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フジテレビの「黄金時代」を懐かしむ~『カノッサの屈辱』特別回「冬の特別講習~ゲームの歴史~ゲーム宗教改革と民衆の勃興(2009年12月14日)」
『カノッサの屈辱』本放送から約20年後、今より15年前ですが、「ファイナルファンタジーXIII』発売前に「特別講習」として1回だけ復活放送がありました。2009年のクリスマス前です。
現在はほぼNintendo Switchに寡占されている家庭用ゲーム市場ですが、当時はまだPSにも勢いがありました。
ニンテンドーDS(任天堂、2004年)
PlayStation Portable(ソニー、2004年)
PlayStation 3(ソニー、2006年)
Wii(任天堂、2006年)
←今回の放送はここ!(2009年)
ニンテンドー3DS(任天堂、2012年)
PlayStation Vita(ソニー、2009年)
Wii U(任天堂、2012年)
PlayStation 4(ソニー、2013年)
Nintendo Switch(任天堂、2017年)
PlayStation 5(ソニー、2020年)
据え置きはPS3かWii、携帯機はPSPとDSが争っている時代です。DSなので声は基本的に出ません。
やはり放送がYouTubeに上がっていたのですが、消えていました。
ただし、ニコニコ動画が生きていたので貼ります。
それでは解説をしていきます。
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ゲームの歴史は激しい覇権争いに他ならない。権力を持つには信仰心に篤い民衆の支持が不可欠である。まるでそれは中世ヨーロッパの旧教と新教の争いのようだ。
ダヴィンチの「最後の晩餐」の絵を見るとそれがわかる。人々は神が判断するその瞬間を待ち続けているのだ。しかし、ゲームの歴史を変えたのは神ではなく、信者の気持ちである。信者の心をつかんで行ったのは誰であったのか・・・。
(この研究を 故・仲谷昇教授に捧げる)
【ゲーム古代史 家庭用ゲームの夜明け ~1977年】
ゲームの期限に「ヒッ・タイトー人」が大きく関わっていた。彼らが残した石碑に「スペースインベーダ」が残っている。しかし、これがゲーム全般の話であり、今回は家庭でのゲームの歴史である。
1975年、「家庭用ロッパ大陸」に家庭用ゲームのさきがけが花開いた。「エポックレタ文明」を作った「エポック人」が日本初の家庭用ゲーム機を完成させた。1975年9月12日発売の「テレビテニス」である。テニスしかできないのにあまりに大きいのに驚嘆した。その後、エポック人は機械を縮小化し、「きこりの与作」などを開発した。
【中世・宗教国家の成立と繁栄 1977年~1993年】
1977年、家庭用ロッパ大陸に新たなゲーム国家が誕生する。花札などをコツコツ作り続けていた「ニンテンドー人」が開発した「テレビゲーム6」であり、エポック人のゲームよりもはるかに小さいものであった。ニンテンドー人は1983年に「ファミリーコンピュータ」というゲームの歴史を塗り替える発明をする。中でも人気を博したのが「ドンキーコングレゴリウスⅠ世」で人々の信仰を一心に集めた。
コントローラーにつけられた十字のキーに人々は祈りを奉げた。ここに「神聖ニンテンドーマ帝国」が誕生する。すると、大陸に意外な事態が起き、ゲーセンからゲーマー人が家庭用ロッパ大陸に大量流入する「ゲーマー人の大移動」が起きたのだ。彼らは放課後、家でゲームを楽しむ「家ズス会」を催した。ここで家ズス会の人に悲劇が起きる。「ゼビウス」によって親指を痛める「手を酷使病」患者が蔓延したのだ。
神聖ニンテンドーマ帝国は「マリオⅠ世」「ルイージⅠ世」など新しい神々を次々に生み出していく。そうした中で大いなる繁栄を勝ち取った貴族も誕生した。
