読書感想文『君の心に火がついて』
長かった。
読むのが結構しんどくて……でも、良い本だったと思う。漫画なんだけどツルリンゴスターさんの絵はとても好みだ。もちろんストーリーも。
ただ、自分と重なるような人達が出てくるので、読んでいて苦しくなる。
自分を抑えて、自分の気持ちに蓋をする主人公たち。
答えは何処なんだろうと探す僕に似ている。
人間の心に灯る“火”を食べて生きる妖怪の焔が主人公たちの心の火種を見つけ、そこから主人公たちが様々な事に気づき、変化していく。
色々な主人公たち、小説家の息子は父親に「あんまりいい子でいるなよ。大人になりきる前にちゃんと駄々こねとけ」と言われるシーンがある。
自分が言われた気がした。
いい子でいた方がいいと思って来たけれど、駄々こねるのも成長に必要だったんだなと。確かに大人になったらもう駄々こねられない。僕は……ギリギリな感じだけどまあまだ学生やるから子供としていられる。
わがまま、言おうかな?と少し思った。
社会は生き辛いよな、わかるよ。
作者の人は、そういう人の気持ちに寄り添うのがとても上手い。セリフの言い回し、なんかこう、胸に刺さるセリフを入れてくる。
自分のことしか考えられない人も世の中にはいて、そういう人ってなぜだかわかった気になって話す。自分が話上手とか思ってる人や論破したとか言える人って大抵そうなんだろうな、とか。
それを読んで、自分は相手に寄り添える人間でありたいなと思ったり。
自分ひとりで生きてはいけないし、自分ひとりで生きてるわけじゃないから。
周りの人たちの気持ちにも寄り添えたらなと思う。
身近な人ほど、考えてるようで惰性でわかった気になっている様になってしまう気がする。相手の優しさに甘えて、考えないからだ。
そうじゃなくて、自分が相手に優しくあれるように、寄り添えるようになりたい。
読むのはしんどいけど、ラストにその後があり、心に火を灯した人達の笑顔が良かったので、ほっとした。
読後感は良いかな?良い内容の本だったな、とじんわりする感じ。
ツルリンゴスターさんの他の本も読んでみたいと思ったので注文して来よう。