ろんり@東京都立高校入試の英語長文読解
今回は東京都立高校入試の英語で出題されるラストの大問4の長文読解を解説していきたいと思います。
さすがは東京と言うべきか、時間配分、難易度をしっかり考慮して、中学生にも解けるように、論理的思考が必要になる難問は少ないです。ヒントも設問ごとにちゃんと設定されていましたし、比較的解きやすいですね。しかし、かける時間を減らすには工夫が必要になる問題構成だなと思いました。
著作権の都合上、問題自体の掲載は控えさせていただきます。入試問題はリセマムさんのサイトで見れるので、ぜひ照らし合わせてチェックしてみてください。
では、早速。
大問4 最後の長文
いきなり本文と設問が始まる構成です。まずは設問からチェックしましょう。
設問数が多いので、初めに全部をチェックする必要はありません。私なら問1チェック→問1解答。問2〜3チェック→問2〜3解答。問4チェック→問4解答。の流れで行きます。チェックしたことを一度に全て頭で記憶するのは難しいので、設問の内容で分けましょう。
(問1)
本文中の下線部について答える問題。
問1に用意された英文は、
Junko was happy because ( ).
で、この空欄に適する文を選択肢から選びます。
becauseはA because B『BなのでA』という意味であるように、前後で因果関係を作ります。因果関係ということは、抽象具体を使う可能性が高いですね。
ここまで理解できたところで、選択肢を見ましょう。
選択肢のチェックの仕方としては、基本は主語と動詞から文全体の内容を把握しますが、主語と動詞だけでは内容が薄いという場合に限り、動詞の後の名詞や形容詞をチェックしてもよいです。
私ならこれくらいまで把握しときます。
ア『Lucyがいい友達になった話』
イ『Lucyが賛成した話』
ウ『She(Junko)がクラスメートを手に入れた話』
エ『Sheが高校生になった話』
このうちどれがbecauseの後ろに入るのか。訳して解こうとした方は、アを選んだのではないでしょうか。間違えた方は、抽象と具体が生み出す因果関係が掴めていません。
選択肢アは、下線部の次の文から作られた選択肢でしょう。
よく見てください。
下線がある文と次の文ではどちらも動詞が過去形ですが、主語が前者はJunkoで、後者はTheyです。当然、TheyはJunkoよりも集合(範囲)が大きいので、They以下の文はJunkoの文よりも抽象度が高いということになります。集合の論理では、小集合ならば大集合という因果関係が成り立つことから、抽象と具体の間に、具体ならば抽象という因果関係が得られ、結果、『下線部の文ならばThey以下の文』という因果関係となります。
よって、They以下の文は結果となる文であり、解答根拠に使うことはできません。
抽象と具体から導かれる因果関係について、詳しくは別のノートで説明してますので、時間ありましたら参照してみてください。
質問等あれば、コメントくださると幸いです。
では、どこが解答根拠になるのか。下線部よりも具体度の高い文はどこなのか。
効率的な調べ方としては、チャートを描くとよいでしょう。集合関係、文の構成から抽象具体を判断し、度合いを分けていくんです。
百聞は一見にしかず。実際にお見せします。
こんな感じです。
前文を基準に次の文との抽象具体度を比較して、抽象度が高ければ左下へずらし、具体度が高ければ右下へずらす。以下同じように続けます。大体下線部の前後の抽象具体が分けられれば大丈夫です。
もう一度言いますが、今回はbecauseの右に入る『原因』の文を答えとしたいので、使えるのは下線部よりも具体度の高い文、つまり因果関係の因となる文です。
よって、作成したチャートからも、下線部の次の文では抽象度が高くなるので因ではなく結果であり、根拠として使えません。
チャートでは、下線部の文の前の文が唯一具体度が高くなっているのがわかります。
この文は主語がLucy、動詞がjoinedで一見抽象具体の度合いに差はないように思えますが、この文は文頭がIn Aprilという副詞句から始まる文なので、実は具体度が高いんです。英語というのは文頭に1番伝えたいことを持ってくるので、文頭の語はその文の性質に大きく影響し、この文はわざわざ4月の話だよ、と具体的に教えてくれている文、ということになります。更にこの文はLucy, an English-speaking student from canadaと、主語であるLucyがどんな人物であるかを具体的に教えてくれているので、下線の文よりも明らかに具体度が高いです。