代表的な貴族に「エニックス家」がいる。1986年に発売された「ドラゴンクエスト」ではスライムという地獄からの使者と戦った。その当時世に出た「攻略本」は信者間に出回る。これを「ドラクエの免罪符」という。
このころに勃興した貴族には、騎士道精神を持ち鉄拳などを送りだした「ナム公」、「バイオハザード」で魔女狩りを提唱し、社会的緊張を高めた「カプスプルコン家」などがいる。さらに、「スクウェア家」も忘れてはならない。スクウェア家は、「ファイナルファンタジー」が繁栄のきっかけとした。
ドラゴンクエストとファイナルファンタジーには「剣が大切」「クリスタルが重要(特にFF)」という共通点があり、これを「宝剣主義」という。
そのころ、神聖ニンテンドーマ帝国の遥か当方の地で、新たな家庭用ゲーム国家「セガール帝国」が誕生する。「セガール人」は「マークⅢ」や「メガドライブ」といった機械を完成させ、「ソニック」や「ぷよぷよ」といったゲームが人気を博し、独自のゲーム文化を形成していた。
そしてゲーム史において非常に重要な1989年がやって来る。神聖ニンテンドーマ帝国の領地拡大政策の一環として、「ゲームボーイ」という十字キーのある携帯機器によって歴史を変える。これを「十字軍の遠征」という。
ガリレオガリレイは、これまでのゲームを中心に人が回る「人た・ち動説」から、ゲームボーイの登場で人の周りをゲームが回る(人がゲームを選べる)「任・天堂説」になったと命名した。覇権を手にしたかに見える神聖ニンテンドーマ帝国だが、この後新たな勢力を目にすることとなる。
【宗教改革と新国家の成立 1994年~1997年】
1994年、家庭用ロッパ大陸にこれまでとは全く違う信仰を持つ「アングロサクソニー人」によって「大映像帝国ソニー」が誕生する。彼らは映像や音響にこだわりを持ち、「プレイステーション」という機械を完成させた。
プレイステーションはこれまでの神聖ニンテンドーマ帝国のゲーム機とは異なり、カセットでソフトを変えるのではなく、CDロムによってソフトを変えていく。これによりゲームの容量は飛躍的に増え画像もきれいになった。歴史上、神聖ニンテンドーマ帝国のカセットでゲームを変えることを信仰する人々を「旧教徒・カセリック」と呼び、CDロムによりプレイステーションの美しいゲームを楽しむ人々を「新教徒・プレステタント」と呼んだ。
神聖ニンテンドーマ帝国と大映像帝国ソニーの大海戦が始まった。神聖ニンテンドーマ帝国の「無敵艦隊」には「マリオⅣ世」「ルイージⅣ世」「ドンキーコングレゴリウスⅢ世」などの戦士が乗船していた。しかし、その戦いは大映像帝国ソニーの優勢で終わった。民衆がゲームに美しさを求めた結果であった。
【大航海時代と列強の動揺 1998年~2005年】
大映像帝国ソニーの勢いは止まらず、次に独自の文化を育むセガール帝国を攻撃する。「セガサターン」という武器が不調で、急遽実践投入した「ドリームキャスト」だが、ここでも大映像帝国ソニーには勝てなかった。ドリームキャストには十分なソフトが備わっていなかったことも影響している。
こうして大映像帝国ソニーは覇権を手に入れた。
覇権を失った神聖ニンテンドーマ帝国は新たな展開を探っていた。結果として、家庭用ロッパ大陸を離れ「ゲーム大航海時代」へ突入することとなった。航海の船に乗っていた「カワシ・マゼラン」の手には、神聖ニンテンドーマ帝国の新機種「DS」が誇る「脳トレ」が握られていた。カワシ・マゼランは家庭用ロッパ大陸にはいない、中年やお年寄りがたくさんいる新大陸で、脳トレによる洗脳を行い、多くの信者を獲得した。
十字キーからペンに変えるという、神聖ニンテンドーマ帝国の変革の発想は「任・天堂説」の延長線上にあった。
家庭用ロッパ大陸にも動きがあった。「鉄血政策」で知られる「ビスマルゲイツ首相」による「マイプロシアソフト王国」の設立である。しかし、2001年に発売した「Xbox」を発表したが勢力を拡大できなかった。
