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ミトンとふびん/吉本ばなな


でもそれは思ったよりも悲しい感じではなく、自分がいい思い出を持っているという幸せを、目に涙を浮かべながら、綿菓子を食べるみたいにふわふわと確認する、少し甘い感じだった。

→思い出して寂しくなるようなことだったとしても、その涙を幸せだなあと感じるような感覚に共感した。
そういう涙ってぽろぽろ落ちるよりじわじわ流れるような感じがして、
家族との楽しい思い出や、誰かがこんな風に接してくれたなあということを思い出すとじわじわくる。


幻影と幻影のあいだに、ほのかに温かい空間があって、人と人はそこでしか出会えないのだ。

→たしかにそこに相手がいてもそれはあくまで自分を通して見ている幻影であって、その人そのものを捉えることなんて多分できない。
けどそれは何かが不足しているみたいな悲しい現象ではなくて、そこにこそ相手を思いやる空間が空いているようなイメージがあるから、相手の裏を読もうみたいな気持ちって本当に必要ないと思う。

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ばななさんの文章を読める時代に生きていて幸せーーって思う。

作家さんってやっぱり文章力がすごくて、自分が伝えられないような考えや気持ちも言葉にできる。
だから自分の気持ちを代弁しているような作家さんに出会えるってなんか救われたような気持ちになる。

私にとってそれがばななさんなんです。

社会に生きていたら自分の考えと反することを求められることもあり、心に反することをしてそれが心をやさぐれさせることもあるけど、
ばななさんの文章を読めばまた自分の目盛りを真ん中に戻せる。

これからも人生の色んなところでばななさんに救われて生きていくんだろうな〜と思う。

色んな想像をしながら自分の感覚を信じて進んでいくしかないね。

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