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入道雲の力を借りて
きっとここ数日、心に影を落としているだろうな、と頭に浮かぶ人がいた。
自分の事だってままならないのに、こんなにも情報を遠ざけないと心が乱されまくってるのに、また、力も無いくせに誰かを助けたいと思ってしまった。
自己満足かもしれないと、一度は立ち止まった。
でも、いや、自己満足でもいい、やらないよりはいい。かつて、「こんにちは」って言われただけで、自分に気付いてくれた人がいた、って喜んだ日があったじゃないか。たった一言で、その日見える景色が変わる事もある。
そう思い直して声をかけた。
辛いねの代わりに、暑いねと言った。
悲しい気持ちになってない?と聞く代わりに、また会おうねと言った。
彼女はわたしの意図を恐らく理解していた。普段クールな文面の彼女にしては珍しく、「メール本当にありがとう」の後ろに、ハートが揺れていた。
何もできない自分や、こんな事ばかり起こる毎日に、怒りも湧く。
こんな時に、わたしはいつもお節介を焼く側で、わたし自身は誰にも気にかけて貰えてない事に気付いて、勝手に傷付いたりもする。
自分を哀れむ力が残っているから、わたしはまだ大丈夫なのだろう。
本当はこちらから連絡をしたくなかった姉にも、メッセージを送った。彼女の精神状態があまり良くない事は、本人から聞いて知っていた。別のことで大きなわだかまりがあって、あまり関わらない様にしていたのだけど。
先日作ったスコーンのレシピを送りつけて、気分転換に何かしてた方がいいよと伝えた。
正直なところ少しモヤモヤするやり取りになってしまったけど、何かしら役に立った様で良かった。
時には的外れな慰めをしてしまうこともあるかもしれない。でも出来るだけ、放って置かないと決めている。全員には出来なくても、その時一番心配な誰かの心を、コンコンとノックして、回覧板を回すくらいの事は出来る。
いつかわたしを救ってくれた、あの一言を、誰かに。
「今日、暑いね。」