けんざいのおと #6 めちゃくちゃ探した鉄板の話。
ふと気づきまして。今までの記事は、面白そうな建材や、私は関わっていない素敵なプロジェクトのご紹介がほとんどだったことに。
今更ながら自分の関わったお仕事についてお話してみようと思います。文章多めの回になりますが、お付き合いいただけますと嬉しいです。
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普段私の仕事は、同じ会社にいる設計チームの人間から、こういうイメージの建材ない?と相談を受けて、プロジェクトに合う建材を選んだり、リサーチするところから始まります。
相談を受けた建材のメーカーに目星がついていたり、品番までわかっていると仕事としてはスムーズですが、
そういう建材よりも、どこから仕入れるのかわからない、こんなもの売ってくれるところあるの?という謎の建材を探すほうが面白かったりします。(手のかかる子ほどかわいいって感じですかね。笑)
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かれこれ2~3年くらい前、弊社の設計の者から、古い鉄板を壁に使いたいというリクエストがありました。そもそも新品の鉄板も、調達したことがなかった私は割と戸惑っていました。
設計者とイメージやサイズなど擦り合わせ、まずはインターネットでいろいろと検索してみることに。
鉄くずの回収業者さんなどに電話してみたり、メールで問い合わせてみましたが、回収するタイミングによって、回収されたものが使える状態のものかそうでないかが変わってくる上に、サイズもほしいものはそんなにうまく見つからない。。
設計者からは「できれば、船とかに使われていた、ストーリーのある鉄板が良い」という要望だったので、船の科学館さんに電話して聞いてみたりもしました。(ご迷惑をおかけしただろうな、ご対応いただいた方、その節はありがとうございました。。)
ちょっとずつ情報を集め、どうやら瀬戸内周辺は船舶の解体業者さんが数社あるらしいと判明。このあたり、歴史的なところも紐解いていくと面白そうですが、ここでは割愛させていただきます。(ちなみに現在では、船舶の解体は人件費や危険性の観点から、その大多数が海外で行われているそうです。)
ドキドキしながらそれぞれの船舶の解体業者さんに連絡することに。
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回答は、やはり渋いものがほとんどでした。それはそうですよね。解体した鉄は通常、製鉄会社さんに販売して新しい金属を製造するというサイクルで回っているところにいきなり、鉄板売ってもらえませんか?って言われても。。って、私でも思います。(この記事を読んだからと、船舶解体業者さんへの安易なお問い合わせはご遠慮くださいね!)
ところが一社だけ、私や設計者の意図を汲んで面白がってくれる会社さんがありました。通常の業務でお忙しいのに、ご対応くださった方は私からの質問に随時答えてくださり、ついには実際に解体の現場を見せてもらえることに!
事前にお写真で見せてもらっていたものの、実際に目で見るとダイナミックでかなり迫力がありました!
全く知らない業界なので、いろいろと質問しまくる私たちにご担当者さんは一つ一つ丁寧に教えてくださいました(本当に、ありがとうございました!)。
そんなこんなで、無事希望の鉄板を見つけることができ、納品に至ることができました。納品時もいろいろと問題が発生しましたが、関係者の皆様のおかげでなんとか乗り越えました。
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納品を終え、その壁面を見ていただいた方々には、とても迫力のある鉄板だね、と言ってもらえることが多く、本当に嬉しい限りです。
普通の建材屋さんよりかは、手間もかかるし苦労するけれど、設計の方の実現したい空間のキーとなる部分を自分が担当させてもらえるというのは、とてもやりがいがあります。そして、いろんな業界の方に助けてもらいながら、その方々の働き方を垣間見ることができるのも、この仕事をやっていて楽しい部分です。
これからも、見つけ出した建材や、関わってくださった方々の素敵な部分をご紹介し続けたいと思っています。その先で、今読んでくださっている方々とつながることができたら、こんなに嬉しいことはありません。
もし、こういう建材ない?というご相談がありましたら、ぜひお気軽にお声がけください。