STP分析からリーチ対象/メッセージを決める思考過程を言語化②

前回の記事では、ChatGPTから提示された「ポジショニング/ターゲッティング」の選定で詰まったので、一旦、イシューを見直そう…というタイミングで終わりました。

元々は、STP分析の前にMVVが上位レイヤーに位置していたので、一旦見直してみましょう。

Mission
日々の発信を”ちょっとだけ彩る”マーケティング思考

Vision
誰もが発信を通して”表現できる”マーケターに

Value
あなたの思考と想いが”未来を創る”マーケットへ変わる

マーケティング戦略を練るにあたり、各種フレームワークでの分析をしていると、近視眼的な思考でつまづいてしまうことは、往々にしてよくあることです。

たとえば、前回で言えば「STP分析で出てきたターゲットはnoteを使っていない可能性が高いのでは?」という集客チャネル単位での論点に固執し「noteを使っていそうなセグメントやターゲットを見つけよう」として、分析の方向性を見誤る…といった形です。

そういった際には、一旦、休憩を挟んで思考をリセットしたり、ChatGPTの出力に思考を縛られすぎない…といった向き合い方が重要となります。

また、こうした方向性の迷いを正すためにも、フレームワークの上位存在としてMVVのような抽象概念を定めておくことが効果的であると、改めて認識しました。

「で、結局、自分は何がしたかったんだっけ?」

STP分析のようなマーケティングフレームワークは、マーケットインの考えで「今ある市場」にアプローチする際には、非常に有効なアプローチです。しかし、それは「既に広く知れ渡っている」可能性でもあり、潜在需要を見つけ出したり、新しい市場を見つけ出すには、限界を感じることもあります。とくにChatGPTを活用する場合は、顕著です。

ChatGPTは「普遍的な回答」を高速で考えてくれる分には、非常に心強いパートナーです。しかし「バカげたアイデア」「常識外の発想」を思いつくのは苦手だと言えます。

話が脱線してしまいましたが、何が言いたいかというと「他とは違うやり方で新たな市場やターゲットを見つけたいのであれば、ChatGPT×STP分析の方法論では限界がある」ということです。

ただ、それは必ずしも「ChatGPT活用で新たな市場やターゲットが発見できない」というわけではありません。

では、どうやってChatGPT×STP分析で、新たな市場やターゲットを見つけ出せばいいのでしょうか?その思考過程について、お伝えしていきます。

MVVからポジショニングを見直す

前述の通り、STP分析内の記載情報だけでは判断がつかなくなってきたり、集客チャネルといった一部の情報に振り回されるときには、MVVに立ち返ります。

Mission
日々の発信を”ちょっとだけ彩る”マーケティング思考

Vision
誰もが発信を通して”表現できる”マーケターに

Value
あなたの思考と想いが”未来を創る”マーケットへ変わる

このMVVに立ち直って考えた際に、ChatGPTにより提示されたターゲットやポジショニングが「発信自体を目的にしすぎている」「発信が得られる収益といった実利に縛られている」と気づきました。

たとえば、下記のChatGPT案のターゲットを見てみても、初心者に対しても「ワークショップ」など、かなり行動ハードルが高いリーチ戦略が出ています。

また、MVVから想起されるユーザー増加からすれば「何らかの障壁があって発信ができない」という課題が顕在化している可能性は低いでしょう。

MVV作成時の私のコンセプトに振り返ってみても、他者に発信を強制したり、発信者を強化したいという意図はしたいという思惑はさほどありません。

というわけで、ChatGPTが提示しているSTP分析とのギャップを埋め合わせるため、下記のプロンプトで軌道修正します。

ざーっと考えたねんけど、ワイのnote読者って別に「発信がしたい」というよりは「自分のネット活動・ライフスタイルの中に、自然に発信という行為がある」やと思うねんな。なので、そのライフスタイルに自然に溶け込むように「マーケティングを知ってると色々可能性が広がるよ」ぐらいのポジショニングがええねんや?俺の気持ちや考え、GPTにはわかる?

