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Photo by
mogura2001
「舌噛み姫」
学校の屋上は静かな場所だった。風がそよぎ、遠くから子供たちの笑い声や歓声が聞こえてくる。一人の少女が屋上の片隅で立っていた。手に持っているのは、音楽会の記念写真。楽しい演奏の後に、先生や友人と共に撮った写真。今まで彼女の心の支えだった、笑顔が溢れ、その幸せな瞬間を切り取ったその写真。
彼女は写真の裏に書かれた励ましの言葉を読み返すその時、突如として強い風が吹き荒れた。写真は彼女の手からすり抜け、舞い上がって行く。
「ああ!」
彼女の声が風に飲まれそうになる中、彼女は必死で写真を追いかける。舌を噛む痛みを感じながらも、彼女は足早に風を追い抜いていく。風に煽られ、髪が乱れる中、彼女は手を伸ばし、幸運にも写真を掴み取った。息を切らせ、風の音が響く中、彼女は写真をしっかりと抱えると、心からの安堵感に包まれた。一息つくその瞬間に彼女は自分の大切な思い出を守り抜いたと思ったのだ。
風が静まり、屋上は再び穏やかな静寂に包まれる。
「やった!」
彼女はひとり静かにつぶやいた。
写真を見つめながら、それが彼女にとっていかに大切か、そしてそれを失う恐怖からくる緊張がどれほどのものか。
彼女は深呼吸をし、写真をそっと胸にしまいました。
風が優しく彼女の髪をなでるように吹き、空気が柔らかな余韻を残しながらも、少女は静かに、舌を噛んだことで微かな痛みが残りながら微笑むと、その場を去った。
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