以上から、このLucyを主語とする文が原因であり、解答根拠となります。
よって、答えはウの『Sheが英語を話すクラスメートを得た話』となります。
(問2)と(問3)をなぜ一緒に解くか
なぜ問2と問3を一緒に解くかと言えば、問2は本文の内容に沿って英文の順番を決める問題、問3は本文の内容を踏まえて選択肢から問題文の空欄に入る内容を選ぶ問題であり、どちらも本文の内容を踏まえるので、問2を解く間に問3も解ける可能性があるからです。それならば問4も同じく解ける可能性があるのですが、そこまで問題文を頭に入れすぎると混乱してくるので、後回しでもいいと私は思います。
では、まずチェックの仕方から確認していきましょう。
問2は、提示された4つの英文を本文の内容の流れに沿って並べ替える問題なので、どの文の内容がどこで出てくるのかを把握して答えることになります。なので別に抽象具体などは使いません。ちゃんと本文の流れに注意できるかが正攻法です。
問3も問2と考え方はほぼ同じで、問題文が本文中のどこの話なのかが把握できていないと解けません。ただし、問3(2)は問題文にbecauseとあるので、もしかしたら抽象具体を使うかもしれません。
ともかく、問2と問3でチェックするべきポイントを見ていきましょう。
問2
まずは問1の時と同様に主語と動詞をチェックし、得られる内容が少なければ動詞の後ろの名詞や形容詞まで確認してください。内容のプラスマイナスも本文中で照らし合わせるヒントになります。しかし、この問2は問題文が本文のどこにあるのかに気を付けなければならないので、主語と動詞だけでなく、問題文中のキーワードもピックアップして丸で囲んだり印を付けておきましょう。ピックアップしておくことで、本文中で流れに注意しやすくなります。キーワードを選ぶポイントとしては、本文中でそのままの形で出やすいものを選ぶとよいです。
ア:『Junkoがmixed feeling(複雑な感情)を抱く話』
複雑な感情を抱く話なので、マイナスの内容。
キーワード:food replica shop
イ:『Junkoがlearnedする話』
キーワード:(Before visiting) Asakusa
ウ:『(Lucyがenjoyedしたことについて)Junkoがhappyな話』⇦enjoyはプラスの単語なので、注目しやすいです。
キーワード:food replicas (at the shop)
エ:『Lucyがminiature foodを持つpeopleをsawした話』⇦この文は本文中でそのままの形で出てきそうなキーワードが見当たらないので、ある程度詳しく読んでおくとよいでしょう。
問3
選択肢アイウエまで確認して覚えようとしてたら問2への注意力が散漫になるので問題文のチェックまででいいです。後は本文を読みながら「ここの内容で答えられるな~」ってとこが見つかったら本文の内容に合わせて選択肢を選べばいいです。そっちのほうがミスは減るでしょう。
(1)『JunkoがAsakusaに訪れた時の話』
Asakusaはキーワードとしても使えますね。
(2)『Lucyががっかりした話』
マイナスの内容。
キーワード:food replica shop
(3)『Lucyがagreedした話』
キーワード:takoyaki、(food replica shop)
ここまで確認できたところで、早速解答に移りましょう。
本文を読み進めていくときのポイントとしては、まずは一つ一つの文の主語と動詞を基本は追っていき、途中キーワードが出てきたら解答に使えるかもしれないので、その周囲をしっかり読んで解答していきましょう。
では、解説していきます。
1~4行目:SVのみの確認。
5行目:「Lucy happily agreed」とあり、これは問3(3)でチェックした内容にありましたね。なのでここをよく読みますが、takoyakiは出てきませんし、内容も全然違います。ここじゃありませんでした。
6行目:「Asakusa」のキーワードがありました。これは問2のイと問3(1)のキーワードですので、この文、もしくはこの周辺をよく読みます。
『JunkoがAsakusaといくつかの他の場所についての情報を手に入れ、役に立つ英単語を学び、そしてスケジュールを作った。』