プロンプト

わかります!つまり、あなたのnote読者は、発信を「目指して」いるというよりも、ネットやライフスタイルの延長線上で「自然にやっている」層が多いわけですね。彼らにとって発信は、特別な目標やマーケティング的な戦略を必要としない行為です。ただ、その中で「マーケティングを知っていると、もっと可能性が広がるし、より自由に発信が楽しめるよ」というスタンスがベストという感じでしょうか。

その視点でポジショニングを考えると、「マーケティングはツールや特別な戦略ではなく、日々のネット活動や発信を豊かにしてくれる”ちょっとした知恵”」として届けるイメージが合いそうですね。発信に対して構えず、「自然に活かせるマーケティング知識」をシームレスに溶け込ませる形です。

ChatGPTの回答

我ながら「流れを変える良いプロンプト」だったと思います。

というのも、どうしてもマーケティングフレームワークを使っていくにあたっては「ユーザーをこう動かそう」という、発信者/事業側の都合が優位になってきてしまいがちだからです。

また、私がnoteを介して交流した人物や読者との関係も「ガンガン発信して数字稼ごう!」というよりは、それとは真逆の「数字は気にしないで、発信や表現を楽しもう」という価値観の方が多数でしょう。

これは私自身が「数字取ることを目的としていない」から、同じ価値観の人が集まりやすいという性質はあるように思えます。また、数字狙いで意図的にバズを狙いにいくときも「バズったら色々反応見れて面白い」ぐらいの動機しかないので、数字自体は結果に過ぎません。

KGI/KPI、PV数やスキ数などの定量指標の話がここまで全然出ていないのも、そういった背景ありきです。

話が脱線したので、再度、ChatGPTにプロンプトを入力していきます。

それにちょっとだけ「自分も挑戦したくなる」って要素を入れてみたいんよね。

先ほどのプロンプトだけでは、ChatGPTが意図を汲み取っていないと判断だできた「挑戦したくなる要素」もここで学習させています。

これは、MVVの「Vision:誰もが発信を通して”表現できる”マーケターに」も含まれており、さらに裏テーマに「実験精神」「試行錯誤」もあるため、自然なポジショニングに近づいてきました。

提示されたターゲットも、下記の通り、私自身が感覚的に求めていたものにだいぶ近づきました。

セグメント情報がなかったので、追加で出力。

セグメントも

プロンプト

MVVに沿ってちょっとだけプロンプトで軌道修正するだけでも、これだけ出力結果が変わり、自身が求めていたものに近づくということが見えてきたのではないかと思います。

まとめ:実務でも通用する骨太なSTP分析が完成

以上で、私の中で「STP分析のフレームワークを埋めるために必要な情報」がChatGPTとの壁打ちで出せたので、ここで一旦終了します。

今回のSTP分析のレベル感の想定としましては、

  • もし他にライターがいてもコンセプトが伝えられコンテンツ内容を統一できる

  • note記事全体のイメージやメッセージを統一する基準となる

  • 自分がライティング方針で迷った際の道標となる

  • MVVと照らし合わせても一貫性が維持できる

というのが完成条件でした。

つまり、トップダウン型でライティング業務に落とし込むにあたって、実用に耐えうるかどうか?というのが重要ということです。

私の過去note記事を見れば一目でわかりますが「なまじ文章表現として様々なアプローチができるばかりに、全体としては一貫性や統一性が保てない」というのが、深刻な課題でした。

しかし、今回のような「じっくり考えて決定する」という工程を経て、マーケティング戦略を強固に定められたと思います。

世間の表に出るマーケティング情報は、今回私が試したような「結論に至るまで思考プロセス」ではなく「結果だけが示される」ことが大半でしょう。

だからこそ、こうした試行錯誤の痕跡を残すことで、一人でも多くの方の参考になれば…と思い、書き記した次第です。


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