オタクの分類①
一言にオタクと言ってもいろんなオタクがいるわけだ。
私はそもそも映画やドラマのオタクで、その後アニメや漫画やゲームといった二次元のオタクになって、更に寄り道してアイドルオタクとしてアイドルを追っかけることもあったし、最近はスポーツにも手を出している。
私が思うに、オタクはそれぞれ、大事にしているもの、何にお金を使いたいと思うかという観念、欲しいものが違う。
アイドルオタクや俳優オタク、劇場に映画や演劇やミュージカルを観に行くのが好きな人が欲しいのは「時間」だ。ただの時間ではなく「特別な時間」だ。日常から離れた場所で過ごす時間が何よりも癒しになる。
映画や演劇は家でDVDなどで鑑賞できるが、それでは「非日常」が足りないのだ。家は「日常」だ。どんなに作品に集中しても、傍にはキッチンがあり、布団があり、出勤用の鞄があり、友人からのメッセージが届くスマホがある。
普段乗らない乗り物に乗って、普段降りない駅で降りて、普段歩かない街を歩き、普段入らない劇場に入り、普段出会わない人たちに囲まれて、スマホの電源を落とし、目の前の舞台にだけ集中する。
贅沢で尊い非日常をアイドルオタや観劇オタは買っている。
アニメやゲームや漫画などの二次元が好きな人、中でも特にキャラクターグッズを買うのが好きなオタは「不変」を愛し、拠り所にする人だ。
いつまでも変わらない姿のキャラクターをずっと愛でていたい。形に残るものが欲しい。
「日常」にあるものは、変わっていくのが常だ。
生き物は老いるし、人は何かのきっかけでガラリと言動が変わってしまうし、昔着ていた服は着られなくなっていく。
二次元にも流行はあるので自分が好きな作品が過去のものになっていくし、ハマらないと思っていた新作にいつの間にかハマっていく。
でもいつか「ああ、ひさしぶりにアレを愛でたい」と思った時、いつでも時間をあの頃に巻き戻せるように、どうしても捨てられなかった推しキャラのぬいぐるみや同人誌をそっとしまっておく。
押し入れの段ボールを開ければ変わらないものがある、という安心感を買っているのだ。
ゲーマーはアイドルオタとも二次元オタともちょっと違う。
ゲームをやることで得られる「達成感」を買っているのだと思う。
ゲームにはミッションがある。○○を△体殺せ!とか××へ行って□□を集めろ!とか。
ミッションを攻略するために努力は惜しまない。
とにかく「成果」が好きなのだ。ミッションを達成して得られた「成果」を眺めてうっとりする。
場合によってはその「成果」のおかげで誰かから感謝されたり尊敬されたり羨望の眼差しで見られたりして、承認欲求も満たされるかもしれない。
日常では達成できることより、達成できないことの方が多い。
どんなに努力しても報われないことなんて、はいて捨てるほどある。
日常に比べたら「成果」の出やすいゲームの世界なら、日常で満たされない心を満たすことができる。
日常でなかなか得られない「達成感」が課金してかえるのであれば、安いもんだ。
他にもいろんなオタがいると思うが、私の周りのオタや私自身のことを考察すると、この三つ辺りがメジャーなんじゃないだろうか。あくまで「オタクが欲しいもの」という観点での分類だが。
なんでこんな分類をして、わざわざ長い文章で書いたのかというと、オタ同士で「お前、そんなつまんないもんに金使って意味あるの?」というマウントを取り合う人たちを見て、めんどくせーと思ったからだ。
人それぞれ、欲しいものは違う。
同じゲームをやる人でも、ゲームをやる「特別な時間」で満足する人、ゲームのキャラクターの「不変」のグッズを買って満足する人、ゲームのミッションをこなした「達成感」で満足する人、いろんな人がいるのだいうことを、理解してほしい。
二次元好きな人に舞台を観に行けとは言わないし、グッズが欲しい人にゲーム内の報酬だけで我慢しろとは言わない。
ただ、同じことをしていても、同じものを求めているとは限らない、ということをわかって、寛大になってほしい。
ああ……ゲームのミッション達成すんのめんどいな……平昌五輪観るので忙しいし……フィギュアスケートはテレビじゃなくて会場で観たかったな……しょうがないからマスコットの虎のぬいぐるみだけでも欲しい……え?売り切れ?アイドルがそのマスコットつけてたからアイドルのファンが買い占めた?なんじゃそりゃ……買えた人うらやましい……浮いた金でゲームに課金するか……
そんなあらゆる欲にまみれたばばあのことも、許しておくれ、後生だから。
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