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変化進化のキモは『視座転換』 Daily X #11

今回は、供給者視座と生活者視座という2つのものの見かたについてお話します。

視点と視座の違い

まずは、「どうして視点ではなく視座なのか」からご説明します。

視点と視座はどちらも物事を観察したり考えたりする際の立ち位置や観点を指しますが、一見同じように見えて実は本質的な違いがあります。

まず、視点は、一般的に特定の視野や角度から物事を見ることを指し、より具体的で一時的な見かたを表すことが多いです。視点は、ある特定の場面や状況における観察や考察のための位置づけとして使われることが多く、例えば「この問題を学生の視点から考える」といった使い方をします。企業の場合ですと「あるモノやサービスを売ろうとする場面や状況を顧客の視点から考える」となります。

一方で、視座は、より包括的で長期的な立場や姿勢に基づく見かたを表すことが多いです。視座は、個人や組織が持つ価値観・倫理観・世界観に基づいた立ち位置と言ってもいいかもしれません。ある個人や組織がどんな時にどんな判断や行動を行うかの源となるとともに、長期的な方向性や目標にも大きく影響します。

いいたいこと

どうしてこんなことを考えるのかといいますと、普通は「視点」で物事を考えがちですが、「視座」を意識すると、相手の価値観・倫理観・世界観に目が向くようになり、「目からウロコの発想、斬新な切り口のアイディア、新機軸の商品・サービス」が生まれやすくなるからです。
これは、変化・進化を進めようとする人・ドリーマー脳を鍛えたい人にとって超重要なスキルではないかなと、私は考えています。

誤解しがちなので要確認!

このあとお話を展開する「視座転換」というのは、ある個人や組織の中での「視点」→「視座」への切り替えではなく、「ある個人や組織の視座」→「別の個人や組織の視座」への切り替えのこととなりますのでご注意下さい。
つまり、同じ人が短期的な見かたから長期的な見かたに変えることではなく、ある人が自分の見かたから他人の見かたにチェンジすることを「視座転換」と言っています。「相手の身になって考える」というコトバがふさわしいかもしれません。

【考察】 供給者視座と生活者視座

さてここからは製造業を例にとって、どんな視座の違いを感じるべきかについてお話をさせていただきます。

供給者視座

供給者視座においては、企業や組織が自分たちの提供する商品やサービスを中心に考えます。どのような機能や性能を顧客に提供できるのか、そしてその商品やサービスを通じてどのような価値を顧客に与えられるのかに焦点を置きます。供給者は、技術革新や市場競争の中で自己を差別化し、顧客の期待を超えることを目指します。
視座で重要となる「長期的な立場や姿勢」は、価値観・倫理観・世界観といったモヤッとしたものよりも、事業スキームやビジネスモデルに基づくことになるでしょう。

生活者視座

一方、生活者視座は、顧客・消費者が自分や家族、仲間たちの生活の中でどのような姿を目指し、どのような目的や目標を持っているのかを中心に考えます。この視点では、自分がどのような時にどのような行動を取るかが重要で、個々の道具やサービスは選択可能な手段のひとつとなります。この視座での「長期的な立場や姿勢」は、人の価値観・倫理観・世界観に依存するところが大きくなります。

2つの視座の違い

供給者視座から生活者視座への転換

次に、企業にとって視座転換とは何かを考えます。
企業も最初は生活者視座から事業スキーム・ビジネスモデルを起こすのですが、それがどう変わっていくのかを追ってみましょう。

企業の歴史
  1. 創業期:商品・サービスを生み出す→【生活者視座】
    最初の段階では、企業は生活者の視座に立ち、消費者のニーズや生活の質を向上させるための商品やサービスを開発します。このアプローチは、消費者の期待を満たし、信頼を築くことに重点を置いています。

  2. 成長期:商品・サービスをよりよいものにする→【供給者視座】
    製品やサービスのラインナップを増やし、あわせて品質の向上を図っていきます。

  3. 成熟期:売上利益の拡大を図る→【供給者視座】
    この段階では、効率的な生産プロセスやマーケティング戦略が重視されるようになります。上記2に加えて、コストダウンと新規顧客開拓や既存顧客の囲い込みなどに取り組んでいきます。

  4. 衰退期:機能品質過剰追求と組織弱体化の悪循環→【供給者視座】
    成功体験から抜け出ることが出来ず、顧客・消費者のニーズとはズレた活動を一生懸命やっていることに気づかなくなっています。加えて意欲と能力のある人間がどんどん減っていきます。

  5. 転換期:生活者視座に立ち戻り事業を再構築→【生活者視座】
    最終的に、企業は再び生活者の視座に立ち返ることが求められます。現在および未来の生活者のニーズを考慮し、製品やサービスだけでなく、ビジネス全体の在り方を再構築していくことになります。しかしこの段階で、想造力(過去記事参照)を持った社員がいないようでは、お先真っ暗・万事休すかもしれません。

ということで、供給者視座から生活者視座への転換というのは、衰退期〜転換期において発生する事態と言えます。

視座転換

この研究室では、生活者視座ってなんやねんというのを追求していくことになりますが、そのお話はまた後日…


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せるとら攻略研究所
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