ロメロ版『バイオ』に見る中間管理職ウェスカーの奮闘記 ~キャラ紹介編~
半年ぶりのウィルスとゾンビネタ。
新作タイトル『RE:3』とその前作『RE:2』の大ヒットも記憶に新しい和製ホラーゲームの代表格『バイオハザード』シリーズだが、その内容はモダン・ゾンビの生みの親、ジョージ・A・ロメロ監督の一連の作品群の強い影響下にあることはよく知られている。
偉大なるゾンビの父ロメロがしかし、今度は自作のエピゴーネンの権化のようなゲーム『バイオハザード』の実写版を監督する…
そんな夢のような話が嘗てあった。
夢のような話が結局夢で終わってしまったのは、ロメロの執筆した脚本があまりにもゲームそのままだったからと言われているが、本当にそうなのだろうか?
果たして主演のミラ・ジョヴォヴィッチと監督ポール・W・S・アンダーソン夫婦の巨費を投じたホームビデオと化した実写版『バイオ』シリーズも、この巨匠がメガホンをとっていたら…
そんな想いから、Web上に公開されている幻のロメロ版『バイオ』のスクリプトを拙い英語力で読み解いた末に見えてきのは、とある38歳中間管理職男の悲哀に満ちた顛末だった…
ロメロ版『バイオ』のあらすじ
実写ナイズされたキャラクターたち
上記の粗筋を見て、確かにゲームまんまと言われればそうかもだし、
しかし原作愛の強いファンほど「ん~?」と首をひねるかもしれない。
ゲームではSTARSの一員だったクリスは、恋人を探すネイティブ・アメリカンの牧場主という巻き込まれ方主人公に転身し、ジルもジルでクリスに近付いたのは警備対象であるアークレイ研究所の近くに彼の牧場があるから…というドライぶりを見せる。
そんな彼女が率いるBチームが消息を絶ったことで、本隊であるAチーム(とクリス)が合流してくるのだが、律儀なロメロはここでゲーム版のキャラを余すことなく登場させるファンサービスに余念がない。
簡単に紹介させて頂くと、
リチャード・エイケン
血清の人。ロメロ版では別の意味で血の巡りがヤバイらしく間の抜けた言動が目立つ。
ケネス・J・サリバン
生首の人。リチャードとは仲良しこよしで彼の足りない発言に皮肉で補足する優しさと思いやりの義人。
ブラッド・ヴィッカーズ
STARSの藤木君。臆病な性格は変わらずだが、ロメロ版では化学防護要員という忘れ去られた設定を活かし探索チームに同行する。
ペティグリー・チャム
犬の餌。ロメロ版で唯一原作に忠実なキャラクター。
マリーニ
画像のSTARS副隊長エンリコ・マリーニさんとは恐らく別人。
何らかの圧力により一隊員に降格された挙句、レーザートラップによる呆気ない最期を迎える。不憫さだけ忠実。
ウィレム・デフォーレスト・スパイヤー
ゲームではグレポンでカラスに挑んだ勇の剛。ロメロ曰くヒト科ウィレム・デフォー属。実写化されなかったのが実に惜しい。
ayu
ジルに次ぐ今作のヒロイン…のはずが、ロメロ版では他ヒロインズの陰に隠れて印象が薄い。エイダさんまで出てくるなんて私聞いてません。
ロドリゲス
ロメロ版オリキャラ。皆大好きエイリアン2のバスケス型バトルヒロイン。
実写一作目でミシェル・漢気・ロドリゲスが演じた女傑キャラの下敷きになった可能性が高いロドリゲス。口癖は「みんなでここに住む?」
ロメロ版には他にも数名のオリキャラ隊員が登場し、中には原作で名前と手首しか出演していないエドワード・デューイをモデルにしたと思わしき人物までいる。
このようなロメロの生真面目さ(不器用さとも言う)が、本作を含む数々の企画からの降板の一因になったとも囁かれているが定かでない。
気が向けば続く……
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