![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/109613850/rectangle_large_type_2_db432c4097f3b41b9f21b257d42ef6ae.png?width=1200)
父をアルカホリックと勘違いしていた話
父はアルカホリックだった
と、今日まで勘違いしていた
なぜなら父は酒を飲んできては
暴れまくっていたからだ
仕事のあとに父は酒を飲んでくる
午前様はあたりまえで
朝方になる事もある
幼いながらに記憶しているのは
帰宅してシャワーだけ浴びて
また仕事へ行っていた事だ
偶に早めに帰ってきたら
とにかく大声をあげ
家の中のものを投げて壊していた
(扇風機とか何台
壊したかはわからない)
THE昭和の父である
そんなおかげで
私はお酒が大嫌いだった
「酒は人を狂わす」
という恐怖心がずっとあった
大人になり飲み会があっても
私はずっと幹事をしていた
理由は飲みたくないからだ
お酒の席は宴なんて名前がついて
きらびやかで楽しいイメージがある
夜のお店だって
シャンパンをあけるし
お祭りだってほろ酔いの大人が
楽しそうにしている
楽しそうにする反面
お酒で失敗する人もたくさんみた
「それ、みたことか」
と内心思っていた
昨年父が亡くなり
あらためて父について
よく考える時間が増えた
そしてよくよく考えたら
父は仕事以外で
酒を飲んでいなかった
という事に気がついた
家で晩酌する
という事がまるでなかった
記憶が混濁する
アルカホリックというのは
酒が無ければ保てない部類の人だ
父はそうだったのだろうか
むしろふだんは
真面目すぎるほど真面目で
お酒どころか
水しか飲んでいなかった
煙草も私が生まれた時に
やめたらしく吸っていなかった
元々スポーツもしていたので
非常にストイックだったのだ
食事も野菜が少なければ
怒るくらい厳しかった
仕事上使うはずのない
筋肉もやたらあってマッチョだった
今思うとふだん真面目な分
酒をのまねば意見が言えぬ
という時代だったのではないかと感じた
そこで
「お酒とお金って
何か似ているな」と感じた
なぜか「たくさんあるほど偉い」
「たくさんあるほど強い」
という空気感がある
これは人に話す時に限る
大体酒をのめる人は
「こんなに沢山のんだ」
と量の話をしてくる
「このビールは
ここの地ビールで
味がフルーティで」
なんて事はあんまり言わない
嗜好品のはずなのに
やはり、お金と似ている
どうやって稼いで
誰がよろこんだかの話より
いくら稼いだかの方が
注目されてしまう
非常に面白いなと感じた
そんな事を考えたあと
「じゃあ私ならどう飲む」
と問いかけた
出た答えは
「ひとりでしっぽり飲む」
だった
正直ひとりで
ゆっくり飲むと
ひと缶で足りる
中毒性があるので
一概にいいとは言えないが
「量」ではなく「味」
を基準にすれば
そんなに飲みすぎる事も
無いと思う
付き合いで飲まないと
いけなかった時代の父も
ほんとはこうやって
ゆっくり飲みたかったんじゃないか
と勝手に思ったりもした
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/109545058/picture_pc_24217c688488ca6017dea66607339a09.jpg?width=1200)
カーッとのむのも
勿論いいと思うけれど
私みたいに
じっくりのむ人が
もっといてもいいのになと感じる
(ちなみにのどごし生は
発酵の香りが強めだけど
すーっと抜けて
炭酸が強くて迫力があった)
「お父さん
ほんとはこうやって
飲みたかったんじゃないのー?」
なんて独り言を言ってみる
娘からの意見なら
渋々聞いてくれるかもしれない
いいなと思ったら応援しよう!
![surume](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171773991/profile_9d2a48a3ebf9b1639cf36aa1cab65040.jpg?width=600&crop=1:1,smart)