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yama 『Life is Beautiful 2024』レポ

2024年12月24日のクリスマスイブに行われたyamaのライブについて、感想を備忘録として残したい。ポエム感のあるレポになるので、その点ご留意ください。

yamaのライブに行くのは5回目。今回のライブはこれまでと違い、特殊なコンセプトを掲げたライブだった。

歌うことを通して見てきた景色とyamaが描く世界の美しさをセットリストや演出、楽曲アレンジによって表現するコンセプチャルなライブになります。

Sony Music HPより

つまりは、yamaのライブ活動の軌跡を辿るような演出をしようという試みである。

元々yamaはライブ中に一切MCをしないアーティストだった。
年月や数を重ねるにつれて少しずつ挟むようになったが、そもそもそれが得意な人ではないらしく、ある日のMCでは、自分が話すことによって楽曲に悪い影響があるなら話すことはしたくないと語っていた。
語りの中からはトークへの不安が垣間見える一方で歌唱に対しては自信を持っているように感じた。
謙虚だがアーティストとしての自負に溢れているような、圧倒的な才能を持つ人間なのにどこか等身大で人間味に溢れているような、そんな人物像が魅力の1つだ。

2年半ほど前のライブで、涙ながらに想いを語る姿が印象に残っている。

話を戻すと、今回のライブはそんなyamaが人前に出てライブをして、MCをするようになった心境の変化や、上手くいかない苦しみと葛藤の日々から感じた想いをライブに落とし込むというコンセプトであった。詳細なネタバレは控えたいと思うが、印象に残った曲をピックアップしたい。

1.ブルーマンデー

1曲目。2021年に発表された曲で、ライブで聴くのは初めてだった。
"憂鬱な月曜日"の通り、メロディもどこかダウナーで影のある物憂げな印象。

ドラマで見たような人生なんてくだらなくてさ
思い出は美しい方がいいやなんてさ
不思議な事ばかり口をついて出るのブルーマンデー

歌詞より

アップテンポで華やかな開幕、というわけではないのに、歌い出しで一気に引き込まれる感覚。
スマホで聴いている限りではそこまで印象に残っていなかったが、生歌は脳に深くインプットされた。

2.偽顔

前述のようなコンセプトでライブをすると知った時から、確実にセットリストに入ってくるだろうと思っていた曲。
楽曲の邪魔にならないように仮面をつけて自分を隠すと決めた時の想いが乗っているような気がした。

散々 取り繕っている
本当の顔は誰のためで
だんだん 苦しくなるね
お揃いの甘えの前倣え

歌詞より

仮面をつけて歌う姿に、違和感を持つ人もいるかもしれない。それでも"ライブをする"という選択をした意思を表す一曲。

3.新星

もしライブで聴ける曲を1つ選べるのであれば間違いなくこの曲を選ぶくらいには、yamaの圧倒的な歌唱力が光る曲。
この"新星"と、"真っ白"、"Lost"、"光の夜"、"天色"で構成される第2部は、いつもの白パーカーから黒パーカーに衣装チェンジをしていて、デビュー後の"暗"の部分を感じさせる。ライブが好きになれず、上手くできない自分に苦悩していた頃を表しているような感じがした。

もしも僕がスターになったら
どんな詞をさ、歌えるんだろう?
どんな言葉でさ、訴えるんだろう
この星でこの僕で

歌詞より

このラスサビの高音は何度聴いても圧巻。俗っぽい表現だが、心が震えるような、迫力のある歌唱だった。

4.天色

このコンセプトライブの軸になっているような曲。
開放的なサウンドで暗闇から明るい方向へ少しずつ進み出していく様子を示している。

地面ばかり見て歩いていた僕は
上の青さに気付かなくて
馬鹿みたいに 馬鹿みたいに
闇雲に探していた

歌詞より

暗中模索する様子。歌詞の通り、上を向くだけで見つけられる“青さ“も、下を向いていてはいくら必死に探しても見つかることはない。それに気づかないまま、ただ夢中で努力を続けていた日々を振り返っていたように感じる。

いつからだろう
辺りを見回す余裕すら
忘れてしまっていた
針のような形をしたまま
僕らは何かになろうとした

歌詞より

何かになりたくて、余裕がない。できない自分とどう向き合えば良いかわからず、葛藤している心象が窺えたような気がした。

5.こだま

爽やかなメロディが心地よい第3部の2曲目。少しダークなテイストの第2部と打って変わって明るさと解放感が流れ込んでくる雰囲気に。

溢さないでいようよ
たゆたう日々でも
春の夜風を感じるままにさ

歌詞より

“こだま“はどこか青春を感じる曲で、忘れていた感情を思い出させるような感覚が楽しい。次の“あるいは映画のような“のポップなメロディへの繋がりが気持ちよかった。

6.麻痺

ライブでは定番の曲。何度も聴いたことのある曲だが、この日は少し違った意味を帯びて聴こえた。

このステージに立ってる意味を
今も忘れたくないよな


嗚呼 今
静かに心が燃えていたみたいだ

歌詞より

舞台に立てる喜びを忘れずに、目の前のライブに全力を注ぐ。
yamaは毎年のように全国ツアーをしていてかなりの数をこなしているのに、いつライブに行っても全力で歌い上げていることが伝わってくる。そんなところが魅力だと思う。
自分の弱い部分を認めて、できることにベストを尽くす。そんな割り切りができて、吹っ切れたことを示すような歌唱だった。

7.世界は美しいはずなんだ

ACIDMANの大木さんが楽曲提供した曲で、これも定番曲。
以前名古屋で開催されたACIDMANとの対バンでエピソードが語られ、より好きになったこの曲を、クリスマスイブのコンセプトライブの締めに聴けたことは幸せだったかもしれない。

世界は美しいはずなんだって
未来は美しいはずなんだって
誰かが歌っていた
そんな言葉を信じたいんだ

歌詞より

勿論、世界には美しいところもあれば、そうでないところもたくさんある。
そんな世界でも、“美しいと信じたい“という、そんな願望の詞にどこか希望を感じる。現実は甘くなく綺麗事かもしれないが、それでも前向きに生きた方が楽しいんじゃないかと思わせてくれるような曲だった。

ライブは好きなアーティストの曲を聴けるだけで勿論楽しいけど、今回のようなアーティストの想いが乗ってくるライブは特に楽しいと、そう思う日だった。
会場の昭和女子大学から帰る道のりは、夜空が明るかった。

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