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雑文・芥川 第172回芥川賞受賞者発表について


 第172回芥川賞受賞者が決定しました。安藤ホセさん30歳、鈴木結生さん23歳! 若い! こんなに若い方が芥川賞受賞してるというのに私ときたら、、、死にたくなる! よし、死のう! さようなら現世! ありがとう現世! 来世でまた会おう!! 

 完

  というわけにはいかないので、続きますが、さっきどさくさに紛れてL'Arc〜en〜Cielの『Driver's High』の歌詞をぶち込んでみましたが、あれって自殺の歌ですよね。

 芥川賞受賞作は、受賞発表後に出る文藝春秋に全文掲載されるので、それを見ればいいのですが、昨日、次号の発売日を見るために今月号をコンビニで手に取って見たら、なんか通常の4分の3くらいの薄さのうえに値段が上がってて、文藝春秋社大丈夫かと思った、週刊文春が裁判ばっかやってるから経費削減でもしてるのだろうかと不安になった、と文藝春秋社はともかく、安藤さんの受賞作が掲載されている『文藝』は買ったはずなんで、その辺に埋もれてないかと探したが見当たらなかった。しかし、安藤さんが文藝賞を受賞したデビュー作が掲載された『文藝』はあったので、ちょっと読んでみた。ブラックミックスの日本人でゲイというマイノリティーな立場から生まれる作品を一貫して書いているという印象。デビュー作のタイトルが『ジャクソンひとり』というのは、やはりあの偉大なジャクソンが肌の色を変える前に所属していたグループを想起させて面白いですね。インタビューで好きな作家を聞かれて、川上未映子、多和田葉子、松浦理英子、黒田夏子、となかなか硬派な女性作家ばかり挙げてて、ここに山田詠美の名前がないのが気になりました。(山田詠美さんは『ベッドタイムアイズ』という米軍基地から脱走してきた黒人兵士と日本人クラブ歌手の女性の恋愛を書いた作品で文藝賞を受賞しました)
 山田さんの芥川賞の選評は毎回楽しみなので、今回は安藤さんにどんなコメントしてるか楽しみです。
 個人的には、安藤さんと文藝賞を同時受賞した日比野コレコさん(現在22歳)が、ギャルがノリで書いた小説と見せ掛けてガッチガッチのド変態レベルの文学マニアで大変好感を持ちました。インタビューで家族4人分のカード使って図書館で一気に80冊借りてました!とか爽やかに語ってて完全にキチガイだと思いました。文藝賞の審査員の町田康さんも、そら絶賛するわいと思いました。
 と、ここで町田康さんの名前が登場しましたが、町田康さんも芥川賞作家であり、最近はかなり他ジャンルに渡って作品を執筆しておられるのだが、なんとついに文章読本系の本を出されました。なんか最近出たばかりで、試しにサンプルを読んでみたら、これがまた面白くて爆笑できる文章読本なので、さっそくKindle版を購入しました。こんなに笑える文章読本系の本はないですよ。今回は芥川賞関係について語るということで、この本についてはまた改めて紹介します。

 鈴木さんの作品は小説トリッパー掲載という事で、芥川賞候補作品は基本純文学系文学誌5誌から選ばれるのが普通なのですが、たまに例外があり、それが朝日新聞出版から発売されてる小説トリッパーなのです。今村夏子さんとかも、この雑誌に掲載された作品『むらさきのスカートの女』が受賞してますね。これを機に小説トリッパーも買うようにするか。さて、鈴木さんの作品はゲーテについて書かれた作品らしい。ゲーテといえば、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』である。ウェルテルは、冴えない兄ちゃんが恋に敗れて自殺するみたいな話で、私も昔読み、SNSのニックネームをウェルテルと付けたことがある。あと、湊かなえの『告白』の空気読めない熱血教師みたいな奴がウェルテルって自称するんですよね。ゲーテの繊細なウェルテルとは真逆という。
『ファウスト』は青空文庫の森鴎外訳をちょっと見た程度ですが、手塚治虫のファウスト三部作と呼ばれる三作品の中の『百物語』『ネオファウスト』は手塚作品の中でもかなり好きな作品です。日本を舞台の時代劇と大胆にアレンジした『百物語』、手塚先生が逝去した直後に集英社からハードカバーの名作集が三冊発売されたんですが、私はそれを親に買ってもらって、この三冊に収録された作品はどれも名作揃いで、当時幼いながらにトラウマ級の衝撃を受けたことを覚えていますが、『百物語』はその中でも特に好きな作品です。メフィストフェレスに相当するスダマが可愛いんよ。なかなかの萌えキャラ! 『ネオファウスト』は『グリンゴ』『ルードウィヒ・B』と並ぶ手塚治虫遺作のひとつで未完なんですが、なんでここで終わるんや! と悔しくなるくらい、ここから先が楽しみなところで絶筆になってしまうのが残念な名作です。ジジイが妖艶な魔女と契約してイケメンに若返り人生やり直すみたいな物語です。可愛いけど地味な女の子が魔女に乗っ取られて、はちゃめちゃやっちゃうシーンが良いです。この女の子、2部で可愛そうな事になり未完で終わるから全く救われないのが残念ですが。地味な女の子に妖艶な悪魔が乗り移ってセクシーになるってのは、後にゲームのソウルハッカーズやグランディア2とかでもありましたけど、手塚先生は亡くなる直前まで面白い漫画描いてたのが凄いですよね。そういえば、芥川賞作家になりすますみたいな『人間昆虫記』もありましたね。あれも、私は好きな作品です。

 さて、そろそろ時間もなくなってきましたので、今日はこの辺でおしまいにしたいと思います。芥川賞受賞したおふたりには、これからもますます活躍していただきたいですね!

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