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すしログ江戸料理帖【イワシの焼き味噌和え】
「すしログ江戸料理帖」は今や絶滅危惧の「江戸料理」の魅力を伝えるレシピ紹介マガジンです。僕に「江戸料理」の魅力を伝えてくれたのは「江戸前芝浜」の海原親方です。この方は凄い料理人で、江戸時代の文献を読んで江戸料理を現代に復活させているんですよね。そんな人、めったにいません。
そして、僕も江戸料理の人気向上のために貢献したいと思い、本マガジンを始めました。江戸料理の魅力を簡単に挙げると以下のとおりです。
シンプルで手軽
季節や旬を感じられる
ヘルシー
日本酒との相性が抜群
江戸料理の魅力が伝わると幸いです!
さて、前回は江戸料理【豆腐麺(とうふめん)】を紹介しました。
今回紹介するレシピは【イワシの焼き味噌和え】です。
イワシを生で食べる時は、生姜醤油で食べることがめっちゃ多いですよね。しかし、今回のレシピでは焼き味噌と食べるので意外性があります。味噌のコクと焼いた味噌の香ばしさが、良い意味でクセのある生のイワシにピッタリです!
ただ、イワシを生で食べる料理なので、刺身用を買ってくださいね!
包丁不要!【イワシの焼き味噌和え】
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これは江戸時代の本で、その名もステキな『臨時客応接』に掲載されている料理です(刊行は文政十三年=1830年)。本の読み方は「りんじきゃくおうせつ」ではなく「りんじきゃくあいしらい」となり現代とは異なりますが、現代でも同じ使い方ができるレシピです!簡単、美味しい!
使用する材料・調味料
大人2人分の材料です。
イワシ:3尾
味噌:大さじ2
鷹の爪:好みの量
味噌は大さじ1強で足りますが、量が少ないと焼き味噌を作りにくいので、大さじ2くらいがベターです。焦げつかない皿に味噌を塗り、グリルやバーナーで焼くだけです。甘味を付けたい人や、家の味噌が濃い口の方は味醂を小さじ1ほど混ぜて焼くと軽やかな味になります(オススメです)。
レシピ(作り方)
焼き味噌を作っておく。
イワシは頭を落とし、指でワタを抜いたら、立て塩(塩水)に10分ほど漬けて、取り出す時に表面と腹を洗う。
イワシは手で身を骨から外して、手でちぎって焼き味噌と和える。包丁不要!
輪切りにした鷹の爪をまぶして完成!!
・手でワイルドにちぎるのが楽だし美味しい理由です(包丁で鋭利に切るよりも断面がザラッとするので味噌に絡みやすい)。
・唐辛子は東京の地野菜である「内藤とうがらし」を使うと気持ちがアガります。
・好みで写真のように黒ゴマをかけたり、すりおろし生姜を添えたりするのもアリです。
最後にひとこと&日本酒とのペアリング
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脂が乗ったイワシを味噌の塩気と強いコクがキリッと味を引き締めるので、パンチがある味わいです。肉の脂や胡麻油などが無くてもパンチを楽しむことが可能だと教えてくれる料理です。
この料理はご飯よりもお酒の方が圧倒的に合います。合う日本酒と言えば…
黒松剣菱の常温(ひや)か燗酒
剣菱!?と思う人もいるかもしれませんが、実は凄いお酒で、人工的に乳酸を添加して短期間で造る「速醸法」が90%ほどとなった現代において、乳酸を添加せずに空気中の天然乳酸菌を利用して造る「山廃(やまはい)」で造り続けています。創業1505年は伊達じゃない。
濃厚な旨味と香り、山廃による酸味などが【イワシの焼き味噌和え】に合います。今はやりの爽快あるいはフルーティなお酒を冷酒で合わせたら、料理もお酒も台無しになってしまいます。
同じ方向性の山廃のお酒や本醸造酒であればOKです!
また次回を楽しみにして頂ければ幸いです。
励ましの「スキ」を頂けると、次のレシピを書く原動力になります!
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