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コーヒーとチョコレートの行きつくところ #蕪木
コーヒーとチョコレートの専門店。蔵前の並み居るカフェや喫茶店の中でも個性的で実力派として名高い。扉の向こうはコーヒーの香りに満たされ、内と外にはっきりと境界線がある。1階はコーヒーとチョコレートの販売、2階が喫茶室になっているので、狭い階段を上って部屋に向かう。
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床と机のブラウンに壁のホワイト、机と壁には一輪挿しの花の差し色。それ以上無駄な色のない喫茶室は豆電球の淡いオレンジに照らされている。先客が10名程いたが無駄な音もなく、コーヒー片手にそれぞれの時間を過ごしていた。ここは会話をする場所ではなく、名前通り「喫する」場所だ。
ブレンドの「羚羊(¥700)」とコーヒーに合わせてペアリングしてもらえる「無垢チョコレート(¥300)」を注文。頼んでからどのくらいたっただろうか。場の静寂にも慣れ、味わう準備ができたころに頼んだものがやってきた。
濃厚で野生的な苦味とコク。
気品のある芳醇な薫香。
美しい陰翳を持つ落ち着きある味わい。
濃く淹れていただくと、良さが引き立つかと思います。
しっかりとした質感、重みのある珈琲がお好みの方に。
ーある時、故郷東北の森で羚羊と出会いました。
静かな森の中、静かにこちらを見つめる羚羊はどこか神々しく、
神秘的で美しい時間でした。
そんな奥ゆかしい情景から生まれたブレンドです。
「羚羊」が生まれた経緯はホームページに。視覚から味覚への変換が美しく、味や香りの要素を注意深く意識せずとも、映像を思い浮かべながら楽しむこともできる。抽出は布フィルターで行うネルドリップ。紙とは違った味わいになるらしいが私は未熟、違いが分かる男になりたい。
これに合わせて選ばれたのは「華やかな香り」の無垢チョコレート。コーヒーで温まった舌がチョコレートをなめらかに溶かし、果実のようなフレッシュ感のある香りが広がると同時にローストナッツのような重厚で香ばしい、大地を想像させる香りも確かに存在することを確認する。
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程よい苦みと豊かで上品なカカオ感。
干し葡萄を思わせる仄かな果実感と、
ローストナッツのような香ばしい余韻。
芳ばしく、滋味深き味わい。
カカオ70% ハイチ産カカオ使用
喫茶室で気に入ったコーヒーやチョコレートは1階の売店でも購入可能。合わせて1000円前後の通える価格帯のお店なので、自分のお気に入りを見つけるのが楽しみだ。