いるかもしれないけど?
『この中に白血病なんてなったことある人いないと思うけど、』
というのは我が家に縁ある高校の先生が授業で白血病を取扱う際に使う入りの言葉だそうで、
私も息子がまさにその病気になる前の無知な2年前なら素通りしていましたが、
今となっては、
『先生それ危ういよ!』とつっこみを入れたくなります。
実際にそうしたいと言ってみたのですが、
言われて傷ついた当人から特に騒ぐなと言われたのでしょうがなく、学校には何も言わずnoteでひっそり思いの丈を残します。
50年前なら悲しい意味で先生の言葉はかなりな確率で相応しい導入の言葉だったかもしれませんが、
今や小児急性白血病は治る可能性の方が高くなっている病気です。
残念ながら病気の強さが勝ってしまうこともまだありますが、たくさんの治療の選択肢もあり、すぐに治らなくとも、また、その後再発してしまったとしても、治療を頑張ってきた、また長いこと頑張っている子がたくさんいる病気です。
小児急性リンパ性白血病(ALL)の発症確率は低年齢層の方が高いです。かといって高校生だから白血病にならないということももちろんありません。
ひとまず、年間400人(数は便宜上)程度の小児ALLサバイバーがその後寛解状態を維持できていると考えて、
その子たちが年々成長していくと考えれば、この子どもが減っている世の中、
当該高校に当の患者や元患者本人がいたり、
広く白血病と考えればその家族・親族や友人が罹患しているないししていたということは全くあり得ない話ではありません。
白血病が治るようになってきたとはいえ、そこにいたるまでの長期にわたる治療の数々による晩期合併症や骨髄移植の合併症に高校生時点でいまだ悩まされていたり、高校生になるまでの間の治療期間が社会的な空白時間となって、多感な大事な時期を治療に奪われ悩んでいる子たちもいます。
また、患者の家族だったり友人としてそれを傍で支える『白血病が自分事』の高校生も一定数いるのです。
そういった立場の子たちが先生から冒頭の一言を言われた時に何を思うでしょうか?
更には、そのような言葉があったからといって、授業に深みが出るわけではないそうで、
無意味な確認になってしまっているようです。
このような不用意で不必要な確認は時に過敏な子を
『白血病になるってよほどダメなことなんだ』
と余計に刺激し、混乱させます。
その上、『白血病は珍しいってことだから、自分とは関係ない』というメッセージとも受け取れます。
その扇動が偏りのある知識を植え付ける元凶にもなりえます。
私も決して偉そうなことは言えず、当事者となったからこそ気づいたということがありましたが、だからこそ、
授業で扱う課題について、その周りまで目を向けて準備してほしいし、
その言葉を発する前に、先生の発言が意味のないただの攻撃性だけ高い発言になりうるということも考えてほしいのです。