とあるので、問題文と内容を照らし合わせると、問2のイの内容は本文と一致しています。浅草に行く前の話というのも正しいです。よってこのイが本文の流れでは一番最初に来たので、1番です。
問3(1)は、チェックした内容を振り返ってみると、「JunkoがAsakusaに訪れた時の話」とあり、これは浅草に行ってからの話であるから、6行目の文とは時間が一致していません。よってまだ答えられません。
7行目:SVの確認。
8行目:「Junko visited Asakusa」とあるので、これは問3(1)に時間的にもキーワード的にも合います。よってここが解答に使えるのでは考えて、よく読みます。その前に選択肢を確認し、どこを答えとして使うのかチェックしておきましょう。
『朝、JunkoはLucy、Yasukoと一緒に浅草に訪れた。彼女はある場所から他の場所へ彼女たちを連れていき、それぞれの場所でLucyにそれらの歴史といった物事を説明した。Lucyはそれがhappyだった。』
確かに本文と問題文は一致していますし、抽象具体から「Junkoが説明してくれた→Lucyはhappyだった」という因果関係も正しいことがわかります。もちろんここは訳しても因果関係を間違うことはないので、訳して解いても全然大丈夫です。よって答えはアです。
10行目:「Lucy was happy]とありますが、food replicasが見当たらないので、ここは問2のウの内容とは違うようですね。次行きましょう。
11行目:Asakusaはもう使わないので飛ばします。
**
11行目最後の方**:「Lucy saw」は、問2のエのSVと一致しています。解答根拠になるかもなので、よく読みましょう。
『Lucyは外国人の若い人々を見た。彼女は彼らのバッグについてるminiature foodに興味を持った。それからLucyは彼らに話しかけた。彼女は「こんにちは。それとってもかわええやん。」と言った。彼らのうちの一人が、「うちら、それ、向こうのfood replica shopで買うたんよ。」と言った。』
miniature foodも出てきていました。なのでここが同じ内容である可能性が高そうですね。
たしかに内容も一致しています。よってエが本文中で2番目に出てくる選択肢です。
12~14行目:問2のエを解く際に読んだ通り、これ以上解答で使う部分はありませんので、飛ばします。
15行目:「Lucy agreed」とありますが、周囲のどこにもtakoyakiがないので問3(3)の解答には使いません。飛ばします。
16~17行目:SVの確認のみ。特にキーワードもなし。
18行目:「Junko reluctantly agreed」とありますが、15行目の理由と同じくtakoyakiがないので問3(3)の解答には使いません。
しかし、reluctantly「渋々と」という単語はマイナスの意味です。ここで少し感づく方がいるかもしれませんが、これ、実は問2のアの内容にとても近いんですね。had mixed feelingsはマイナスの意味ですし。
15行目で、Yasukoは二人に対し「replica shopに行かないか?」と訊ね、Lucyはそれに賛成しますが、Junkoは「Lucy agreed but Junko said to Yasuko」という記述の後で、「そのshopに行くことは私のスケジュールにない」と主張します。agreeの後にbutが来ているので、反対の意を表明するセリフであることも裏付けられています。その後、説得されたJunkoは渋々行くことを承諾するわけです。明確にhad mixed feelingsが表現されているわけではないので、解答に使うには弱いですが、もし他に根拠になりえる文がなかったら、ここを解答根拠とするとよいでしょう。少なくとも問2アの内容を持つ文は本文中にあるわけなので。
19~23行目:ここからは怒涛のreplica shop連続出現です。訳してもいいですが、長いのでそこそこ集中しつつ眺めながら解答に使えそうな部分を探していくと早くていいですね。
24行目:「I`m a little disappointed」とあります。これはLucyのセリフなので、問3(2)の解答に使える可能性がありますね。では、このLucyのセリフから、becauseの右に来る正解の内容は何なのか見ていきましょう。いつも通り、選択肢の主語動詞チェック→本文チェックの流れでいきますが、選択肢チェックの解説は面倒なので飛ばします。
