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2週目:融資相談でまさかのNHK取材!災い転じて福となるか?

 訪問営業やテレアポを強みに、BtoBの営業プロセス代行(Sales Process Outsourcing)やマーケティング支援を手がけてきたサーパスが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、危機に直面しました。その事情は「訪問営業とテレアポが強みの私たちが、オンラインセールスを完璧にマスターするまでの奮闘記」にまとめました。

 私たちが訪問営業やテレアポを脱し、新しいスタイルを確立するまでの奮闘記をご紹介します。記録をスタートしたのは、コロナショックが深刻化した3月末のこと。今回はそれから2週目の記録を掲載します。

■2週目:4月6日(月)~4月12日(日)

 サーパスでは、お客様とも相談を重ねながらも、政府の正式発表を前に4月6日から正式にリモートワークへ移行することを決定し、順次リモートワークを開始しました。

 これまでとは、働き方が大きく変わります。そこで月曜の夕方には、毎月恒例の全体ミーティングを、初めてオンラインで開催しました。みなさん、たった2カ月でオンライン会議には慣れたかと思います。けれど当時は慣れないことばかりで、緊張したのを覚えています。

 「私たちは、過去に類を見ない状況に突入します。私は全力で雇用を守りたいと思っています。だから、みんなにも当事者意識を持ってもらいたい。全員で難局を乗り切る覚悟を決めてもらいたい。もし一緒に乗り越えてくれるなら、わたしも全精力を注ぎ込んで本気でやりぬきます」

 画面を通して、こう訴えました。

社員が自分で働く道を選ぶように

 今回の新型コロナウイルスに関連する対応で、いったん仕事がなくなった社員には、自分でどちらを選んでもらうかを決めてもらいました。

 一つは、業務が変わってもリモートで働き続けてもらう道。もう一つが、健康が心配だったり、ご家族の事情などがあったりする場合は休んでもらう道。休業補償を活用するので、給料はこれまでの6割になりますが、感染のリスクは減らます。

 どちらにするかは配属するプロジェクトがなくなり浮いてしまった社員一人ひとりに、自分の意思で選んでもらいました。新型コロナウイルスの問題は経済的な危機だけではなく、身体的なリスクも伴います。だからこそ、社員が自分たちの意志で身の振り方を決めないといけない。そんな思いを込めたつもりです。
 
 初めてのオンライン全体会議で思いが十分に伝わるのか不安でした。
 けれど、結果的にはいつもよりしっかりとメッセージを伝えることができた気がします。そして、働き方を選んでもらうよう依頼をした社員のほとんどが、業務内容が変わっても、とにかく危機を乗り越えるために一緒に奮闘する道を選んでくれたのです。

まさかのNHK取材で衝撃の展開!

実は、新型コロナウイルスが本格的に拡大する直前の2020年3月後半、サーパスは組織コンサルティングを手掛ける識学のCVCから資金を調達していました(詳細はこちらを参照)。創業から11年半の間、サーパスは100%自己資本で経営してきましたが、実は2019年秋から初の第三者割当増資に向けて動いていたのです。

 それまでは地銀や日本政策金融公庫や品川区の融資斡旋制度を活用したりするなど、金融機関の借り入れだけで経営を続けてきました。そして今回のコロナ危機は、サーパスの経営に大きな影響を与えるかもしれない——。

 2008年の世界金融危機や、2011年の東日本大震災を経験してきたからでしょうか。とにかく一日も早く一歩でも先に動いておかなければならないと思い、3月上旬には、今までに何度もお世話になっている品川区の融資相談窓口に面談のアポイントを申し込んでいました。

 それでも面談が実現したのは4月9日のこと。政府の非常事態宣言が出た2日後のことでした。

 人通りがめっきり減った品川区役所に足を運んでみると、なんと入り口にNHKの取材班!融資の相談をする経営者などを取材したいと、探していたようです。担当者との相談の様子は、当日21時のニュースで放映されました。

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お客さまが、サーパスを支えてくれた

 夜9時のニュースを生放送で見た人もいれば、ニュース番組で紹介されたことを伝えた、フェイスブックの私の投稿を見た人も多いようでした。

 放送直後から相次ぎ連絡が来たのです。

 起業家仲間からは、「何かできることがあれば言ってね」という連絡。中には「○○を紹介するよ」という温かい言葉などもありました。
 普段からお付き合いのある顧客企業の経営層の方々からも、お気遣いのご連絡をいただきました。「失礼に当たったらすみません」と前置きしながらも「石原さん、会社は大変な状況なんですか」と慮ってくれたのです。

 そのお客様は、このコロナ禍でも一切、契約内容を変更することなく継続してくださっています。

 災い転じて福となす——。

 わたしの経営者人生は、いつも危機に直面しては、奇跡のような出会いやサポートによって救われることの繰り返しでした。そして、同じようなセレンディピティが、今回も起こったのです。

 NHKの取材を受けていなければ、きっとこんなことにはならなかったと思う出来事が、いくつも起こりました。

 実態経済が止まり、この先、厳しい状況が待ち受けているのは、私たちもお客様の会社も変わりはありません。だからこそ、私から「助けてください」と言うつもりはありませんでした。みなさんだって、同じように大変な状況なのですから。

 けれど、顧客企業のみなさんは、私たちのことを「パートナー」として見てくれていた。そして、ニュースで品川区の融資相談窓口に訪れた私を見て、すぐに連絡をくださったこと。
 
 下請けや業者ではなく、仲間として見てくださった。こういう時に、お客様との築いてきた信頼関係を再確認できたことは、大きな励みになりました。

 しかし、経営状況に厳しさが増しているのには変わりありません。続く翌週は、コロナショックの中でも売り上げをつくるために、本格的に動き出しました。(3週目に続く)

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