大映像帝国ソニー陣営では2003年にスクウェア家とエニックス家が合併した。これを「ウィーン体制」と呼ぶ。この体制は後のゲーム史に大きな影響を与えることとなる。
【産業革命と近代社会の成長 2006年~2009年】
2006年、神聖ニンテンドーマ帝国が新たな機種を発表した。それは「ナナ=リザ」の中にもしっかりと描かれている。ナナ=リザの手元にあるのはWii。Wiiによってゲームは新しい局面に突入する。プレイヤーが立った状態でゲームができるようになる。「ゲーム進化論」によって人類は二本足で立った状態でゲームをやり始めたのだ。ゲーム進化論は生物学者を大いに驚嘆させた。
そのころ、大映像帝国ソニーは「ゲーム産業革命」を続けていた。DVD搭載の「プレイステーション2」に続き、ブルーレイ搭載の「プレイステーション3」。
次々誕生するファイナルファンタジーの英雄たち・・・
そして迎える2009年12月17日・・・
ゲーム史において新たなヒロイン、「ファイナルファンタジー13」においてシリーズ初の女性主人公ライトニングが登場する。
ゲームの歴史を学ぶものは、このゲームをプレイすべきである。
ゲームを通じて社会を見ることは歴史学にも通じるのである。
■註
・ヒッ・タイトー人:ヒッタイト人。タイトーはスペースインベーダの元祖です。
・家庭用ロッパ大陸:カノッサの屈辱で多用される「ヨーロッパ」。時に「曜ロッパ帯陸」だったり。
・エポックレタ文明・エポック人:エポックス社。「カセットビジョン」を作りました。
・ドンキーコングレゴリウスⅠ世:史実のグレゴリウスⅠ世はかなり徳のあるローマ教皇。ドンキーコングはマリオに捕まっていました。
・神聖ニンテンドーマ帝国:神聖不可侵の任天堂です。
・ナム公:当時のナム公は毎週のようにゲームを出していました。恐るべし「初心会」!
・カプスプルコン家:カプコン。バイオハザードで魔女狩りに加えて、モンハンで魔獣狩りを提唱することになります。
・宝剣主義:封建主義。ドラクエは封建的ですふぁ、FFは毎回システムが変わるので・・。クリスタルはもうないですよね。
・セガール帝国:独自の文化の結果滅亡してしまいました。今は遊戯に身売り
・十字軍の遠征:十字キーは任天堂の特許なんです。
・人た・ち動説、任・天堂説:ゲームを外でやる、ファミコン以外の選択肢ができる、すごいことだと思います。
・大映像帝国ソニー:PS2でDVD、PS3でブルーレイを家電として買えたのが大きいです。
・旧教徒・カセリック:任天堂はカセット(ROM)にこだわったため、ソフトの量産ができませんでした。
・新教徒・プレステタント:コンビニでゲームが買えたのには驚きました。あとは声が入るようになったことですね。
・カワシ・マゼラン:川島隆太東北大学加齢医学研究所教授
・ビスマルゲイツ首相:ビルゲイツ。日本のゲームの世界では影が薄い。
・マイプロシアソフト王国:プロイセン。ロシアではないです。
・ナナ=リザ:松嶋菜々子がWiiのCMでリモコンを持っていたことに由来。
・ライトニング:この人の宣伝番組だった!?
感想
ゲルマン人の大移動から近代までの西洋史になぞらえて、ゲームの歴史を論じています。
「コナミ」や「SNK」もゲーム諸侯として欠かせないと思うのですが、やはり、権利的にめんどくさい会社なんでしょう。事前回避をしたのだと思います。
個人的には、横井軍平さんや高橋名人にも触れてほしかったのと、PCエンジン、スーパーファミコン、NINTENDO64あたりが無視されています。時間的に仕方がなかったのだと思います。「ピカ中海」は地図にありましたが、ポケモンには触れていけなかったのでしょうか?
この放送からもうじき10年。家庭用ゲーム業界は危機的状況にあります。スマホゲームによって、家庭用ゲームは衰退の一途。PS-VITAの後継機も出てくる様子がありません。
お布施をしてゲームを楽しむのではなく、一部の狂信者から搾取するシステムに変わり、よりゲーム世界のカルト宗教化が進んでいます。困ったものです。