本文チェックですが、異なる人同士のセリフには原則、抽象具体を作れないので、Lucyのセリフ以外をチェックしても解答根拠は得られません。故に「I`m a little disappointed that I can`t make one now~」を訳せばよいです。「今作れないことが少しがっかり」とあるので、答えはエです。
25行目:「Junko had mixed feelings」とあり、問2アの内容と同じ文が来ましたね。ここを重点的に読み、解答していきましょう。
訳さず解くとしたら、人のセリフの具体度がとても高いことから、26行目の「私はスケジュールにshopを入れてなかった」というセリフを原因として、結果、「Junko had mixed feelings」となったという構造が見えてくるので、問2のアの順番は3番目ということになります。
訳して全然解けるので、ここは訳すといいかもしれませんね。
ここまで問2のウの内容は全然出て来てないので、この時点で最後である4番目と決めつけちゃってもいいかもしれません。不安な方はそのうち出てきますから、解きながら待ちましょう。正解の順番はイ→エ→ア→ウです。
26~38行目:最後のキーワードであるtakoyakiを探しながら主語動詞をチェックしていきますが、別に解答根拠に使えそうな部分はないですね。
39行目:ついにtakoyakiがでてきました!がっつり読んでやりましょう!おっと、その前に問題文と選択肢をちゃんと確認しなきゃ。
この問題は、「Lucyが2回目にreplica shopに訪れた後に本物のタコヤキを食べようとすることについて賛成した時のJunkoの行動」について答えるものですね。答えるべきはJunkoの行動なので、Junkoが主語となる文を重点的に読みましょう。
すると、40行目「Junko asked」、42行目「Junko said」、とありますが、どれも選択肢には合いません。
しかし、43行目のbutの後ろに「she thought ~」とあり、ここの内容が問3(3)の選択肢アの内容にばっちり一致します。よって、正解はアです。
問4
やることは今までと同じ。問題文の主語と動詞をチェックし、キーワードとなりそうなところはピックアップしておきましょう。
(1)「Junko`s brotherが何かをsayする話」
キーワード:Junko`s brother
(2)「Junkoが何かをrealizeする話」
キーワード:food replica shop for the second time
(1)brotherが出てくるのは本文28行目です。見つけたところで選択肢をチェックしましょう。He saidはすべて同じなので、そこは前提としてチェックしましょう。
ア:スケジュールを作ることが大事という話
イ:Lucyがputしなければいけない話
ウ:彼女(Junko)が従う必要のない話
エ:彼女が作らなければならなかった話
本文を見ていくと、30~31行目にかけて、brotherのセリフの中に「You don`t have to follow a schedules all the time.」とあり、ここの内容が選択肢ウと一致します。よって答えはウです。
(2)the second timeのfood replica shopは37行目からだったな~と覚えてたら早いですね。ここから考えましょう。
まず問題文は、Junkoが何に気付いたのか正しいものを選ぶものです。選択肢を見ていきましょう。She realizeは前提です。
ア:perfect guideがhaveしなければいけない話
イ:融通さとスケジュールを作ることの両方に関する話
ウ:replicaが本物に見える話
エ:歴史の情報を手に入れることに関する話
本文を見ていくと、45行目(最後から2行目)に「Junko was happy and realized that being flexible was as important as making a schedule.」とあり、「融通が利くことはスケジュールを作るのと同じくらい大事だと気付いた」なので、「融通が利くこととスケジュールを作ることの両方が大事」という意味と同義であるため、イが正解ということになります。
終わりましたね...。書くと長いのですが、実際にこの解き方ができると本当に早いです。5分かからないんじゃないですかね。
と、とりあえず私は寝ます...。明日試験なので...。疲れたああああ!!!