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映画アボカドの固さとaikoアスパラの苦さ

アボカドの固さ

映画『アボカドの固さ』を観た!5年付き合った彼女に「1人の時間がほしい」と突如絶交に近い形で拒絶され、別れを告げられた主人公前原くんが、ずるずると元カノへの想いを引きずるお話。

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元カノ一点集中でどんどん視界が狭まっていき、生活の波長とか人間関係がどんどんズレていくさまが、とってもリアルかつ丁寧に描写されていて、イタイ恋愛を経験してきた人は、かなり共感性羞恥にさいなまれるんじゃなかろうか。。。

カラオケでやたらテンション高く狂ったようにはしゃいで忘れようとするけど、次の日の朝やっぱり元カノのことを忘れられなくて病んだりするあの感情の高低差とか、他の女性にアタックして忘れてみようとするけど、全然相手にされなくて空回るとか。

友達には失恋ネタで笑いを取って興味を引くけど、とにかく彼女の話をしたくてたまらないっていう裏の狂気が透けて見えてしまうあの感じとか。

執着に走ると、人って周りが見えなくなってどんどんズレていって自暴自棄になるし、それを自分でもわかってるから軌道修正しようとするけどそれもまた空振りで終わる、負のスパイラル。笑

そもそもタイトル、なんでアボカド?と思って調べてみると、アボカドって固いんですね。日にちを置くと、柔らかくなって熟れるらしい。料理全くしないから全然知らなかった。

①アボカドが熟れるまで日数を置かなければならないように、彼女との関係もカッチンコッチンになってしまったので、次に彼女に連絡するには期間を置く必要がある。

②固いアボカドが好きな人もいるし、柔らかいアボカドが好きな人もいる。食べ頃の好みは人それぞれ。彼女の気持ちも、それは彼女だけのものだから、恋愛マニュアルとか他の人の復縁パターンは通用しない。

アボカドが熟すまで待て。彼女の気持ちが整理されて、この5年間の関係がいよいよ熟すとき、ようやくお互い向き合って、前を向いて、お別れすることができるよ、というメッセージがあったのかな。アボカドが熟すまでの期間、主人公前原くんの辛い未練の日々を描いた作品かなと思いました。

aikoのアスパラ

ところで、実はaikoの曲にも、アボカドではないけれど『アスパラ』という曲がありまして。学校で片思いしている人には別に好きな人がいて、あたしは彼に見向きもされず、もう諦めるしかない。。そんな恋愛の苦さを味わうという、切ない曲です。。。

曲中にはアスパラという単語は一切出てこないけど、何かのインタビューで「学生時代、aikoはアスパラが嫌いで、お弁当に入っているのが嫌だった」みたいな記事を読んだことがある。

この苦い美味しくない恋は、まるでアスパラのようだ、という意味が込められていて、歌詞には「あたしの苦いエピソード」がつらつら書かれている。

すぐそこの曲がり角で聞こえてきたんだあたしの耳には
あの子を想う気持ち声になって その先は言わないで聞きたくない
昼すぎの教室から聞こえてきたんだあたしの耳には
あの子の笑い声と一つになって 走り去るこの廊下とても遠い

あなたが「あの子」への想いを話しているところに遭遇したり、あなたと「あの子」がイチャイチャ楽しそうに笑い合っているのを聞いてしまったりと、あたしが、片思いの苦さや絶望をひしひしと味わっていく過程が描かれている。

泣きたかったのにあたしの顔は
「認めるしかない」と笑った

2番後のサビ後半では、苦しいとか泣きたいとかもうそんな次元ではなく、「認めるしかない」と笑ってしまうような状況。

絶望通り越して、もう無理だよって諦めて受け入れる。苦いアスパラもちゃんと食べなきゃ行けないように、この恋もしっかり飲み込んで、次に進まなきゃ、ずっとこの苦しみが続くだけ。

今年もまた思い出すなぁ あの空あの道あなたの顔
汗の止まらない1時の廊下 思わず目を閉じた夏の日

そしてラストのサビ。「今年もまた思い出すなぁ」という歌詞から時間が経っていることが分かる。

けど、時間が経ってもフラッシュバックでいろんな光景が思い出されて、あの時味わった絶望感がどんどん蘇っていくさまが大サビの盛り上がりとあわさって、ひしひしと伝わってくる。

そして「思わず目を閉じた夏の日〜」のあと、aikoが「あぁ~うぉんうぉんうぉんなぁ〜〜〜〜〜」って叫ぶんですけど、これがもう言葉にならない悲痛な叫びという感じがして、とてつもなく辛い。

つらい。。。


結論・・・

●アボカド=アボカドが熟すまで日数を置く必要があるように、お互いが自分と相手を見つめなおす期間をつくることが必要。

●アスパラ=お弁当に入っているアスパラは苦いけど食べなきゃいけないように、苦くて苦しい恋も飲み込んで生きていかなきゃいけない。

アボカドもアスパラもそうだけど、そういう身の回りにある全く関係のなさそうなものも、全て人生の中でつながっていて、ヒントになりうるというか、着想を得ることができるというか、そういう発見が多ければ多いほど、人生の見え方が柔軟になって、もっと楽しくなるんじゃないかと思っているので、私はどちらの作品も大好きです。そういうものの見方が、人生を豊かにする上で結構大事だったりするんじゃないかなと思います。


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