),中原(2023)を基に著者作成
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出典:中村・中原(2018)303頁を基に著者作成
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出典:中村・中原(2018)301頁を基に著者作成
1.参考文献
① 中村和彦監修『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(2023)
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② 中村和彦『入門 組織開発』(2015)
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③ 石川明『Deep Skill』(2022)
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④ 中原淳『サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術』
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⑤ 坪谷 邦生『図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ 「理論と実践」100のツボシリーズ』
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⑥ 坪谷 邦生『図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ』
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⑦ 坪谷 邦生『図解 目標管理入門 マネジメントの原理原則を使いこなしたい人のための「理論と実践」100のツボ』
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⑧ 坪谷 邦生『図解 労務入門 人事の土台をゼロからおさえておきたい人のために「理論と実践」100のツボ』
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⑨ 西尾太 『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』
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⑩ 中原淳・中村和彦『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』
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⑪ 中原淳『研修開発入門---会社で「教える」、競争優位を「つくる」』
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⑫ 山内祐平・森玲奈・安斎勇樹『ワークショップデザイン論 第2版』
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⑬ 鈴木克明『研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン』
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⑭ 鈴木克明・美馬のゆり『学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン』
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⑮ 稲垣忠・鈴木克明『授業設計マニュアルVer.2: 教師のためのインストラクショナルデザイン』
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⑯ 鈴木克明『教材設計マニュアル: 独学を支援するために』
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⑰ ケネス・J・ガーゲンほか『現実はいつも対話から生まれる』
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⑱ 宇田川元一『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』
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⑲ ロナルド・ハイフェツツほか『最難関のリーダーシップ』
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※ 技術的問題の考察は、下記を参照
⑳ 中原淳『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』
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㉑ ジャルヴァース・R・ブッシュほか『対話型組織開発――その理論的系譜と実践』
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㉒ ジャヴィス・ブッシュ『実践 対話型組織開発生成的変革のプロセス』
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2.研究会・勉強会
① OD Network Japanの機関紙 「組織開発研究」
② 南山大学 人間関係研究センターの機関紙 「人間関係研究」
3.論文
組織開発の分野についての基礎文献を整理しました。
中村和彦「Tグループを用いたラボラトリートレーニングの構造に関する比較研究‐日本・米国・インドにおけるプログラムの相違について‐」(人間関係研究,第5号,2006)
脇本健弘「サーベイフィードバックによる若手教師育成の取り組み‐教育委員会と大学の連携による人材育成‐」(国語科教育研究,第132号,2017)
高橋妙子「従業員による組織開発の体験プロセスに関する考察‐中小企業におけるOD実践事例から‐」(組織開発研究,第1号,2017)
脇本健弘ほか「ミドルリーダーを対象としたサーベイフィードバック型研修の開発と評価」(教育デザイン研究,第10号,2019)
高橋妙子・中村和彦「組織開発の取り組みが業績向上につながる影響過程:中小企業における事例研究」(組織開発研究,第5号,2021)
鈴木綾ほか「サーベイフィードバックを中核とした中等教育学校における校内研修の試行」(JSETカンファレンス研究報告,2023,第3号,2023)
高瀬浩介「サーベイ・フィードバックを活用した若手教員の人材育成」(学校改善とリーダーシップジャーナル,第5号,2023)
立川紫乃「全社員を対象とした対話型組織開発に関する評価研究‐AIとフューチャーサーチを組み合わせた会議の事例分析‐」(経営行動科学学会年次大会:発表論文集,2012)
星野欣生「TグループQ&A」(人間関係,第7号,1990)
北居明「経営学の視点からの職場環境改善‐対話型組織開発の応用事例‐」(関西科学福祉大学EAP研究所紀要,第10号,2016)
木村秀「対話型組織開発としての安全委員会方式の実施について」(共立女子大学家政学部紀要,第68号,2022)
山崎正枝「組織開発のアプローチを導入した人事制度構築‐保育園Yの事例‐」(日本労務学会誌,第21号,2020)
多湖雅博「Appreciative Inquiryによるワーク・エンゲイジメント向上への取り組み‐看護師を対象とした事例研究‐」(組織開発研究,第1号,2017)
北居明ほか「AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)を通じた看護管理者のリーダーシップ効力感向上の試み」(組織開発研究,1号,2017)
上村裕樹ほか「教育・保育における対話型アプローチの取組み」(帯広大谷短期大学紀要,52号,2015)
北居明・多湖雅博ほか「現場と産業保険の協力による職場改善の試み:K社研究開発部門の事例研究」(組織開発研究,第5号,2021)
金丸由香里ほか「7か月間の組織開発が主観的な生産性に与える影響:中小企業における事例研究」(組織開発研究,第8号,2024)
4.まとめ
本記事では、組織開発という学問分野を基点として学ぶ際の情報源を整理するため、メモとして作成しました。(私が読んだことがあるものに限定)今後、改訂していきます。
5.新たな問題意識
組織の仕組み作り
組織開発は、直接的には、企業で活用する場合、「職場の人間関係性を高めるための手法」なので、診断型組織開発(ODマップに応じた、サーベイフィードバック)や対話型組織開発、コンサルタントの介入の仕方としては、診断型であるとプロセスコンサルテーションや、対話型であると対話型のファシリテーションが提供される形になります。しかし、中小企業で考えた場合、人間関係性を高める以前の組織の仕組み作りがトップダウンで必要だよ。と言われるかもしれません。(それはもしかしたら、その組織の仕組み作りは、組織開発の対話の場を設定し、何度も当事者自らその必要性に気づき、自分たちで、その方策に気づき、考え、一緒に組織の仕組みを作っていく方が、組織の求心性は高まるものかもしれません。)
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出典:著者作成
組織開発の活用フィールドとして、現在注目を集めているのは、(ビジネスの分野では)事業承継の場面やM&A経営統合の場面だと感じています。組織の文化をどう承継、統合するのか、その方法論があるのか、注目されていると思います。また、組織開発の応用として社会課題を解決するために合意形成をどうとっていくのか。
<組織の仕組み作りの(例示)>
・目的や目標を作る
(ミッション、ビジョン、バリュー)
・組織のステークホルダーを整理する
・組織の考え方の定義を整理する
・仕事の役割を作る
・組織の歴史を整理する
・仕事の組織図を作る
・仕事の役職を作る
・仕事の報酬を作る
・仕事の階級を作る
・仕事のルールを作る
・仕事の職務分掌を作る
・仕事の教育プログラムを作る
(新卒研修、中途採用研修、幹部研修)
・仕事の会議のルールを作る
(時期、回数、話し合いのルール、報告のルール)
・バックオフィスの仕組みを作る
(給料の振込方、採用のルール、退職のルールなど)
・業務マニュアルを作る
(業務記述書、フローチャート、リスクコントロールマトリックス:RCM、標準業務手順書:SOP)
・プロジェクトを進めるための仕組みを作る
(名前、目的、スケジュール、進捗管理、成果物、準備物など)
(改訂記録)
2024年12月10日 初版作成
2024年12月13日 読書猿先生の図解追加、論文の基礎文献追加、適応課題と技術的課題の図解追加、最難関のリーダーシップ追加
2024年12月16日 Deep Skill追加、労務入門追加
2024年12月21日 サーベイフィードバック追加、新たな問題意識追加
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