一年に一度の私のルール

最低でも一年に一度は父親に鰻を食べさせることにしている

母が突然亡くなって、私もまあいろいろな感情の変化とかあって数年前から思ったことは、食べ物に未練を残して欲しくないだった。呆れるくらいバカみたいな考えだとも思う。でも人ができることなんて限られてるから案外こんなことが大事だったりするんじゃないかな、後悔とかしたくないし。

だから、私は最低一年に一度は父親に鰻を食べさせる。

昔はスーパーからちょっと良い鰻を買ってきてもらってレシピで見たやりかたで、まず鰻を水洗いしてお茶と煮てタレと絡めてうな丼にして食べさせていた。水洗いをして付いていたタレを流すと鰻の臭みが取れ、お茶と煮ることで柔らかくなるらしい。実際箸で持つのが難しくなるくらい柔らかくなる。たまたま見かけたレシピの受け売りだが私からの豆知識だ。とろけるように柔らかい鰻が食べたい人は試してみる価値はあるぞ。

物価も上昇して父親が高い鰻を買ってくることに躊躇するようになったので、私はすき家のうな丼を年に一度買いに行く。その為にPayPayのポイントを一年かけて貯めることにしている。

今年も無事に鰻を食べさせられた。今年のはとても美味しかったらしく父親が自腹でももう一度食べたいと言っている。本当に食べるのかどうかはわからない。父親次第だ。私はもう来年の鰻に向けてPayPayのポイントを貯めるために頑張ってる。

私は全く父親のことを好きではない。でも恩は感じている。恨みと恩なら恨みのほうが多いけれど無職の私を生活させてくれてるのだ恩はある。

父親と母は歳が離れてたので父親はもう高齢なのだ。私ができることなど食べ物に未練を残さないで逝かせることくらい。美味しい物を食べる時も父親の分を少し多めにしたりする。父親の好物で私がまあまあ好きくらいな物なら父親にあげる。他のことは知らない。何もできないし。

でもこれで私のほうが先に逝くことがあったら私の今までの努力を返してくれってなるなあ。

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