素敵な時間と出会いをありがとうございました #おくたま文庫
好きだったブックカフェが一時閉店をしてしまいます。普段、SNSに自分の姿は載せませんが今回だけは特別に、自分がここにいた証として残します。5回目の訪問、今日がこの場所での営業最終日です。
到着したのは15時過ぎ。カフェが最も賑わう時間帯はここも例外ではありません。陳列された本を眺めながら席が空くのを待っていると、通されたのは店の一番奥。いつも日本酒を嗜むおじさんが座っていた場所です。最後に私が座ってしまうのはおじさんとソファに申し訳ない気もしつつ、おくたま文庫の感触を忘れないように深く座りました。
最初はお決まりの一杯、この場所で飲める最後のチャイ。この匂いを嗅ぐ度にここでの瞬間を思い出すことになるでしょう。チャイ好きからすれば何でもないかもしれない、それでも私には慣れ親しんだ大切な味。他人からの評価では侵されない、誰に理解してもらう必要もない、私だけの価値があります。
いつもは読書に集中しますが、最終日に突如出現した素敵な一角に釘付けになりました。お知り合いから譲り受けたという大量のマッチ箱。大きいもの、薄いもの、スエードで覆われた手触りの良いもの。昭和の活気を詰め込んだような箱。ショップカードは今でも見かけますが、マッチ箱を広告媒体にしていた時代もあったのですね。
目に付いた「おすしがあるのでにっぽんはしあわせです」。今ほどコピーライティングの理論も定着していなかったであろう時期ですが、この素朴さが心に刺さります。何の詮索もせず、そのまま受け取れる"純なことば"というのでしょうか。それに、日本を「にっぽん」と言う人に悪い人はいませんし(笑)。
シンガーソングライターのMaicoさんは沖縄出身
営業最終日を飾るアコースティックライブ。店主の岡村さんは「ruten(流転)」と名付けました。終わりではなく始まりの一歩、そんな意味を込めたそうです。流転と言えば人間を超えた大きな流れや自然を想像しますが、Maicoさんの歌詞からも同じことが感じられました。おくたま文庫を創った岡村さんも、それに惹かれて集まった人たちも、その場の全員が共感していたはずです。
最後になりますが、おくたま文庫の魅力はハコ(House)を超えて、場(home)にまで昇華させたことだと思います。ただお洒落な空間があるのではなく気持ちが和んで、ただ人が集まるのではなくそこに交流が生まれる。Houseと言えば建物自体を指しますが、Homeと言えばその内側の繋がりや絆も指すようにです。
以前も書きましたが、ここに来るお客さんは初対面でも楽しそうに話をしている姿が印象的です。「皆が繋がってくれて嬉しい」、店主の岡村さんがぼそっとつぶやいていました。「岡村さんがいてこそです」、私ははっきり言いたいです。具体的に何をしたかも重要ですが、この人にしかできないお店が自然とできたのだろうと思います。一時とはいえ、終わってしまうのが本当に勿体ないです。
素敵な時間と出会いをありがとうございました。また、おくたま文庫に行ける日を楽しみにしています!
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以前に書いたおくたま文庫の記事はこちら↓