今だから感じるリアリティー/『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~』(2012)
「い、意外といいよ!?」という隠れた傑作だったので、感想など書きます。
昼がわりとパツパツな日がつづいてるもので、夜はレンタルで映画見まくっております。そんな中の一本です。この作品はまったく知らなかったし、偶然見つけて借りたのはキャストのせいで(フランク・ランジェラとジェームズ・マースデン!『スーパーマンリターンズ』の編集長とリチャード・ホワイトですよっ!!❤)中身には正直期待もしなかったんですが、ほんとに意外な拾い物でした。
あらすじ
舞台は近未来。物忘れがひどくなってきた元泥棒の老人フランク(森のなかで一人暮らしをしている)に、息子が介護ロボットヘルパー(あからさまにアシモ似)を贈ります。最初は「寝てる間に殺される」と毛嫌いしていた(というか、自分に「介護」が必要だなどと認めたくない気持ち半分)このじいさんが、やがてこのロボットを気に入ってしまい、「彼」を相棒に久しぶりに「ひと仕事」することに…
…てことで、正直お話はユルイと言えばユルイ。(笑) 80~90年代くらいに、こういう話は「ゆるいSF」として作れてたと思う。(自分好みです(笑))でも、今(公開は2012年ですが)作られたからこそ感じるリアリティがあるんですね。
ロボット三原則とご都合どまりでない設定
あと、ここが一番新鮮なアイデアだと思うんですけど…このロボット、泥棒の片棒かつげるくらいで、法律に関する設定はオプションなんです。(途中で「州法と連邦法をプログラムしますか?」という台詞が出てくる(笑))
…もちろんこれが人間に対する傷害を含む犯罪だったらロボット三原則が働くと思うんですけど、うまいなーと思ったのは、フランクが夜に錠前を開けて入るタイプの泥棒だということ。人は傷つけない。だからわりとすんなり見られるんですね。そしてこれが案外「ご都合」どまりではない。記憶障害が出ている人を介護するロボットが、杓子定規なこと言ってたら勤まらないですよね。だから、このコが言ってることはあくまで話し相手として機能するため、という可能性もあります。でもまあ、他の部分を見るとそこまで深読みする必要もないかな、という気もしますが。(笑)
フランクの物忘れの進行とか、わりとシリアスな要素もあり、高齢者ロマンスの部分もあり、それもちゃんと着地してたりでなかなかでした。ロボットに法律違反を許すという、普通のロボットものだったらかなりデリケートな問題が、「ジス・イズ・問題提起!」てな形でなく、どこまでも目線が暖かいところも好感が持てました。(こだわってないとも言えるけど(笑))
けっこう豪華なキャスト
さて、借りた理由だったフランク・ランジェラとジェームズ・マースデンですが… 今回は親子の関係。ランジェラは役名も同じでフランクフランク言われてますね。(笑) マースデンさんはハンサムすぎるのがアダなのか、いつも髪型がひどい役が多いなーと思うんですが(笑)、今回もまあ…。うん。(^^;)でもやっぱハンサムですよ❤(ちょうどついこないだ、『スモール・アパートメント』っていう作品を偶然借りてそちらにも出ていたんですけど、そちらは髪をキチンとセットしてないので若く見えました。(笑)これも案外いい作品でした♪)
ほかに、フランクの相手役にスーザン・サランドン(すげえセクシーな図書館司書だなあ…!(笑))娘役がリヴ・タイラー(ちょっと懐かしい!)。刑事役で、名前は覚えてないんですが、『エアフォースワン・ダウン』で主役やってた人(ごめんなさいこんなんで(^^;))とかも出てました。最後のクレジットでピーター・サースガードの名前があって、「えっ、どこに出てた…?」と思ったら、ロボットの声でした。この人はどーも悪役のイメージなんですけど(^^;)、今回はかわいい。すごくいいんです、この声!ちょっと『2001年宇宙の旅』のHALを思い出します。でももっとかわいい。とにかくこのロボットがかわいい!
ロボットのかわいらしさ♥
一人暮らしの老人の家で健康管理をするロボットなので、掃除も料理も浣腸もします。(いや、浣腸は台詞だけ。フランク・ランジェラの浣腸姿は拝めません。念のため(笑))お料理は野菜中心の健康食なんですが、この料理の盛り付けがめちゃくちゃかわいい…惚れます、ここで惚れます!(笑)
ルックスは、繰り返すようですがあからさまにアシモっぽいんですけど(笑)、あの声と、料理と、あと(中に人入ってるんでしょ」という感じの)しぐさもかわいくて。…ところがこのコに名前がないのがまたいいですね。(途中フランクは憎まれ口で「宇宙服小僧」(little astronaut bastard)とか言いいますが(笑)、名前は最後までつけない)うん。完全にゆるくはないんですよ。リブ・タイラー演じる娘が海外援助にはまってるのも、なんとなく皮肉が利いてたり。コメデイの部分が多いけど、ラストは切ない。
…枝葉の部分でいろいろほったらかしの部分はある脚本ですけど(図書館デジタル化事業であんなに稼げるはずがなさそーな胡散臭い若夫婦とか…)、サンダンス映画祭で受賞した作品だそうです。サンダンスってインディーズ映画ですよね?画面は確かに低予算ぽいけど、この豪華なキャストを見て自分の脳内で「インディーズ」の定義が揺らいでます(笑)。
二足歩行ロボットと人間
ラストクレジットのところで、実際の二足歩行ロボットの開発史みたいな映像が使われてて、「ロボットと人間の関わり方」がすでに自分たちの問題になってるよなあ…と思いました。フランクがまだロボットを受け入れてないときに、ロボットと言い合ってる自分に気づいて「なんてこった、家電に話しかけてる」という台詞があるんですが、ルンバだってロボットだと考えたら、たしかにすでに家電並みになってるかも。…そういえばつい最近、孫正義さんとこがマジでロボット売り出しましたしね。
そんなこんなで監督の音声解説とかあったら聴いてみたかったんですけど、ありませんでした。残念。セル版にあったら買っちゃうんだけどなあ…(無いみたい(^^;))とにかく拾い物でしたっ!❤
《※追記:その後セルDVDも出たようです。今見たらすでに生産終了のようですが……》
Originally published at https://ushino.blogspot.com/ on 2014/07/26